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コロナ空気感染、10の根拠…「換気の方が距離より大切」

登録:2021-04-28 03:28 修正:2021-04-28 09:45
3カ国の研究陣、スーパー伝播など10の証拠を提示 
空気感染を前提とした新たな公衆保健対策を求める
空気感染をコロナの主要感染経路として認めるべきだという主張が相次いでいる=Pixabay//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症が発生して以来、今も論議が続いていることの一つが空気感染の有無だ。

 昨年初頭、コロナが全世界に広がると、世界保健機関(WTO)をはじめ、各国の保健当局や公衆保健の専門家たちは、飛沫による感染を基準として社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の指針をまとめた。学界では、粒子サイズ5マイクロメートル(1マイクロメートルは0.001ミリ)を基準として、これより大きいものは飛沫、小さいものはエアロゾルに分類する。

 咳やくしゃみ、呼吸などを通じて体外に排出される飛沫の粒子は、数秒で地面に落ち、普通は2メートル以上飛ぶことはないことが知られる。ソーシャル・ディスタンシングの基準である1.8メートル(または2メートル)は、これを根拠としている。

 感染者からかなり遠いところにいる人も感染する例が相次いだことで、空気感染の可能性が大きく浮上しているが、従来の飛沫感染を前提とした指針はそのままとなっている。今年3月にWHOの支援を受けて進められた「体系的文献考察」においても、サンプル不足を理由として空気感染についての明確な結論は下されなかった。米国疾病予防管理センター(CDC)は、昨年10月に「時に空気を通じて感染する可能性がある」との一文を追加しはしたものの、やはり依然として対面接触の際の感染については、呼吸器からの飛沫を最も一般的な感染原因と説明している。

 ところが最近、様々な国際学術誌で、空気感染を主な経路と見なして公衆保健対策を立てるべきだとする主張が相次いでいる。

 英オックスフォード大学のトリーシャ・グリーンハーフ教授(1次保健医療)率いる6人の英国、米国、カナダの共同研究チームは、昨年以降に発表された論文の中から20本あまりを選び出して検討した結果をもとに「コロナの空気感染を裏付ける10の科学的理由」と題する論文を発表した。彼らは、医科学分野の国際学術誌「ランセット」に発表したこの短い論評論文で、コロナが主に空気を通じて感染することを示唆する一貫した強力な証拠があると主張した。

国際研究チームが真っ先に取り上げた空気感染の証拠は、コンサート会場や療養所などの屋内でのスーパー伝播の事例だ=Pixabay//ハンギョレ新聞社

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向かい合ってもいないのに、咳やくしゃみもしていないのに

 研究チームが提示した第一の証拠は「スーパー伝播」だ。合唱団のコンサート会場、クルーズ船、屠畜施設、療養所、矯正施設の集団感染者の行動と相互接触、室内空間の大きさ、換気施設などの様々な要因を分析した結果、飛沫や他の媒体では説明できない遠距離感染が事実であることが分かった、と研究チームは述べる。研究チームは、このような事態が頻繁に発生するのはエアロゾル感染が主な原因であることを強く示唆する、と主張する。

 第二は、隔離されたホテルの中で、部屋が異なるため直接会っていない人たちの間でコロナが広がったということ。第三は、咳やくしゃみをしていない人からの、無症状または症状発現以前の感染が、全世界の全てのコロナ感染例の少なくとも3分の1、多くは約60%を占めるということ。研究チームは、実際に対話中に口外に排出される粒子を調べた結果、エアロゾル粒子は数千個にのぼる一方、粒子の大きい唾液は極めて少数だったということが空気感染を裏付ける、と述べる。

建物の通風口は空気感染の主要経路の一つだ=Pixabay//ハンギョレ新聞社

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ドグマとなった飛沫とエアロゾルの区分基準

 屋外よりも屋内での感染例のほうが多く、屋内換気施設がある場合は感染率が下がること、個人保護装具などの飛沫感染予防措置に集中した病院施設内でも感染があったこと、コロナの動物感染例において動物の檻が通風口につながっていたことも、空気感染の根拠として示された。

 研究チームは、コロナ患者がいる病院の空気フィルター、および建物の通風口からウイルスが検出されたことを挙げ、「こうした場所にはエアロゾルしか到達できない」とし、これも空気感染の証拠としている。

 コロナ感染者が入院していた病室、感染者が乗っていた車の中の空気から感染力のあるウイルスが検出されたことも、欠かせない証拠として提示された。実験室での実験の結果、コロナウイルスは空気中で最大3時間にわたって感染力を維持することが分かった。半減期は1.1時間だった。

 研究チームは最後に、空気感染仮説に反駁できる一貫した強力な証拠を示す研究や、呼吸器からの飛沫などの、その他の感染ルートが主な経路だということを裏付ける証拠がないことも指摘する。研究チームはまた、実験結果を根拠として、エアロゾルと飛沫の正確な境界線は100マイクロメートルであり、5マイクロメートルというドグマから脱する必要があると主張する。

研究チームは、エアロゾルと飛沫の従来の基準はドグマとなっていると批判した=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

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消毒中心から屋内換気などのエアロゾル中心に

 「全体的な証拠を正しく見ずに、一部の空気サンプルにおいて直接的な証拠が不足しているとの理由から空気感染に疑問を提起するのは、科学的な誤り」というのが研究チームの結論だ。研究チームは「別の感染経路はあり得るが、支配的な感染経路は空気感染と考えられる」とし、保健当局に直ちに相応の措置を取ることを求めた。

 別の国際学術誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」も14日、「コロナが空気感染を再定義した」と題する社説で、「基本的に粒子の大きさや名称に関係なく、粒子を吸い込みうるなら、それがまさにエアロゾルを吸い込むということ」と述べ、屋内の換気とマスクの品質の重要性を強調した。同社説は、換気を通じた屋内の空気の質の改善は、別のウイルスの呼吸器への感染、アレルギー、シックハウス症候群の減少などの、他のメリットも伴う、と付け加えた。

 国際学術誌「ネイチャー」は これに先立つ2月2日の社説で、「コロナウイルスが主に空気を通じて感染することを示す証拠は確かなもの」とし、世界の保健当局に対して、最新の知識を反映して指針を新たにまとめ、物体表面などの消毒よりも換気の改善などのエアロゾルを中心とした公衆保健に重点を置くことを求めている。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/992748.html韓国語原文入力:2021-04-27 10:10
訳D.K

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