米国家情報長官、１４日に文大統領を表敬訪問…韓米首脳会談の事前調整の見通し
韓米首脳会談を目前に控え、米国の情報機関の長であるアブリル・ヘインズ国家情報長官(DNI)が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を表敬訪問することが確認された。21日の首脳会談の最重要議題となる北朝鮮核問題の解決をめぐり、内密の意見交換が行われるものと見られる。
大統領府の高位当局者は13日、ヘインズ長官が翌日の14日に大統領府を訪問し、文在寅大統領、ソ・フン国家安保室長と会談し、対北朝鮮政策と首脳会談について協議する予定であることを明らかにした。前日に平沢(ピョンテク)の在韓米軍烏山(オサン)空軍基地に降り立ったヘインズ長官は、13日午前に宿所のソウル新羅ホテルを出発し、陸路で統一大橋を渡って非武装地帯(DMZ)などを視察後、ヘリでソウルに戻った。その後、ソウル龍山(ヨンサン)の国防部営内にある合同参謀本部庁舎を訪れ、イ・ヨンチョル国防情報本部長ら情報分野の関係者と会談した。さらに同日夜には、ソウル市内のホテルでソ・フン室長、ロバート・ラプソン在韓米国大使代理と晩餐会を開いたという。
ヘインズ長官の今回の韓日歴訪の第一の目的は、ジョー・バイデン政権が4月末にまとめた「対北朝鮮政策再検討」の結果を韓日の情報当局と共有しようというものと推定される。ヘインズ長官は11日、東京で日本の外交安保政策の司令塔を務める国家安全保障局(NSC)の北村滋局長と会談。12日にはパク・チウォン国家情報院長、滝沢裕昭内閣情報官と韓米日3カ国情報当局トップ会談を行った。朝日新聞はヘインズ長官について「バイデン政権が4月末に対北朝鮮政策の見直しを終えたのを機に日本を訪問した。朝鮮半島情勢について論議したとみられる」と分析し、一部のメディアは「対中政策に関する意見調整が行われた可能性もある」と指摘した。
今月4～5日には韓米日の外相が主要7カ国(G7)外相会議の開かれたロンドンで会談しているが、今回は情報当局同士の「対面会議」による深い意思疎通のために韓日両国を訪問したということだ。パク院長をあえて東京に呼んだのは、北朝鮮に対するアプローチをめぐって多くの立場の相違を示している韓日の対立を緩和するとともに、3カ国の団結した姿を演出しようとの意図と解釈される。
第二の目的は、来週に迫った韓米首脳会談に向けた意見調整だ。12～13日の日本メディアの報道によると、ヘインズ長官は東京で北村局長らに会っただけで、菅義偉首相を表敬訪問してはいないとみられる。バイデン大統領は先月16日に菅首相とすでに会っており、ヘインズ長官があえて菅首相を表敬訪問する必要はなかったためとみられる。しかし、韓米は21日に文大統領とバイデン大統領との初の対面首脳会議が予定されているため、対北朝鮮政策▽対中政策▽ワクチンや新型コロナウイルスへの対応などの敏感な懸案について、細心の議題管理が求められる。ヘインズ長官は、北朝鮮の非核化への意志を否定的に評価してきた米情報機関の長らしく、先月14日に開かれた上院の情報委員会で、北朝鮮が将来、米国と同盟国との間に亀裂を生じさせるために、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を再開する可能性があるという暗い展望を示している。この日の国防情報本部でも、韓米の対北朝鮮情報の共有の必要性を強調し、韓国が強みを見せる対北朝鮮人的情報(ヒューミント)に大きな関心を示したという。
ただし、13日の非武装地帯訪問については、北朝鮮当局との「接触」が目的ではなかったとみられる。政府の幹部は「米国の情報機関の長の動きを正確に知ることはできないが、その程度の内容なら韓国政府にも伝えられるはず。その件について耳にした情報はない」と述べた。米中央情報局(CIA)ソウル支部での勤務経験のあるヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」とのインタビューで、ヘインズ長官の今回の非武装地帯訪問について「朝鮮半島に現存する緊張をよりよく理解することが目的だ。ソウルを訪問しただけでは分からないが、非武装地帯を訪れればどれほど状況が危険となり得るか、一瞬にして理解できる」と述べた。
訳D.K
