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チョ法務部長官候補、疑惑解消は果たせたが…聴聞会のない任命は政権の“負担”に

登録:2019-09-04 09:15 修正:2019-09-04 13:16
記者懇談会、どんな影響を及ぼすか
チョ・グク法務部長官候補者が今月2日午後、国会で開かれた記者懇談会で記者団の質問を聞いたあと、しばし横を向いている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 チョ・グク法務部長官候補者を危機から救い出す“太い綱”となるか、それとも後々まで足を引っ張る“失策”となるか。3日、政界内外では同日未明まで続いたチョ候補者の「夜通し記者懇談会」を巡る損得勘定が行き交った。

 ひとまず、チョ候補者が長時間にわたって誠実に疑惑を釈明したという点で、短期的には危機脱出の機会をつかんだという評価が出ている。一方、「知らなかった」や「そんなことをしたことがない」という断定的な発言が多く、長期的に検察の捜査や追加検証の局面で不利な状況に追い込まれる可能性があるという分析もある。候補者個人の得失とは関係なく、政権レベルでは相当な負担を避けられなくなった。

■10時間以上にわたる釈明

 チョ候補者個人は確かに得をした。一般の聴聞会であれば野党議員らの怒号で釈明が途切れたはずだが、10時間以上進められた記者懇談会では自分が主導権を握って準備してきた釈明を十分に行うことができたからだ。チョ候補者の支持層だけでなく、共に民主党の支持層だがチョ候補者に批判的だった人がやや向き直った可能性がある。候補者に対する賛成世論が強固になるか、多少高まる余地が生じたということだ。龍仁大学のチェ・チャンニョル教授は「状況がどうなっても文在寅(ムン・ジェイン)大統領はチョ候補者を法務部長官に任命するだろうが、候補者が釈明を十分にしたという点は大統領に任命の大義名分を与えた側面がある」と話した。

 すでに各自の判断が終わった事案なので、世論形成に大きな影響は及ぼさないという分析もある。西江大学現代政治研究所のソ・ボクキョン研究員は、「野党の支持者がチョ候補者の記者懇談会を見て賛成に回るとは思えない」とし、「一部混乱していた部分に情報を提供したのという事実はある。釈明もせず居座っているという態度も払拭した。だが、すでに候補者個人の問題ではない」と指摘した。すでに事態は「賛成世論が何パーセント上がった」と評価して終わるレベルを超えているということだ。

 検察の捜査を受けるチョ候補者の立場としては「危険な選択」だったという評価も出ている。検察としては、調査対象の防衛論理を学習する機会となったからだ。検察がチョ候補者の釈明を覆す物的証拠を見つければ、致命傷を受ける可能性もある。検察特捜部出身のある弁護士は「チョ候補者が否定した各点は捜査計画を立てる際に参考になるだろう」とし、「政治的にはやむを得ない記者会見だったが、捜査の観点からすると、失策だった」と語った。

■「政権の負担はさらに重くなった」

 政権レベルから見れば評価は複雑になる。前日の記者懇談会が国会で開かれた「国民聴聞会」の形式となったという点は長所でもあり短所でもある。国会法が定めた聴聞会が期日内に開かれず、これに代えた面もあるが、法的根拠のない「国民聴聞会」に代えたという批判も受け得るからだ。ソ・ボクキョン研究員は「単なる記者会見だったとすれば『チョ候補者がもどかしさの余り行なったもの』と説明できるが、今回は共に民主党主催で、まだ与野党が聴聞会を開くことができる時期に国会で開かれた。野党が『最初から国会聴聞会を飛ばそうとして企画した』と批判もし得る」と話した。

 文在寅大統領の支持率に否定的な影響を及ぼすだろうという予測も提起された。政治コンサルティンググループ「ミン」のパク・ソンミン代表は、「チョ候補者に対する賛否はそれほど重要ではない。支持者は引き続き支持するだろうし、反対する者は反対の理由を見つけたのだろう」とし、「結局、任命を強行した場合大統領の支持率が落ちるが、どれほど落ちるかが重要だ」と語った。

 検察捜査という前例のない変動要因が長期的にどのような結果を生むのかも注目される。チェ・チャンニョル教授は「法務部長官に任命された状態で犯罪容疑が出れば、今とは比較にならないくらい政権が致命傷を負うことになる」とし、「今は『泣斬馬謖』(規律を守るため信頼する者でも厳正な処分をすること)をすることはできるが、長官になってからはそうはいかない。長官の座に就いても検察捜査は続く」と述べた。今後、検察の捜査方向や結果を予測できないという点で、「チョ・グクリスク」は依然として解消されていないという診断だ。

キム・ウォンチョル、キム・ギュナム、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/908341.html韓国語原文入力:2019-09-04 07:55
訳C.M

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