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[ニュース分析]朝米の思惑、隔たりがあらわに…対話再開まで遠い道のり

登録:2021-03-29 06:34 修正:2021-03-29 07:16
北朝鮮が今月25日に新たに開発した新型戦術誘導弾の試験発射を行ったとして、弾道ミサイルの発射を公式に確認した。今回の発射は成功裏に行われたと朝鮮中央テレビが26日付で報じた=朝鮮中央テレビ画面よりキャプチャー/聯合ニュース

 リ・ビョンチョル朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が27日、「労働党中央委書記」として「朝鮮中央通信」に公開した個人談話は、米国のジョー・バイデン新政権に対する北朝鮮の深い失望感とともに、米国に対する戦略路線を比較的鮮明に表わしたという点で関心を集めている。最終段階に入ったバイデン政権の「北朝鮮政策の見直し」に対する北朝鮮の厳しいけん制と、弾道ミサイル発射などにつながる朝米間の攻防第1ラウンドは、「われわれは引き続き圧倒的な軍事力を強化していく」(リ・ビョンチョル談話)という北朝鮮の決意表明でいったん一呼吸置くことになった。協議再開の条件をめぐる朝米の見解の相違が大きく、両国が協議のテーブルにつくまではかなりの時間を要するものと見られる。

 リ副委員長の今回の談話は、バイデン大統領が25日の記者会見で、北朝鮮の弾道ミサイル発射について「国連安全保障理事会決議違反」だと指摘し、「北朝鮮が緊張を高めようとするなら、相応の対応があるだろう」と警告したことに対する反論の性格を帯びている。すなわち「国家自衛権に属する正常な武器実験」を「国連決議違反だと言い張る」バイデン大統領の発言は「わが国の自衛権に対する露骨な侵害であり挑発」ということだ。ドナルド・トランプ前大統領は2019年5月、北朝鮮による短距離ミサイル発射実験について、「たいしたことではない」と述べ、同年10月2日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3型」を発射した際も、「彼らは対話を望んでいる」として、慎重な態度を示した。しかし、バイデン大統領はこれを容認しない方針を明らかにしており、朝米外交の開始条件として“非核化という結果”を提示した。

 北朝鮮は昨年末、バイデン大統領の当選が確定した直後までも、米大統領選挙の結果に関する言及を控え、静観する姿勢を見せた。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は1月9日付の「労働新聞」に公開された第8回党大会事業総和(決算)報告で「最大の主敵である米国を制圧し、屈服」させなければならないという強硬な立場を示しながらも、「新しい朝米関係の樹立の鍵は米国が対北朝鮮敵視政策を撤回することにある」とし、「これからも強対強、善対善の原則で米国に対応していく」と宣言した。米国が北朝鮮に対する「敵視政策」を撤回すれば、「善対善の原則」に基づき、十分に対話が可能だという立場を明らかにしたのだ。

 しかし韓米は、北朝鮮が対北朝鮮敵視政策の核心だと主張する韓米合同軍事演習を3月に実施しており、ホワイトハウス高官は23日、さらに一歩踏み込んで「必要な演習をしないために行われた以前の一部努力は、朝鮮半島と東北アジアの平和と安定の維持を目指す守護者としての我が国(米国)の立場と相反する」と述べた。“韓米合同軍事演習の縮小もしくは取り消し”に対する北朝鮮の期待が、バイデン政府では実現困難になったのだ。

 これに対し、キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長やチェ・ソンヒ第1外務次官らは、「一度でも対座することを待ち望むなら、悪い癖を直さなければならない」などといった談話でけん制を試みたが、アントニー・ブリンケン米国務長官は今月17~18日に韓国を訪問した際、「北朝鮮が(自国民に対し)広範囲な虐待を行っている」などといった攻勢的な発言で対抗した。北朝鮮は対話再開の条件として「敵視政策」の撤回を要求したが、米国は人権問題を前面に掲げし、“非核化という最終目標の保障”を求めたのだ。これを受け、北朝鮮は21日に巡航ミサイルを、25日には弾道ミサイルとされる飛翔体2発を発射した。まもなく公開される米国の「北朝鮮政策の見直し」の結果に期待できるものはあまりないと判断し、1月初めに明らかにした「自力更生」と「国家防衛力の強化」を引き続き二本柱に据えていく意思を明確に伝えたのだ。

 リ・ビョンチョル副委員長が「私は米国の新政権が確かに第一歩を踏み間違えたと考えている」としたうえで、「我々は決して誰の関心を引いたり、政策に影響を与えるために兵器を開発しているわけではない」と明らかにした談話でも、バイデン政権の対北朝鮮アプローチに対する失望とあきらめ、“我が道”を突き進むしかないという決意など複合的な感情が読み取れる。このように対話再開に向けた朝米の思惑が大きく異なり、朝米の対立は長期化するものと見られる。このような状況で、北朝鮮が挑発のレベルを高めた場合、米国が強く対応し、朝鮮半島の緊張感が高まる恐れがある。

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/988568.html韓国語原文入力:2021-03-29 04:59
訳H.J

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