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地域差別、黒幕陰謀論…またも吹き荒れるヘイト表現とフェイクニュース

登録:2020-05-27 01:40 修正:2020-05-27 07:12
ユン当選者だけでなくイ・ヨンスさんにも 
一部のネットユーザー、不正確な内容広める 
「本質をぼかし、問題解決を困難に」指摘
日本軍「慰安婦」被害者で女性人権運動家のイ・ヨンスさん(92)が25日午後、大邱寿城区晩村洞のインターバーゴホテルで記者会見を開き、正義記憶連帯関連疑惑への思いを述べている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 イ・ヨンスさん(92)の記者会見において正義記憶連帯(正義連)の会計不正疑惑が提起されたことと関連し、一部のネットユーザーらが問題の本質をぼかすヘイト表現やフェイクニュースを広めている。

 26日現在、SNSなどを見ると、イさんが二度にわたり記者会見を開き、正義連の前理事長で共に民主党のユン・ミヒャン当選者や正義連の運動方式などについて問題を提起して以降、イさんが大邱(テグ)出身であることを攻撃する地域嫌悪発言があちこちでアップされている。あるツイッター利用者は、「イさんが欲張りなのか、関心を引きたいのか…。故郷が大邱の近くだからじゃないですか?」とつぶやいた。ポータルニュースのコメント欄にも「大邱のおばあさんとクァク・サンド(未来統合党議員)! そして会見文を書いたクァク氏(イさんの養女)…まったく大邱らしいな」などの書き込みが相次いだ。果てはイさんの「慰安婦」被害事実を嘲笑するヘイト表現まで出現した。

 フェイクニュースも流布している。今月25日、大邱市寿城区晩村洞(スソング・マンチョンドン)のインターバーゴホテルで開かれたイさんの2回目の記者会見で、「クァク・サンド議員が隣でコーチをした」という主張が代表的だ。ある事業家がフェイスブックに「クァク・サンドがイさんの横に立っているだけで今日の記者会見の信頼度はぐんと落ちざるを得なかった」と書いた。しかしクァク議員は、記者会見が開かれる時間にはソウル汝矣島(ヨイド)の国会で開かれた会議に出席していた。この事業家は後で内容を訂正したが、すでに「クァク議員がイさんのそばにいた」ということは既成事実化され、広まってしまっていた。

 26日、放送人のキム・オジュン氏が交通放送(TBS)の『キム・オジュンのニュース工場』で「イさんが直接書いたものでないことは明白だ」と、会見文を代わりに作成した人物として「行こう!平和人権党」のチェ・ヨンサン代表を名指しして以降、チェ代表や保守団体などがイさんを背後で操っているという陰謀論も広まった。しかし、イさんの養女であるクァク氏はこの日、オーマイニュースに「おばあさん(イさん)の同意を得て記者会見文を代わりに作成し、おばあさんにも確認してもらった」と述べ、この主張も事実ではないことが明らかとなった。

 イさんが2012年の第19代総選挙でセヌリ党に公認申請をしたとして、当初から保守政党性向という話も広まった。イさんは第19代総選挙当時、「どの党でも関係なかった」としてセヌリ党に公認を打診したが応答がなく、共に民主党の前身である民主統合党の比例代表候補として出馬を宣言している。

 嫌悪はユン当選者にも向けられている。SNSには「ユン当選者と夫のキム・サムソク氏はイ・ソッキ元議員と親しかった」とし、キム氏とイ元議員が握手する写真などが広まっている。一部の極右メディアは、キム氏が2017年の再審で一部無罪判決を受けた「兄妹スパイ団事件」で、1994年に懲役4年の刑を言い渡されたことをめぐり、「挺対協、そしてユン・ミヒャン代表が『従北』(北朝鮮に追従する人)だと確信している」という記事を書いてもいる。

 淑明女子大学のホン・ソンス教授(法学)は、「ヘイトは個人の具体的な過ちや問題を集団の過ちにしてしまう性質がある。スケープゴートを作って問題をより大きく見せ、単純化するもの。これは本質をぼかし、問題解決をより困難にする」と指摘した。

チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/946566.html韓国語原文入力:2020-05-26 17:06
訳D.K

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