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「慣行無視」チュ長官、抗命攻撃のゴリ押し…「指示無視」ユン総長、名分と実利失った

登録:2020-01-13 06:34 修正:2020-01-13 07:25
「検察高官人事」をめぐる法曹界の見解 
 
長官が検察庁の指針を受けて人事案を作成 
先に意見を出せというのは越権の指示 
 
ユン総長、長官の呼び出しには応じるべきだった 
「総長権利の放棄=抗命」は説得力足りない
今月10日午前、チュ・ミエ法務部長官(左)が京畿道政府果川庁舎内法務部に出勤している。同日午後、ユン・ソクヨル検察総長がソウル瑞草区の最高検察庁で構内食堂に向かっている/聯合ニュース

 「チュ・ミエ法務部長官が長年の人事慣行を無視したのは事実だ。しかし、長官の指示に従わなかったユン・ソクヨル検察総長にも問題はある」。検察幹部人事をめぐチュ・ミエ長官-ユン・ソクヨル総長の正面衝突を見る法曹界の一般的な見方は、いずれか一方の肩を持たない。

 チュ長官は、パク・サンギ元法務部長官まで続けてきた人事慣行をほとんど守らなかった。前・現職の法務部、検察高官らの話を総合すると、人事案は法務部長官が大統領府の指針を受けて先に作成する。検察局長を務めたある人物は、「議論をするためには、当然草案が必要だ」とし、「今回は、チュ長官がユン総長にまず人事に関する意見を求めたそうだが、それは総長に越権を指示したことになる」と指摘した。

 人事案が作られれば、長官が総長に連絡して“第3の場所”で会う。保安がもっとも大きな理由だが、長官級の総長に対する礼遇の意味もあるという。文在寅(ムン・ジェイン)政府発足後、パク・サンギ長官とムン・ムイル総長が人事協議をする際、チョ・グク大統領府民情首席もほとんど出席した。調整がうまくいかず、何度も会った場合もあるという。元検察官の弁護士は、「意見の調整が難しい時に備え、人事案は人事予定時点より早めに作る」と語った。

 このような慣行は、文在寅政府発足後、ムン・ムイル総長はもちろん、昨年7月、ユン総長就任後もそのまま守られた。しかし、チュ長官がこれを守らなかったことを受け、ユン総長は法務部人事委員会の開催30分前に法務部への訪問を求めたチュ長官の指示に従わなかった。”抗命”議論が起きた地点だ。

 これをめぐっては、人事案に検察総長の意見が反映されなくても、ユン総長が長官の呼び出しに応じるべきだったという意見もある。検察関係者は「慣行は不文法であって、成文法ではない」と述べた。ひとまず会って、手続き上の正当性という“名分”と参謀らの保護という“実利”のうち一つでも確保すべきだったが、どちらも逃したということだ。

 しかし、人事案に対する意見の開陳は検察総長の権利であるだけに、これを行使しなかったからといって「指示不履行=抗命」と見なすのは、説得力が足りないという指摘もある。検察庁法には「検事の任命と補職は法務部長官の推薦を受け、大統領が行う。この場合、法務部長官は検察総長の意見を聞き、検事の補職を推薦する」(第3条第1項)となっている。元検察官の弁護士は、「長官の人事専横を防ぐため、検察総長に意見の開陳権を与えたもの」だとし、「ユン総長の行動は、自分の権利を放棄したものだが、だからと言ってこれを抗命だと攻撃するのは、法の趣旨はもちろん、常識にも合わない」と話した。

カン・ヒチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/924136.html韓国語原文入力:2020-01-13 02:31
訳H.J