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韓国直撃した4つの台風、気候変動の影響でまっすぐ北上

登録:2020-09-11 06:21 修正:2020-09-11 07:16
台風5号、8号、9号、10号 
経度と平行に動く 
台風の安全地域も備えが必要
2016~2020年、韓国に影響をもたらした台風の経路。過去の台風は北東に進む傾向がある一方、最近の台風は北進する傾向を示した=気象庁国家台風センター提供//ハンギョレ新聞社

 今年、韓国に被害をもたらした4つの台風は、すべて南側から北に直進する異例の経路を示した。このような現象は、気候変動の影響である可能性が高いと分析されている。台風の強度が高まり、経路も“まっすぐに”進む傾向が続く見込みのため、韓国中部の内陸や北朝鮮の東北地方など普段は台風の影響を受けない地域も、被害が大きくなる確率が高まる。

 今年、韓国に影響をもたらした台風5号(チャンミー)、8号(バービー)、9号(メイサーク)、10号(ハイシェン)の経路は、すべて東方向に転向せずまっすぐ北進した。特に西海岸に沿って北上した台風8号と、東海岸に沿って北上した台風10号の経路は、経度と平行線をなすほど南から北へまっすぐ進んだ。

 気象庁のイ・ヒョンス気候予測課長は「晩夏から初秋にかけ、北太平洋高気圧が日本や韓国の南東に位置すると、韓国に近付く台風はその端に沿って北西に進み、緯度30度付近で北東に方向を変えるのが一般的な経路」だとし、「しかし、今年は北太平洋高気圧が日本列島に位置し、オホーツク海まで気圧の尾根が発達し、台風が北進する傾向を示した」と分析した。気象庁のオ・イミョン国家台風センター予報官も「今年は特に西側に形成された気圧の谷の前面に向け北に進むジェット(気流)が強く、台風が早く北進した」と述べた。

 このような傾向は、過去20年間、韓国に大きな影響をおよぼした台風の経路と比べても明らかだ。2001~2010年は伝統的な経路をとり、台風が楕円に近い軌跡を描き、北東に進んだ。一方、過去10年は北進する傾向が強かった。済州大学のムン・イルジュ教授(台風研究センター長)は「最近は北太平洋高気圧の北西への拡張傾向が明らかで、(北方向に直進する台風は)来年以降も続くことがありうる」と述べた。ムン教授は「原因として気候変動が第一に挙げられているが、自然変動性も排除できない」とし、「中緯度の太平洋地域の海水面温度が数十年周期で振動する『太平洋10年周期振動』(PDO)が2010年代初めまで負の値で進行し、最近になり正の値に転換したことも台風の経路の変化に影響を及ぼした可能性がある」と付け加えた。

 一方、世界気象機関(WMO)傘下の「台風委員会」が最近発刊した「気候変動による台風変化に関する報告書」は「気候変動により台風の発生数は減少する一方、台風の強度はますます強まるだろう」という分析を示した。実際、1977年以後、韓国に影響をもたらした“超強力”台風19個のうち、2000年以前は8個であるのに比べ、2000年以後は11個であり、最近の増加傾向を示している。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/961671.html韓国語原文入力:2020-09-11 02:42
訳M.S

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