米国の対北朝鮮実務交渉を率いてきたスティーブン・ビーガン国務省対北朝鮮政策特別代表が24日、韓国を訪れる。ビーガン代表が長ければ一週間ほど韓国に滞在することになるだけに、今回を機に、ハノイで開かれた第2回朝米首脳会談以降の膠着状態の突破口を開くため、北朝鮮と接触を試みる可能性もあるものと見られる。
複数の外交消息筋は14日、ハンギョレの取材に対し、「ビーガン代表が24日に訪韓する」と確認した。日本の大阪で28~29日に開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議直後に訪韓するドナルド・トランプ米大統領より5日も前に訪韓するわけだ。
韓米首脳会談で発信するメッセージを精巧に調整する必要があることから、ビーガン代表の事前訪韓は予見されていた。しかし、これまでビーガン代表が2泊3日または3泊4日の日程で訪韓したことに比べると、今度の日程は異例的に長い。
ある外交消息筋は「ビーガン代表が27日に来ると聞いていた」とし、「この日程は(北朝鮮の金正恩国務委員長がトランプ大統領に送った)親書公開前に決まっていたようだ」と話した。当初27日に訪韓する計画だったというビーガン代表が、親書の公開後に日程を3日も前倒したということだ。
ビーガン特別代表が日程を前倒した正確な理由は確認されていないが、外交関係者の内外では、ビーガン代表がトランプ大統領の訪韓に先立ち、板門店(パンムンジョム)などで北朝鮮側と実務接触を試みる可能性があると見通した。韓国政府も朝米実務接触の可能性を注視している。政府消息筋は「朝米間(実務接触の)日程が決まったわけではないと聞いている」とし、「(ビーガン代表が)韓米首脳会談に先立って訪韓することを機に、できるだけ(北側と)何かを作り出そうとしているようだ」と話した。金委員長が交渉の“期限”を年末までと宣言し、今秋2020年の米大統領選挙政局が本格化する前に突破口が必要だという米国側の計算が反映された動きと見られる。
ビーガン代表の「意欲的な業務スタイル」が作用した可能性がある。昨年のマイク・ポンペオ米国務長官の3度目の訪朝後の膠着局面の中で任命されたビーガン代表は、昨年10月の欧州歴訪や昨年12月訪韓などを通じて、北朝鮮と実務接触を試みたが実現しなかった。
朝米実務接触が実際に行われるかどうかは不透明だ。トランプ大統領に送った金委員長の親書以外に、まだ北朝鮮は朝米交渉に対する具体的な反応を示していないという。にもかかわらず、米国側が積極的に乗り出して実務接触を試みるなら、それ自体が肯定的なモメンタムになる。モーガン・オルタガス米国務省報道官も、シンガポールでの朝米首脳会談1周年の12日(現地時間)のブリーフィングで、「北朝鮮との実務交渉を行う用意があり、準備もできている」と述べた。