中国の王毅・外交担当国務委員兼外交部長が、米国のジョー・バイデン次期大統領の就任を控え、米国の2つの主な同盟国である韓国・日本と安定的な“関係維持”のための歴訪に乗り出した。バイデン政権が発足してからも続くと予想される米中対立の中で、韓国の悩みも深まるものと見られる。
チェ・ヨンサム外交部報道官は24日、定例ブリーフィングで「カン・ギョンファ長官が26日、王毅外交部長と韓中外相会談及び昼食会を行う。両国外相は新型コロナウイルスへの対応における協力および両国間の高官級交流などの2国間関係や、朝鮮半島情勢、地域および国際問題など、相互の関心事について意見を交換する。(今回の会談は)両国関係の発展に向けた多様な方策を模索する契機となる見通し」だと述べた。
これに先立ち、王毅外交部長は同日午後に最初の訪問先である東京で日本の茂木敏充外相と会談した後、晩餐を共にした。今回の会談で日本と中国は「安定的な両国関係が地域と国際社会にとって非常に重要だ」ということで意見が一致し、今月中にビジネス目的の往来を再開することにした。王毅外相は25日には菅義偉首相を表敬訪問した後、韓国に渡る予定だ。韓国では26日、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官、ユン・ゴニョン議員、ホン・イクピョ議員らと朝食を共にした後、カン・ギョンファ長官と会談し、夕方にはイ・へチャン前共に民主党代表が主催する晩餐会に出席する。
王毅外交部長は今回の歴訪で、バイデン政権の発足後進められる見込みの韓米日の三角協力による“中国けん制”の試みを、事前にけん制するものとみられる。先月6日、王毅部長は“中国包囲”のための米国・日本・オーストラリア・インドの4カ国の安全保障協議体「クアッド(QUAD)」外相会議の直後、東南アジア5カ国を歴訪し、「米国のインド太平洋戦略は時代遅れの冷戦的思考だ」と批判した。王毅部長は、バイデン政権の発足に合わせて、このような憂慮をより直接的かつ具体的に伝えるものとみられる。8月末に訪韓した中国の楊潔チ外交担当政治局員も「戦略的コミュニケーションを強化し、両国の発展戦略の積極的な連携を推進」することにより、「中国と韓国の戦略的協力パートナー関係を新たな段階に引き上げよう」と提案した。
残る関心事は、中国の習近平国家主席の年内訪韓が実現するかどうかだ。しかし、韓国に新型コロナ感染第3波が押し寄せているうえ、バイデン政権の発足を控えた時点で、習主席の訪韓まで受け入れることは“外交的負担”が大きすぎるという意見が多く、実現は不透明だ。