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ナヌムの家、生活館の増築・土地購入に後援金11億ウォンを流用

登録:2020-05-21 08:39 修正:2020-05-21 11:29

「ホテル型療養所」の疑惑深まる 
2010年以降、土地購入に約8億ウォン 
ハルモニたちのための非指定後援金など 
駐車場2筆・林野購入に流用 
曹渓宗理事「追悼事業のために土地購入」 
 
昨年の生活館増築の際も2億5千万ウォンを同意なしに支出 
増築計画書には「一般の女性高齢者を増員」と明示 
職員ら「運営陣が入所者を集めるよう指示」

京畿道広州市退村面元堂里のナヌムの家の全景。中央に見える建物が増築された日本軍「慰安婦」被害者の生活館=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗ナヌムの家」が土地購入や生活館の増築などを行う際、後援者の同意なしに後援金を流用したことが確認された。特に、増築した生活館には「慰安婦」被害者ではない一般の女性高齢者を入所させるという計画も推進していたことが明らかになった。被害者ハルモニ(おばあさん)のための後援金64億ウォン(約5億6千万円)が、当の被害者には使われず、運営機関であるナヌムの家がこの金で「ホテル型療養所」を建設し、収益事業を行おうとしているという疑惑がさらに深まっている。

 20日、ハンギョレが入手した内部資料によると、ナヌムの家法人はハルモニたちの生活館や歴史館、事務室、追悼公園の他にも駐車場2筆(約540坪)と林野1筆(約2千坪)を保有している。地目が「畑」の駐車場2カ所は、2010年12月に2億8600万ウォン(約2500万円)と2015年11月に3億9600万ウォン(約3500万円)でそれぞれ購入した。2016年8月に購入した林野は2億ウォン(約1750万円)だ。ナヌムの家のアン・シングォン所長は「駐車場は(今後建てる)国際平和人権センターの敷地で、林野は追悼公園を拡張するために購入した」と説明した。

 しかし、職員らはこの土地を購入した資金の出所が適切でないと指摘する。まず駐車場敷地の購入代金は、すべてハルモニたちに送られてきた「非指定後援金」で賄った。後援金は使用する所を後援者が指定するか否かによって「指定後援金」と「非指定後援金」に分けられる。後援者が使途を決めていないからといって、募金した人が思い通りに使えるわけではない。保健福祉部の指針に従って、非指定後援金は土地や建物などの資産取得に使うことができない。しかしナヌムの家はこの土地の買入代金をはじめ、「畑」を他の用途で使う際に出さなければならない農地保全負担金や取得・登録税、砂利を敷く工事など整備代金まで約4600万ウォン(約400万円)も後援金から引き出した。林野の購入代金は「国際平和人権センター」建設に使うよう指示された指定後援金で支払った。

 後援金の流用は、昨年の生活館増築工事の際にもあった。ナヌムの家はタレントのユ・ジェソク氏の国際平和人権センター指定後援金2億1千万ウォン(約1800万円)、歌手キム・ドンワン氏の非指定後援金4000万ウォン(約350万円)を本人の同意なしに増築工事に使った。このような種類の後援金を施設増改築に使うためには、管轄の主務官庁の承認を受けなければならないが、ナヌムの家は二人がこれに同意したかのように書類を作成し、京畿道広州市に提出した。アン・シングォン所長は「該当部分に本人の同意を得ることができず、他の非指定後援金で充てた」と認めた。京畿道は同日、ナヌムの家の特別点検の中間結果を発表し、土地の取得と増築工事に後援金を不当に支出した事実を確認したと発表した。

 ナヌムの家法人理事会は生活館の増築事業計画書に工事が必要な理由として「外部の被害者ハルモニ及び一般要保護対象者の高齢者の入所による増員」と明示した。工事の公開入札が始まった直後の昨年1月から、アン所長ら運営陣が職員に対し、「施設に入所できる一般の女性高齢者を集めるよう」指示したという記録も残っている。同年2月の理事会でホテル型療養所の設立が取り上げられ、「後援金をそのままにせず、建物の増築などに使った方がいいかもしれない」という発言まであったことから、後援金を利用した生活館の増築工事はハルモニたちとは関係がないというのが職員たちの主張だ。

 キム・デウォル学芸室長は「ハルモニたちに残された時間が少ないと考え、(収益事業のための)作業を始めるのではないかと懸念される」と述べた。実際、ナヌムの家は、社会福祉法人に認可を受けた1996年以降、定款を数回改定してきたが、この過程で「慰安婦」被害女性のための施設を運営するという内容が消えた。法人登記簿謄本にも「無依託独居老人のための無料養老施設」を設置・運営すると明示されている。

 運営陣と理事らはハルモニたちのための事業だったと反論した。ナヌムの家の理事のファピョン僧侶は「土地購入をしたのは国際平和人権センターを設立し、ハルモニたちの追悼事業のためのものだが、人手不足できちんと運営できなかった部分がある」と説明した。アン所長は「雨漏りするなど、生活館の施設が老朽化して工事を行った。裏山は追悼公園を作るために購入したもの」だと述べた。

パク・ダヘ、イ・ユジン、チョ・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/945813.html韓国語原文入力:2020-05-2102:13
訳H.J

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