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双龍自動車解雇労働者が“10年ぶりの復職”にも笑顔になれない理由とは

登録:2019-06-25 06:11 修正:2019-06-25 07:14
昨年、解雇労働者119人のうち71人が復職 
残りの48人は来月1日に“無給復職”することに 
「社員証でも首にかけないと希望が持てない」 
国家が起こした数十億ウォンの損害賠償訴訟も足かせに 
全国金属労働組合双龍自動車支部が今月24日、ソウル西大門区警察庁前で記者会見を開き、手錠を切るパフォーマンスを行っている=イ・ジュビン記者//ハンギョレ新聞社

 「闘争から10年ぶりに会社からショートメールが届きました」。今月20日、キム・ドクチュン金属労組双龍(サンヨン)自動車支部長が自分のフェイスブックに「双龍自動車技術職の身体検査日程の案内」というショートメールのスクリーンショットと共に、書き込みを残した。キム支部長は翌日も身体検査を受けていた別の双龍自動車解雇労働者が「やっと(復職が)実感できますね」と語ったというエピソードも掲載した。10年ぶりに会社に戻るが、彼らは素直に喜べない。復職はしたものの、国と会社の損害賠償請求訴訟がまだ解決していないためだ。

 2009年の大規模なリストラで、工場から追い出された双龍自動車労働者119人のうち、キム支部長を含めて会社に戻ることはできなかった48人が、7月1日付で復職する。これに先立ち、昨年12月21日に71人が先に復職した。昨年9月14日、大統領直属の経済社会労働委員会の仲裁で労使合意が妥結され、当時の金属労組双龍自動車支部と双龍自動車労組、会社が、復職対象解雇者119人のうち60%を2018年の年末まで採用し、残りの解雇者を2019年上半期に段階的に採用することで合意した結果だ。

 “リストラの手錠”からは解放されたが、彼らが完全に日常生活に復帰できるわけではない。キム支部長を含め、7月1日に復職する48人は、社員証を首にかけるようになっただけで、ラインには配置されていないからだ。いわゆる「無給復職」だ。支援団体「手を携えて」の活動家ユン・ジソン氏は「労使が全員復職で合意した後も、引き続き選別復職が行われてきた。会社は、昨年12月31日付で71人を先に復帰させてから、残りの解雇者たちには待つように言ってきた」とし、「労組は期間内の全員復職の約束を守るよう要求し、代わりに一歩譲歩して、無給でも身分の回復を先にすることを提案したのだ。社員証でも首にかけなければ、希望を持って待てないと思ったからだ」と、経緯を説明した。

 “リストラの手錠”よりもさらに堅く双龍自動車労働者たちを締めつけたのは、「国家損害賠償仮差し押さえ訴訟」だった。警察は2009年、ストライキの鎮圧に投入されて破損したヘリやクレーンなどの賠償を求め、双龍自動車支部の組合員に損害賠償請求訴訟を起こした。裁判所は2013年の1審で、14億1000万ウォン(約1億3千万円)の賠償を命じる判決を下したのに続き、2015年の2審では11億6760万ウォン(約1億1千万円)を賠償すべきという判決を言い渡した。遅延利息まで合わせると、賠償金額は25億ウォン(約2億3千万円)に達する。事件は現在最高裁(大法院)で審理中だ。

 国家の損害賠償請求により、双龍自動車労組組合員たちは、賃金や退職金、不動産などを仮差し押さえされた。2019年2月1日、法務部の措置で、復職労働者26人の仮差し押さえが解除されたが、全国金属労組双龍自動車支部が公開した資料によると、復職者と希望退職者など14人の仮差し押さえはそのままだ。双龍自動車側が労組のストライキで損失を被ったとして起こした損害賠償請求訴訟も、依然として2審が行われている。2013年の1審では、遅延利息年20%を含めて約76億ウォン(約7億円)を金属労組が賠償することを命じる判決が下された。

全国金属労働組合双龍自動車支部が今月24日、ソウル西大門区警察庁前で記者会見を開き、国と会社に損害賠償請求訴訟の中止を求めている=イ・ジュビン記者//ハンギョレ新聞社

 これを受け、全国金属労働組合双龍自動車支部は24日、ソウル西大門区警察庁前で記者会見を開き、「“リストラの手錠”からは解放されたが、『国家暴力の手錠』はそのままだ」とし、「損害賠償訴訟を直ちに撤回せよ」と主張した。チャン・ソグ弁護士は同日の記者会見で、「労働者が憲法に明示された集会デモの自由と労働3権を行使したにもかかわらず、国家がこれに対して損害賠償を請求できるのか」とし、「ほとんど損害賠償の対象がヘリコプターやクレーンに関するものだが、ストの鎮圧にヘリコプターやクレーンを投入することを、果たして適正な公権力の行使といえるのか。これについては、すでに昨年の警察庁真相調査委で、比例原則に違反した違法な公権力の行使という結論が出た」と指摘した。チャン弁護士は「被害があったなら、労働者ではなく、莫大な装備を投入した警察が賠償しなければならない」と付け加えた。これに先立ち、警察庁人権侵害事件真相調査委員会は昨年8月、双龍自動車事件の調査結果を発表し、警察と政府に「公権力の過剰行使について謝罪し、関連損害賠償請求訴訟を取り下げること」を求めている。

 現在、仮差し押さえが残っている双龍自動車労働者のチェ・ヒグク氏(48)は、「今年4月3日、国家人権委員会前で、2009年以降損害賠償仮差し押さえで経験した個人の苦しみと家族の困難について話した」とし、「にもかかわらず、警察の態度にはまだ何の変化も見られない。私と家族は10年が過ぎても抜け出せない透明な鉄格子で作られた損害賠償仮差し押さえの刑務所から解放されることを切に願っている。このような切実な思いが警察庁に伝わり、問題が解決されることを願う」と訴えた。

 彼らは24日から毎週平日1時間にわたり、警察庁前で国家暴力の責任者処罰と損害賠償の撤回を要求する1人デモを行う予定だと発表した。

イ・ジュビン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/899089.html韓国語原文入力:2019-06-24 17:50
訳H.J

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