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[ニュース分析]中国外相の毒舌「日本は独立自主国になれ」

登録:2021-04-08 06:03 修正:2021-04-08 08:13
政治BAR_ キル・ユンヒョンのそこが知りたい 
中日外相会談、どんなやり取り?
中国の習近平国家主席(右)と日本の安倍晋三首相が2018年10月26日、北京の釣魚台国賓館で首脳会談前に握手を交わしている。両首脳は、経済協力および両国関係の改善に合意し、北朝鮮の非核化達成を含む北東アジア地域の安定に向けた共同努力に共感した=北京/AP・聯合ニュース

 ジョー・バイデン政権が発足してから、3月中旬~4月初めに熾烈に展開された米中の“外交攻防戦”が一段落したようです。

 今年1月20日に就任したバイデン大統領は、就任演説でドナルド・トランプ政権時代の「アメリカ・ファースト」を捨て、「同盟を回復し、再び世界に関与する」と宣言した後、2月19日のミュンヘン安全保障会議のビデオ演説では、米国と同盟国が「中国との長期的かつ戦略的競争に備えなければならない」と呼びかけました。さらに、3月3日に公開されたホワイトハウスの「国家安保戦略(NISS)指針」で中国を「安定して開かれた国際システムに持続的に挑戦しうる唯一の競争相手」だと指摘し、これに対抗するために「同盟に新たな力を吹き込み、現代化していく」という覚悟を明らかにしました。

 その後、本格的な外交活動に乗り出したバイデン大統領は3月12日、中国を牽制するための米日豪印の4カ国安全保障協議体「クアッド」のテレビ会議に出席した後、インド太平洋地域で中国と対峙している両同盟、韓国(17~18日)と日本(16~17日)にアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官を派遣しました。また、ブリンケン国務長官とサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は18~19日、アラスカのアンカレッジで中国外交の“ツートップ”、楊潔チ外交担当政治局員と王毅国務委員兼外相を迎え、世界中を驚かせた1時間にわたるタッグマッチ舌戦を繰り広げました。その後、4月2日、メリーランド州の海軍士官学校に日本と韓国の安全保障担当高官を招待し、韓米日3カ国会議を行ないました。バイデン大統領は16日、菅義偉首相と就任後初めての外国の首脳との対面会談に臨みます。

 中国が米国の素早い動きを手を拱いて眺めていただけではありません。王毅外相は22~23日、ロシアのラブロフ外相と桂林で会談し、24日からイランなど中東6カ国を歴訪しました。30日に帰国した王外相はシンガポールやインドネシア、フィリピン、マレーシアなどのASEAN4カ国の外相に会ったのに続き、3日には福建省廈門に移動し、チョン・ウィヨン外交長官と協議しました。勢力を誇示するための米中の熾烈な外交戦の真只中に、大韓民国がいたのです。

中国の王毅外交部長と日本の茂木敏充外相//ハンギョレ新聞社

 これまでの状況を見ると、大きな空白が目立ちます。中国と日本です。王毅外相は、バイデン政権発足前の昨年11月25~27日、韓国と日本を歴訪しました。当時、王毅外相は日本に対しては身近な隣人という「一衣帯水」、韓国には互いに見張り役を果たし、助け合う友人という意味の「守望相助」という表現を使いました。バイデン大統領就任後、中日間の対面会談がなかった点が気になったのか、王毅部長は日本の茂木敏充外相と5日午後、電話で会談しました。

中日外相会談の結果を伝える日本外務省の資料=日本外務省ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 この会談ではどんなやり取りが行われたのでしょう。日本と中国の外交当局はその内容をまとめ、それぞれのホームページに掲載しています。これを見た最初の感想は、「本当に二人が話し合ったのか?」でした。話した内容は同じはずなのに、日本と中国の強調点にはあまりにも大きな隔たりがあったからです。それぞれの発表を見てみましょう。

 まず日本です。几帳面にいつ通話を始めてどれだけ長く話をしたのかを明記したのが目を引きます。

 発表を見ると、経済規模では世界第2位(中国)と第3位(日本)の中国と日本が、「責任ある大国」として関係を円満に維持すべきであることが確認されています。2022年は韓中国交正常化30周年であり、中日が国交を正常化してから50年になる年でもあります。これを機に、中日は厳しい情勢の中でも円満な関係維持に努めていくでしょう。

