今週末が「ソーシャル・ディスタンシング」をレベル3に引き上げるかの分岐点になる見通しだ。週末までに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散を抑えることができなければ、米国・欧州のような大流行に入る可能性があるという警告が出たためだ。クォン・ジュヌク中央防疫対策本部(防対本)副本部長は20日、「週末までに患者の追跡が十分にできない場合、私たちも米国や欧州が経験した最も深刻な状況にいつでも進入する可能性がある」と述べた。COVID-19の新規感染者はこの日0時現在、288人(国内発生276人)。この1週間、3桁の増加が続いた上、この3日間連続して200人を超えるなど、猛烈な拡大の勢いは全く収まりそうもない。
現在の峠を左右する変化要因は大きく4つだ。週末までにこの4つがどうなるかによって、本格的な大流行が始まるか、それとも流行を初期段階で鎮圧するかが決まる。
■光化門集会が起爆剤?
今月15日、光化門(クァンファムン)で開かれた保守派団体の集会参加者たちの感染が本格化している。サラン第一教会から始まった集団感染が、光化門集会を起爆剤にして爆発しているのだ。防対本は同日、光化門集会の参加者のうち感染者60人が確認されたと明らかにした。このうち33人はサラン第一教会の信者で、18人はサラン第一教会とは関係なく光化門集会だけに参加した人たちだ。このほか9人は、当時携帯電話の基地局の通信情報などを通じて光化門集会に参加していたことが確認された。
この日の集会には全国各地から2万人余りが参加した。屋外で行われた集会だったが、唾を飛ばしてスローガンを叫ぶなどの集会の特性上、感染者が少なくないものとみられる。集会の参加者のうち20日朝までに約8500人が診断検査を受けた。集会の参加者に続き、光化門集会に投入された警察官のうち4人もこの日、陽性判定を受けた。当時光化門に配置された警察力は7613人にのぼる。
光化門集会の参加者がCOVID-19にかかったとすれば、症状は21~22日頃に本格的に現れる。クォン・ジュヌク副本部長は「早ければ2日で症状が現れることもあるが、大体6~7日が経過してから出てくるため、金曜日までは感染確定者または症状発現者が引き続き出る可能性のある状況」とし、「光化門での集会が全国拡散の起爆剤として作用していると判断する」と述べた。
■首都圏を越えて全国に?
光化門集会には全国から貸切バスを動員して多くの人々が集まった。その人々が住む地域に戻って「伝播の元」になったとすれば、その影響も今週末から徐々に現れるものとみられる。この日、中央災害安全対策本部(中対本)は「光化門関連の感染確定者が9市・道にわたって全国的に分布しており、非常に懸念される」と述べた。光化門集会関連の感染者は、慶尚北道5人、釜山(プサン)2人、忠清北道1人、忠清南道1人で、全国各地で続出している。サラン第一教会関連の累積感染者もこの日午後12時基準で676人だが、このうち39人は非首都圏から出た。
最近の拡散傾向の中心にあるサラン第一教会と光化門集会でなくても、地域ごとに相次いでいる集団感染も無視できない規模だ。光州の遊興施設関連の感染確定者はこの日2人増え、計21人となり、釜山でも沙上区(ササング)のヨンジンボルト関連(10人)、知人の集まり関連(9人)、蓮堤区(ヨンジェグ)の一家関連(12人)などの集団感染が続いている。最近になって、感染者の80%以上が続出する首都圏だけでなく、非首都圏でも流行増加が憂慮される状況だ。キム・ガンリプ中対本第1総括調整官はこの日「ソウル・京畿地域で発生した集団感染が全国的大流行に広がりかねない一触即発の状況」と述べた。
■感染経路不明患者はどのくらい増加?
防疫当局が最も懸念しているのは、「感染経路不明感染者」が増え、「静かな伝播」が続くことだ。20日午前0時現在、最近2週間(8月7~20日)に届け出があった患者のうち、感染経路が把握されていない人の割合は14.7%に急増した。8月1日までは6.6%に過ぎなかった感染経路不明患者の割合が2倍以上増えたということだ。感染経路不明患者の割合は10日に10%台(10.4%)に増えた後、11~14%台を維持している。さらに懸念される部分は数字だ。この2週間、感染確定者1847人のうち272人がどこで感染したのか分からない状況に置かれたためだ。今月12日までは感染経路不明患者は53人にすぎなかった。今のように患者数が増えれば、疫学調査を通じて伝播のつながりを探す追跡スピードが遅くなり、これが伝播拡散につながる。こうなると、誰がいつどこで感染するか分からない状況に入る。
高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「感染経路がわからない患者1人は実際には1人ではない。誰かを通じてすでに感染しており、自分も誰かを感染させるという点で表に出ている数倍、数十倍になる可能性があるということを意味する」と述べた。
■「レベル2のソーシャル・ディスタンシング」の効果?
感染確定者数が連日急増し、防疫網の統制から徐々に外れる状況を制御できる唯一の手段は、今のところ「ソーシャル・ディスタンシング」だけだ。19日午前0時からインターネットカフェなどの高危険施設の運営中止など強化されたレベル2のソーシャル・ディスタンシングの措置が実施されている。クォン・ジュヌク防対本部長は「今週末に追跡調査と診断検査、隔離措置など努力した結果が現れ始めるはずで、同時にレベル2のソーシャル・ディスタンシングの効果が加わり、全体の流行を管理するのが現在としては最高の目標」と述べた。しかし、依然としてカフェや飲食店には人が多く訪れるなどソーシャル・ディスタンシングがきちんと守られず、防疫の手綱が緩んでおり、レベル2の効果がどれほどあるかは疑問だ。政府はまだレベル3への引き上げは検討していないと否定しているが、効果がなければ来週にはレベル3の引き上げも避けられなくなる。翰林大学医学部のキム・ドンヒョン教授(韓国疫学会会長)は、「緩んだ雰囲気を今週中にどれだけ整え、どのように対応するかによって流行の程度が変わるだろう」と予想した。