ユン・ソクヨル検察総長が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領による「停職2カ月」の懲戒処分の裁可から8日後、再び職務に復帰した。ソウル行政裁判所は24日夜10時ごろ、ユン総長が懲戒処分を不服として行った執行停止申立てを認めた。今月1日の裁判所の職務排除執行停止決定に続く2度目の職務復帰だ。史上初の検察総長に対する懲戒の効力が裁判所の決定で停止され、これを裁可した文大統領も打撃を受けることになった。ユン総長は執行停止決定直後、「司法の判断に深く感謝する。憲法精神と法治主義、そして常識を守るために最善を尽くす」とし、休日の25日午後1時、業務に復帰する考えを示した。一方、大統領府側は「立場の発表はない」と述べた。
ソウル行政裁判所行政12部(ホン・スヌク裁判長)は同日、2次審問を終えた後、「大統領が行った2カ月の停職処分は懲戒処分取消請求事件の判決宣告日から30日になる日までその効力を停止する」と述べた。ユン総長が懲戒そのものの取り消しを求めて起こした本案訴訟に対する一審判決が出た後30日になる日まで、ユン総長に対する懲戒の執行を停止するという決定だ。
裁判部はユン総長が作成を指示した「裁判部政治傾向分析文書」について、「非常に不適切だが、追加の疎明資料が必要だ」としたうえで、「チャンネルA事件に対する監察・捜査妨害は争いの余地があり、本案の裁判で十分な審理が行われなければならない」と判断した。さらに「懲戒処分手続きで懲戒委員会の忌避申請に対する議決過程で不備があった点を加えれば、本案請求勝訴の可能性がないと断定するのは難しい」と付け加えた。また、ユン総長の政治的中立に関する不適切な言動については、「法務部側の主張だけでは懲戒事由が認められず、追加審理が必要だ」と判断した。
裁判部は懲戒処分によりユン総長に回復しがたい損害とその損害を予防するための緊急性がある程度認められる点などを考慮し、「同件の懲戒処分の効力を停止するのが正しい」と判断した。しかし「懲戒処分は大統領の人事権行使であるため、執行停止を認容すれば国論分裂など公共の福利を害し、公正な検察権行使を脅かす恐れがある」という法務部側の主張は受け入れなかった。
今月22日に続き、異例にも行われた同日の追加審問で、ユン総長と法務部側は懲戒処分の正当性をめぐって攻防を繰り広げた。同日の審問でユン総長側は「今回の懲戒は政治的中立性と独立性を侵害し、特に法治主義を重大に損ねる」と主張した。ユン総長側のイ・ワンギュ弁護士は最終陳述で、「法治主義とは何かを問う歴史的事件」だとし、裁判所に「賢明な判断」を求め、ついに執行停止決定を勝ち取った。