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韓国で市中感染者のうち「変異株」の検出率が10%台へ

登録:2021-04-30 09:31 修正:2021-05-03 14:35
過去1週間の検出率、その前の週の2倍 
英国の変異株が圧倒的多数 
京畿やソウル、蔚山で変異株多い
ソウル駅の新型コロナ臨時選別検査所の様子/聯合ニュース

 韓国国内で新型コロナの市中感染者のうち、英国、南アフリカ共和国、ブラジルなど主な変異株の検出率が、過去1週間(20~26日)で初めて10%を超えたことが確認された。その前の週より検出率が2倍以上増えたことから、変異株の感染拡大が加速化しているのではという懸念が高まっている。韓国政府は、英国変異株の感染拡大が特に懸念される蔚山(ウルサン)で検査数を増やし、接触者管理を強化するなど対策を進めている。

 中央防疫対策本部(防対本)が29日に行った週間変異株モニタリングの現況によると、今月20~26日に行われた市中感染者473人の検体に対する遺伝子分析の結果、52人から主な変異株が検出された。市中感染者における主な変異株の検出率が11%に達したということだ。防対本は今年2月から毎週、地域社会での市中感染者のうち約10~15%を標本にして変異株による感染の有無を分析してきたが、この分析で変異株の検出率が10%を超えたのは今回が初めて。これに先立ち、3月30日~4月4日には検出率が4.5%(494人のうち22人から変異検出)、4月5~11日には3.2%(627人中20人)、12~18日には5.0%(695人中35人)だった。最近1カ月に検出された変異株のうち5件の南アフリカ共和国型変異株を除けば、残りの146件はすべて英国型変異株だ。

 変異株の検出率が2倍も上昇したことについて、専門家らは英国型変異株が流行拡大の兆しを示しているとして、懸念を示している。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は「防対本が遺伝子分析標本をきちんと構成し、検出率を算出しているなら、英国型変異株の感染拡大が加速化しているものとみられる」と述べた。これに対し防対本の関係者は「感染確認から遺伝子分析まで1週間以上かかる場合もあり、週単位よりも月単位の分析傾向に注目した方が、統計上のミスは少ないだろう」としたうえで、「ただし、実際に感染した人の11%が変異株の感染者とは限らないが、以前より英国型変異株が確実に増加傾向にあるとみている」と述べた。

 特に、京畿道やソウル、蔚山での感染拡大が懸念されている。27日午前0時までに収集された主な変異株の感染事例を地域別に見ると、535件のうち京畿道が127件、ソウルが49件、蔚山が56件で、他の地域よりとりわけ多い。特に蔚山市は前日「全体感染者のうち約9%を対象に変異株の有無を分析した結果、89%が英国型変異株であることが確認された」とし、「今年2月、釜山(プサン)北区葬儀場と蔚山のゴルフ練習場における集団感染を皮切りに、地域社会に(英国型変異株が)広く拡散した」という独自の分析結果を発表した。これに対し、チョン・ウンギョン疾病管理庁長は同日の定例ブリーフィングで「(最近の蔚山地域の感染拡大傾向に)伝播力が従来より1.7倍高い英国型変異株がある程度影響を及ぼしたものとみている」とし、「選別診療所を増やし、(隔離対象である)濃厚接触者ではない接触者にも14日後に追加検査を実施したり、高危険施設の管理を強化するなどの案を、蔚山市と緊密に協議しながら、対策を立てている」

 これに対しキム教授は「必要なら、蔚山市は距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)のレベルを現在の2から2.5に引き上げることも検討しなければならない」とし、「また、変異株検出率の結果分析を月単位で行っては、きちんとした対策を立てられない。変異株のモニタリングをするのは、必要な場合は速やかに距離措置などの防疫政策に反映しなければならないため」と述べた。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「英国型変異株に対するワクチンの予防効果は、南アフリカ共和国型やブラジル型よりは低下しないと知られているが、それもまだ確実なものではない」とし、「1日の感染者が700人前後の拡散傾向を抑えるだけでなく、変異株による市中感染の速度を遅らせるためにも、警戒を緩めてはならない」と述べた。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/993307.html韓国語原文入力:2021-04-3005:00
訳H.J

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