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外交部「福島第一原発汚染水放出計画、安全性判断するには情報不足」

登録:2020-12-08 02:52 修正:2020-12-08 08:36
東京電力福島第一原発に設置された汚染水貯蔵タンクの様子=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、福島第一原発の敷地内に保管中の汚染水に関する情報が不足しているとして、「放出決定は日本の主権事項であるため、韓国政府と協議する意思はない」とする日本政府の立場に反論した。

 外交部の当局者は7日、記者団に対し「(韓国は)日本が(汚染水放出に関して)持っている計画が安全かどうかについて判断する情報を要求する権利がある」とし「国連海洋法条約に則った正当な国際法上の権利」と述べた。先月20日に在韓日本大使館当局者が韓国外交部担当記者団に対し、東京電力福島第一原発で発生した汚染水の海洋放出に関する決定は「主権国家」としての日本の政府の固有の権限であって、韓国政府と協議する事項ではないと釘を刺したことに対する反応だ。その日、日本側は、韓国政府が要請してきたら、汚染水の放出が環境に及ぼす影響を追跡する共同調査には応じる計画だと述べている。

 外交部当局者はこうした日本側の判断に「同意できない」とし、韓国政府は放出決定と検証過程のすべてについて協議する権利があると主張した。先にカン・ギョンファ外交部長官が「日本政府の福島第一原発汚染水の放出計画は、日本の主権的決定事項」と述べていることを考慮すると、放出の安全性に関する情報が確保されるべきだということを日本側に強調したものとみられる。この当局者は「日本政府に対しては、どのような方式でどう捨てるのか、捨てようと考えている計画がきちんと履行されるのかについての情報共有を要請するとともに、(放出方式に対する)決定がなされればどのように検証するかについて、様々な主体と話し合っている」と明らかにした。

 日本政府は近く、福島第一原発の汚染水放出を決定すると予想されるが、国際社会は大きな関心を寄せていないという。外交部当局者は「韓国ほどこの問題に関心を表明している国は、現在のところない」と述べた。これは2011年の福島第一原発事故後、「福島原発事故に起因する放射性核種は、米国の食品供給において公衆保健の問題を提起するほどの水準だという証拠はない」との2014年の米国食品医薬品局(FDA)の発表や、FDAと環境保護庁(EPA)、海洋大気庁(NOAA)の共同発表に対する国際社会の信頼によるものとみられる、と外交部は説明した。処理されずに排出された汚染水に対する研究結果だったため、多核種除去作業の後に希釈して排出すれば、環境に及ぼす影響は少ないというのが合理的推論だということだ。

 ただし、これらの研究は「被ばく量基準を超えた日本のイカナゴなどは、日本の海域の外には移動しない」「米国に輸入された海産物についての検査結果」など、米国に及ぼす影響に焦点を当てたもので、福島第一原発の汚染水の「安全性」を直接的に予測する尺度として借用するには無理があるようにみえる。

 外交部も、日本の汚染水放出計画が実際に安全かどうかを判断するには、現在のところ提供されている情報が少なすぎるとみている。これについて政府は、日本政府、国際原子力機関(IAEA)、周辺国に対して憂慮を表明し、対応策を講じている。

 外交部によると、日本政府は現在まで、汚染水の処理方式と時期について確定していないという。当初は、2022年の夏ごろに福島第一原発の敷地内の汚染水貯蔵タンクが飽和すると見て、日本政府が今年下半期には海洋放出決定を発表すると予想されていたものの、降水量の減少などで貯蔵タンクの飽和時期がおおよそ2023年春ごろになると推定されているため、日本政府の決定も遅くなる可能性があるという観測が出ている。現在、日本政府は、多核種除去設備(ALPS)で放射性物質を除去した汚染水を保管しているが、処理作業後にもトリチウム(三重水素)と放射性炭素(C14)は残る。これについて日本政府は、「処理水」を国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告する年間許容放射線被ばく量の1ミリシーベルト以下に下げて放出する計画だが、実際にどのように履行されるかは未知の領域だ。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/973136.html韓国語原文入力:2020-12-07 16:43
訳D.K

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