 しかし、1時間半も続いたこの話し合いは非常に厳しい雰囲気の中で行われたに違いありません。日本が中日の領土紛争が続いている尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題や南シナ海での中国の一方的な行動、香港と新疆ウイグル自治区の人権問題について、中国の「具体的な行動を“強く”求めた」からです。日本はさらに、韓国の立場では敏感に捉えざるを得ない北朝鮮問題についても「非核化に向けた連携を確認すると共に、安保理決議の完全な履行の重要性について」中日の意見が「一致した」と明らかにしました。安保理決議は、安保理常任理事国で拒否権を持つ中国の同意なくして議決されることはできません。「安保理決議の履行が重要だ」という日本側の発言に対し、中国が「重要ではない」とはいうわけにはいきません。中国は原則的レベルで同意するという意見を示したものと見られます。

中日外相会談の結果を伝える中国外交部の資料=中国外交部ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 結局、日本は同会談で、中国が東シナ海(尖閣諸島の含まれた地域)や南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区などで見せている傍若無人に近い行動を強く牽制し、非核化に向けて北朝鮮に圧力を加えるために、中国が安保理決議を徹底的に履行するように確認するという目的を達成しました。

 一方、中国はどうだったでしょう。中日外相会談を伝える中国外交部の発表でも、ひとまず中日関係を安定的に管理したいという両国の意向が読み取れます。しかし中国は、米日両国が米日同盟やクアッドなどを掲げ、中国を包囲している状況に対する敵愾心を隠しませんでした。王毅部長は茂木外相に、日本が「独立自主国として客観的に理性を持ち、中国の発展に接し、中国に偏見を持っている一部国家に歩調を合わせないことを望む」とし、「日本は(中国と)友好条約に調印しており、条約の義務を履行する義務がある」と強調しました。1972年9月29日、日本の田中角栄首相と中国の周恩来首相が署名した中日共同声明と、昭和53年8月12日に両国が署名した中日平和友好条約には、中国が主張してきた「一つの中国」の原則(台湾も中国の一部という原則)や相互尊重、内政不干渉の原則などが記されています。王毅長官は日本が香港や新疆ウイグル自治区など「中国の内政に干渉してはならない」という立場を、様々な表現で繰り返し強調しました。このような内容は日本側の発表では見られません。

 しかし、日本が強調したのとは異なり、中国側は北朝鮮の核問題については言及すらしませんでした。北朝鮮の核問題解決に向けて、文在寅(ムン・ジェイン)政権の積極的な役割を強調し、中国が長く堅持してきた「双軌並行」(非核化と平和協定交渉の同時進行)の原則を掲げてきた中国としては、中日会談内容をまとめる発表にあえて北朝鮮問題まで言及する必要性は感じなかったのかもしれません。同会談で、中国は米日同盟とクアッドの枠組みを活用して中国の内政に干渉する日本を強い口調で攻撃しました。“米国の言いなり”にならず、独立自主国になれと言われた茂木外相がどんな反応を示したのか、気になります。

 2つの文書を見比べると、中日関係の未来が今後容易ではないことが予見できます。それでは、日本の後ろで一歩引いている韓中関係はどうなるのでしょうか。韓国はインド太平洋地域で米国が日本の次に重視する二番目の同盟国です。韓国も日本に続き、韓米同盟を強化し、韓米日の3カ国協力を強化して中国と対峙すれば、今後公開される韓中の発表でも「自主独立国」になれという中国の毒舌が見られるでしょう。それを避けるために、今のような曖昧性を維持したらどうなるでしょう。現在、米国では韓米同盟の未来を懸念する声がますます高まっています。数年内に韓米同盟は大きな試練に直面するでしょう。ある問題を解くのが難しいのなら、それはその問題が本当に難しいからです。簡単に答えを導き出せない問題を前に、悩みばかりが深まります。

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/989995.html韓国語原文入力:2021-04-07 13:27
訳H.J

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