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[ニュース分析]文大統領、仮定法使い“控えめな警告”…先対話後対応の“両面戦略”

登録:2019-07-09 06:31 修正:2019-07-09 08:35
文大統領「日本の経済報復」に初めて言及 
貿易戦争への拡大を懸念し  
外交的解決策を優先的に強調するも  
大統領府「様々な“カード”あるが  
いずれもかなりの損失伴う」  
 
直接的に対応戦略が取り沙汰される中  
「そうなることを望まない」
文在寅大統領が今月8日午後、大統領府で開かれた首席補佐官会議で発言している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日、大統領府首席・補佐官会議で、「政府は外交的解決に向けて落ち着いて努力する」と述べたのは、日本の半導体の材料の輸出規制後に高まった韓日両国の緊張が、本格的な貿易戦争に拡大することを韓国政府は望まないというメッセージと言える。

 大統領府関係者は「落ち着いて努力するというのは、韓日友好関係が傷つくことを外交的手段を動員して阻止しようというものだ。(今日のメッセージは)両国関係が外交的に取り返しのつかない段階に進むことを防ぐためのもの」だと述べた。文大統領は同日、「対応と正面対立の悪循環は両国いずれにとっても決して望ましくない」としたうえで、「日本側の措置撤回と両国間の誠意ある協議を求める」と述べた。過去の歴史問題を除いた経済や安保、文化など、多様な領域で緊密な協力関係を結んできた両国が、全面的貿易戦争に巻き込まれた場合、その被害は韓国だけでなく日本にも及ぶという点を遠回しに表現したのだ。日本政府の輸出規制が「ブーメラン効果」をもたらす恐れがあると憂慮する日本内部の状況を意識した発言といえる。

 大統領府高官は「日本が自由貿易の原則に基づき、この問題を政治化せず解決していかなければならないというメッセージ」だとし、「韓国も様々な対応カードがあるが、そのカードを使った場合、両国ともにかなりの損失を甘受しなければならないという考えを遠まわしに伝えたもの」だと説明した。

 ただし、文大統領は、政府レベルの忍耐がいつまでも続くことはないという点も明確にした。韓国企業に実質的な被害が発生した場合、「政府としても必要な対応を取らざるを得ない」と明らかにしたのだ。文大統領は「私はそうなることを望まない」と述べた。大統領府関係者は「当面は外交的解決のために努力するが、日本政府の措置による被害が可視化すれば我慢にも限界があるという意味」だとし、「両国の友好関係がこれ以上傷つくことを望まないという遠回しの警告」だと説明した。

 もちろん、文大統領が外交的解決を強調した背景には、日本と貿易戦争を繰り広げた場合、直ちに困難を強いられるのは韓国企業という現実的な判断もある。大統領府関係者は「大統領が部品素材の装備産業の育成を国家経済政策の最優先課題とし、予算など使用可能な資源を総動員すると言ったが、これはあくまでも長期にわたって継続して推進されなければならない課題だ。当分は外交的な対応が中心にならざるを得ないという意味だ」と話した。

 文大統領の発言について、東西大学国際関係学科のシン・ジョンファ教授は、「大統領が今この状況でできる最善の発言をしたと思う。ただし、日本はホワイトリストから韓国を除外し、自分たちが負う不利益まで計算に入れている状況なので、大統領の今日の発言が日本に直ちに影響を及ぼすのは難しいと見られる」と話した。

 一方、日本の安倍晋三首相が前日、輸出規制を北朝鮮制裁問題と結びつけたことについては、まず正確な意図を把握すべきというのが大統領府のムードだ。大統領府の一部では、安倍首相が今回の事態を今月に行われる参議院選挙に利用するだけではなく、憲法改正など政治的課題を実現するための焚きつけに活用しようとしているという見通しも示されている。

イ・ワン、ソン・ヨンチョル、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/901009.html韓国語原文入力:2019-07-08 22:58
訳H.J

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