フィリピンで収監された「麻薬王全世界」事件、南陽乳業創業者の孫娘の麻薬投薬事件などに関係した韓国の麻薬流通組織の総責任者「バチカン・キングダム」が拘束された。
慶南警察庁麻薬犯罪捜査係は7日「フィリピンからヒロポン、エクスタシー、ケタミン、合成大麻などの麻薬類を密輸入して国内に流通させた組職の組織員28人と、麻薬購入者62人の90人を捕らえた」とし「このうち国内総責任者のL容疑者(26)ら組織員17人と購入者1人の18人を、麻薬類管理に関する法律違反の疑いで拘束した」と語った。
警察の調べによると、L容疑者はテレグラムで「バチカン・キングダム」という名を用い、昨年4月12日から10月27日の検挙直前までに49億ウォン(約4億6400万円)相当の各種麻薬を、首都圏を中心として国内に流通させていたことが分かった。L容疑者が運営する麻薬流通組織は、テレグラムなどのSNSに麻薬販売の広告を載せ、購入者が金を振り込めば、麻薬を隠していた場所である、いわゆる「座標」を伝えるというやり方で、非対面取引を行っていたことが明らかとなった。
L容疑者に麻薬を供給した人物は、2016年10月にフィリピンで韓国人3人を殺害した、いわゆる「サトウキビ畑殺人事件」の犯人であるP氏(42)であることが判明した。P氏はフィリピン現地で検挙されたが二度も脱獄しており、昨年10月28日に再び捕らえられ、現在もフィリピンで収監されている。P氏は脱獄して再び逮捕されるまでテレグラムで「全世界」という名で活動し、L容疑者らを通じて韓国に麻薬を供給していた。
L容疑者が運営していた麻薬組織の中間販売担当者にN容疑者(29)という人物がいるが、麻薬を使用した疑いで調査を受けている南陽乳業の創業者の孫娘H容疑者(33)に麻薬を供給した人物がN容疑者である可能性が高いことが分かった。N容疑者は先月17日に自殺を試み、現在は意識不明の状態で入院している。
慶南警察庁麻薬犯罪捜査係のキム・デギュ係長は「フィリピンで活動し、いわゆる『麻薬王全世界』として知られる海外総責任者のP容疑者から麻薬の供給を受け、国内に流通させていた国内の総責任者は、首都圏を担当していたL容疑者ら4人であることが分かり、現在彼らが運営していた下部組織へと捜査を拡大している。国内麻薬組職の実体を明らかにするには、フィリピンで収監されている『麻薬王全世界』の韓国への送還が必要だ」と述べた。