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死亡直前にも…SNSまで追いかけた悪質なコメント

登録:2019-11-26 09:38 修正:2019-11-26 12:23
ポータルサイト・SNSなど業者の自浄作業にも関わらず 
リアルタイムでのコミュニケーションが増え、対応は困難 
「犯罪認識」持たせる処罰強化が急務
25日午後、ソウル聖母病院の葬儀場にファンたちのために設けられた故ク・ハラさんの安置所に弔問客が並んでいる=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 歌手のソルリに続きク・ハラまで、芸能人が相次いで命を絶ったことで、悪質なコメントに対する対策作りを急げという声が高まっている。2人が普段から悪質なコメントについての苦痛を訴えてきたということから、この世を去ったのには悪質なコメントが相当な影響を及ぼしただろうというのが一般的な分析だ。ある中堅俳優はハンギョレの電話取材に対し、「不特定多数が毎日自分のことを嫌いだと悪口を言うのに誰が耐えられるか」と言い、「悪質なコメントが一つでもついたら気になるもの」と、悪質なコメントの深刻性を提起した。

 2000年以降から、無念にも命を絶った芸能人は約40人に上る。かつては生活苦などの理由が多かったとすれば、インターネット文化が活発になってからは、悪質なコメントが心を傷つける主な原因となっている。チェ・ジンシルをはじめユニ、ソルリなどが悪質なコメントによってこの世を去った。

 悪質なコメントが社会的問題として浮上し、「悪質なコメントの温床」と呼ばれるポータルサイトも自浄作業に取り組みだしてはいる。カカオダウムはソルリの死をきっかけに、芸能記事のコメント機能を廃止した。一方、ネイバーは「クリーンボット」で不快な中傷が含まれたコメントを自動的に隠すフィルタリングを強化しただけで、批判にもかかわらずコメント機能はそのまま維持している。

 最近はポータルよりはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でファンとコミュニケーションする芸能人が増え、むしろ悪質なコメントの中心はSNSに移った。実際にク・ハラのSNSには死亡5時間前にも悪質なコメントが書き込まれていた。ある芸能事務所の関係者は、「ポータルのコメントは芸能事務所が自主的に見ないように注文できるが、SNSに書かれるコメントは見るなとは言えない。リアルタイム映像でファンとコミュニケーションしたりもするが、そのような状況で書かれるコメントは対処できない」とし、「SNSのコメントの方が深刻だ」と話した。幸いツイッターがカナダ、米国、日本でテスト適用した「コメントを隠す」機能を全世界に拡大適用すると25日に明らかにするなど、SNS業界も変化を図ってはいる。以前は悪質なコメントを消すには文全体を下ろさなければならなかったが、「コメントを隠す」機能を利用すれば、ユーザーが自主的に悪質なコメントを隠す処理をすることができる。

 しかし、自浄努力に頼るよりは処罰強化などの法的・制度的対策を打ち出すべきとの声が高い。ある芸能事務所の代表は、「悪質なコメントをする人を逮捕しても主に罰金刑などの甘い処罰で終わるケースが多いため、悪質なコメントは根絶されないのだと思う」と話した。実際、ソン・ヨンジェ(元新体操選手)を誹謗する悪質なコメントを書き込んだ30代は罰金30万ウォン(約2万8千円)の処罰にとどまった。また別の芸能事務所のマネージャーは「捕まえても申し訳ないと言えば強く責められなくなったり、アーティストのイメージを考えてそのまま善処することになる」と語った。

 芸能マネジメント協会のソン・ソンミン会長は、ハンギョレとの電話インタビューで「禁止語を多く作るなどインターネット上の悪質なコメント防止法を作り、処罰を強化し、これが犯罪だという認識を植え付けることが重要だ。法・制度補完に向けて政界の関心が必要だ」と強調した。

 2008年10月に(俳優の)チェ・ジンシルが命を絶った後、インターネット実名制の導入を骨子とする「チェ・ジンシル法」導入が進められたが、インターネット会社や政界などが「表現の自由」を理由にあげ、実現していない。アイドル出身のある芸能人は「ハンギョレ」との電話インタビューで「私たちはまたインターネット実名制について話し、悪質なコメントの対策作りを求めている。遅々として進まないうちに、私たちの友人たちは亡くなっている」と語った。

ナム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/918457.html韓国語原文入力:2019-11-26 02:14
訳C.M