韓国の裁判所は、子どもの入試を巡る不正やPE(プライベート・エクイティ、未公開株)ファンド関連疑惑などで起訴されたチョ・グク前法務部長官の妻、チョン・ギョンシム東洋大学教授に懲役4年を言い渡し、法廷拘束した。検察が起訴した15件の容疑のうち、11件の犯罪事実が有罪と認められた。
ソウル中央地裁刑事合議25-2部(イム・ジョンヨプ裁判長)は23日、子どもの入試不正による業務妨害や偽造文書の行使、PEファンド投資による犯罪収益隠匿規制法違反、捜査後の証拠隠滅教唆などに対して有罪を認め、懲役4年、罰金5億ウォン、追徴金1億3894万ウォン(約1300万円)を言い渡した。チョン被告の娘C氏(29)が、檀国大学医科学研究所や公州大学生命科学研究所、ソウル大学公益人権法センター、韓国科学技術研究院からインターン確認書の発給を受け、入試用に提出したという容疑はすべて有罪となった。特に同地裁は、法廷での攻防が激しかったC氏の東洋大学の表彰状について、「東洋大学から1次表彰状を受け取った事実はなく、チョン被告が表彰状を偽造したことを十分に認められる」と判断した。またソウル大学公益人権法センターや釜山アクアフェリスホテルのインターン確認書の発給には、「チョ前長官との共謀があった」と結論付けた。
PEファンドの運用会社のコリンクPEへの投資に関する犯行について、ソウル中央地裁は、チョン被告が資産の内訳を隠ぺいするため借名口座で取引した容疑(犯罪収益隠匿規制法・金融取引法違反)を有罪と判断した。コリンクが投資した会社に関する未公開情報を事前に入手し、投資した後利益を上げたという資本市場法違反の容疑にも一部有罪が言い渡された。同地裁は判決理由について、「チョ前長官が民情首席に就任し公職者倫理法による財産申告義務が生じたことを受け、株式などを隠ぺいし、提出義務を免れようと借名口座を使用した」と説明した。
しかし、ソウル中央地裁はチョン被告が虚偽のコンサルティング契約を結び、チョ前長官の甥に当たるチョ・ボムドン氏から金を受け取り横領に加担した容疑については、チョン被告に無罪を言い渡した。同地裁は判決理由について、「チョ・ボムドン氏が被告から受け取った10億ウォン(約約9300万円)は全額投資金だ」としながらも、「コリンク資金の横領をあっせんしたなどと見なすのは困難だ」と説明した。チョン被告がチョ氏と共謀し、金融委員会に出資約定の金額を水増しして偽りの変更報告をした疑いについても無罪が言い渡された。検察の捜査に備えて、資産管理人のK氏に自宅と東洋大学の教授室に保管していたパソコンなどを隠匿させた犯行については、キム氏と共に犯行を行ったため証拠隠匿教唆罪で処罰はしなかったものの、量刑では不利に判断した。
ソウル中央地裁は「一審判決後、在宅起訴の状態で裁判を受けた場合、証拠ねつ造や関係者たちに虚偽の陳述を促す可能性が高い」とし、チョン被告を法廷拘束した。同地裁は「チョン被告の犯行は公正な競争のために誠実に努力する多くの人に虚しさと失望を抱かせ、入試関連システムに対する信頼と期待を裏切る否定的な結果を招いたもので、非難の可能性が高い」とし、「高位公職者であるチョ前官の妻として財産申告などに誠実に応じる法的義務があるにもかかわらず、財産を増やすための目的で不法行為を犯した」と量刑理由を明らかにした。
同日の判決後、チョン被告側のキム・チルジュン弁護士は「捜査過程から争おうとした予断と推測が先入観とともに繰り返された」とし、「判決文を検討し、控訴する計画」と明らかにした。