ある就活生の問題提起で、全世界の人が利用する英国ケンブリッジ辞典から日本帝国主義の象徴である「靖国神社」と関連した不適切な例文が削除されたことが確認された。ケンブリッジ辞典は「(神聖な場所に)安置する、(神聖なものとして)祭る、大切にする」という意味の「enshrine」を説明する際、例文として「靖国神社に祭られた」という意味の文章を使用してきた。
駐英韓国大使館は30日、ハンギョレの取材に対し「今年5月にケンブリッジ辞典出版社側に『enshrine』という単語の例文の修正を要請し、20日に別の文章に修正された」と述べた。大使館関係者は電子メールで行われたインタビューで、「今年4月に国民申聞鼓(行政機関などへの統合型オンライン公共窓口)を通じて提起された問題について出版社に修正を要請し、受け入れられた」と伝えた。当初ケンブリッジ辞典は英単語「enshrine」の例文として「およそ250万人の死者が靖国神社に祭られている(Almost two and a half million dead are enshrined at Yasukuni)」という文章を使用してきたが、今は修正された状態だ。
ケンブリッジ辞書の例文に対する問題提起は、韓国のある就活生から始まった。Aさんは今年4月、国民申聞鼓ホームページに書いた文で、この例文について「『enshrine』には『大切にする』という意味が込められており、非常に神聖な場所に保管することを意味する。靖国神社には、戦犯加害者たち、つまり朝鮮・大韓帝国を植民地とし、大韓民国の歴史以前の私たちのルーツを破綻させ、踏みにじった人たちが祭られている。こうした場所を神聖な場所と称し、単語を説明するのは理解できない」と主張した。
これに対する駐英韓国大使館の対応は素早かった。大使館側は直ちに辞書を出版したケンブリッジ大学出版社側に修正を要請した。出版社に送った電子メールで、大使館は「靖国神社は19世紀に建てられて以来、多くの日本人の魂を祭る場所として使われてきたが、第2次世界大戦のA級戦犯たちが合祀されており、過去の軍国主義を美化するための象徴として活用されている点で、議論の対象になっている場所だ。神聖なイメージを持つ単語である『enshrine』の例文として靖国神社に関する内容が使われることは不適切であり、(このような事情に)疎いものだ」と指摘した。
その後、出版社側は「大使館の指摘と主張を十分理解できる。見落としていた点を指摘してくれたことに感謝する」として、当該例文を20日に修正した。現在、ケンブリッジ辞典にはこの例文が「彼女の父は彼女の墓に祭壇を建て、彼女が7月のその日に着ていた服と靴を安置する予定だ(Her father plans to build an altar at her grave, enshrining the dress and shoes she wore that July day)」という文章に変わっている。
国際社会では本や政府の公式文書で「靖国神社」を説明する文章にこの言葉(enshrine)が依然としてよく使われている。今回のケンブリッジ辞典の修正措置で、他の文書もこれから修正されるものと見られる。駐英韓国大使館の関係者は、「世界中の数多くの英語学習者が参考にしている英語辞典に、歴史に対する理解不足による例がこれ以外にも多く存在するかもしれないと思った。意図的というより、正確な歴史的事実を知らないことによるものが大半であろう」としたうえで、「こうした事例を地道に探し出し、出版社などに正しい歴史的事実を知らせるとともに、歪曲されたり不適切な文章は修正を要請する作業を続けていきたい」と述べた。