世界最大規模の自由貿易協定(FTA)である「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)に15日、加盟国が署名した。大統領府はRCEPと「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)が「互いに対立する関係ではなく相互補完的な関係」だと述べた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日、オンラインで行われたRCEP首脳会議の冒頭発言で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と保護貿易の拡散、多国間体制の危機の前で、若くて躍動的なASEAN(東南アジア諸国連合)が中心となり、世界最大規模の自由貿易協定を締結することになった」とし、「我々は自由貿易の価値の守護を行動に移した。歴史的な瞬間だ」と述べた。RCEPはASEAN10カ国に韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドを加えた15カ国が署名した世界最大規模の自由貿易協定であり、CPTPPは環太平洋経済パートナー協定(TPP)から米国が脱退したことを受け、日本など残りの国が修正して作った協定だ。
来年1月にバイデン政権が発足すれば、米国がTPPに復帰するという見通しもあり、韓国が加盟したRCEPは当初、中国が米国主導のTPPを牽制するために積極的に交渉に乗り出したという見方もあった。これに対し、カン・ミンソク大統領府報道官は同日に行われた春秋館でのブリーフィングで、「RCEPを中国が主導する交渉だったかのように誤解する人もいるが、中国主導の交渉ではない」とし、「中国は他の国と同じくRCEPに加盟する15カ国のうち一つだ。交渉開始から今回の妥結まで交渉を主導したのはASEAN」だと述べた。
大統領府の主要関係者は同日、記者団に「RCEPとCPTPPは互いに対立的または対決的な関係ではなく、相互補完的な関係だ。ASEAN諸国の中でベトナムやシンガポールなど4カ国と日本やオーストラリア、ニュージーランドなどはいずれも加盟している。それなのに、どうして対立的だと言えるのか」と述べた。同関係者は「我々は米中対決の観点ではなく、多国間主義に立脚した域内自由貿易秩序を拡大する趣旨でRCEPに加盟した」と付け加えた。