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北朝鮮がミサイル発射した日に、文大統領は「韓国型ロケット」試験を視察

登録:2021-03-26 03:14 修正:2021-03-26 07:22
高興の羅老宇宙センター訪問…ヌリ号第1段の総合燃焼試験を視察
文在寅大統領が25日午後、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターで、ロケット組み立て棟を視察している/聯合ニュース

 北朝鮮が未明に東海(トンへ)上に短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体を撃った25日の午後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国内技術で地球の低軌道にまで衛星を打ち上ることのできるロケットの最終燃焼試験を見守った。文大統領は「来年は月軌道船を打ち上げるとともに、2030年までには韓国のロケットを用いた月着陸の夢を実現する」とし「2029年に地球に接近するアポフィス小惑星についても妥当性を検討し、探査計画を樹立する」と述べた。

 文大統領が視察したロケット第1段部の総合燃焼試験の成功は事実上、韓国型ロケット「ヌリ号」の開発完了を意味する、と大統領府は明らかにした。3段からなるヌリ号は、すでに2018年7月に第2段部、2020年3月に第3段部などの試験を完了している。第1段部は、4つの75トン級エンジンがまるで1つのエンジンのように均一な性能を出さなければならないため、ヌリ号の開発で最も難しい過程とされた。

 文大統領はこの日、全羅南道高興郡(コフングン)の羅老(ナロ)宇宙センターを訪れ、「あとは本発射を残すのみとなっている。いよいよ今年10月、ヌリ号は『ダミー衛星』を搭載して宇宙へと旅立てることとなった」、「2013年の『羅老号』がロシアの助けを借りねばならなかったという無念さ振り払い、韓国の衛星を韓国のロケットで、韓国の領土から打ち上げることとなった」と述べた。文大統領は、金大中(キム・デジュン)元大統領が通貨危機の中で宇宙ロケットの開発を決定したことが実を結びつつある、と付け加えた。

 文大統領は、宇宙探査計画などを明らかにしつつも、ロケットの軍事利用については言及していない。しかし今回、独自のロケット技術を確保することには意味があると見られる。政府が昨年7月に「韓米ミサイル指針」を改正し、宇宙ロケットに対する固体燃料の使用制限を解除したからだ。固体燃料ロケットは、ヌリ号が搭載する液体燃料エンジンより比較的短期間で開発が可能であることが知られている。製作費も液体燃料ロケットに比べ、約10%程度。指針の改正当時、大統領府関係者は「ロケットエンジンは4つの75トンエンジンを同時に点火するのが最重要技術だが、液体燃料だけでなく固体燃料も混ぜるとすればコスト面で効用性が高くなる」と説明している。

 当時、キム・ヒョンジョン元大統領府安保室第2次長も「研究開発を加速していけば、独自開発した固体燃料宇宙ロケットを用いた軍事偵察衛星を、韓国の必要に応じて韓国の手で打ち上げる能力を持つことになる」とし「低軌道軍事偵察衛星を多数発射すれば、韓国の情報監視偵察能力は飛躍的に向上するだろう」と語っている。現在、韓国は軍用偵察衛星を保有していない。ロケット技術の開発を通じて、今後の北朝鮮のミサイル発射など、朝鮮半島周辺の状況の把握が容易になるとの説明だ。

文在寅大統領が25日午後、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターで、ヌリ号第1段総合燃焼試験を見守った後、拍手している/聯合ニュース

 文大統領はこの日、人工衛星の技術力も育てると述べた。文大統領は「今後の6G時代を切り開く通信衛星のテストネットワーク、自動運転車やドローン産業に欠かせない韓国型衛星航法システム、国防宇宙力の強化のための超小型群集衛星システムの構築によって、人工衛星の技術力を強化し続けていく」と述べた。さらに「特に、昨年の韓米ミサイル指針の改正によって固体燃料の使用が可能になったことが、良いきっかけとなっている。羅老宇宙センターに民間企業が使用できる固体発射場を設置するなど、民間のロケット企業の成長を積極的に支援する」と明らかにした。政府は、国家宇宙委員会の委員長に、これまでの科学技術情報通信部長官に代えて首相をあてることを明らかにしている。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/988265.html韓国語原文入力:2021-03-25 18:53
訳D.K

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