ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長から親書を受け取った事実を公開した翌日の12日(現地時間)、北朝鮮問題について「急ぐ必要はない」と述べた。対話の扉を開けておきながらも、北朝鮮の実質的な非核化措置がない限り、時間に追われて交渉を進めることはしないという意志を再確認したのだ。
トランプ大統領は同日、ホワイトハウスでポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領との首脳会談後の共同記者会見で、記者団の質問に「時間が経てば、我々は北朝鮮と非常にうまくやっていけると思う」とし、「私は急がない」と述べた。彼は「急ぐ必要はない」という表現を4回も使った。
トランプ大統領はさらに、「(対北朝鮮)制裁は維持されている」とし、「米国民の抑留者たちが戻ってきたし、(米軍の)遺骨も返還されたうえ、いかなる核実験もなかった」と述べた。また「私は変わるかもしれない。しかし、今現在、我々は良好な関係を保っている」とし、北朝鮮の行動によって自分の態度が変化する可能性があることをほのめかした。
これは、北朝鮮が米国に非核化と相応の措置をめぐる「計算法」の変更を求めて提示した「今年末」という期限に振り回されないという意志を示したものと言える。トランプ大統領は、制裁が維持され北朝鮮の核・ミサイル実験の中止が続く限り、急ぐ必要はないと強調してきた。前日にも3回目の朝米首脳会談に関する記者団の質問に「それは起こり得る」としながらも、「もう少し先のことにしたい」と答えた。
トランプ大統領のこのような反応は、金委員長の親書に朝米の膠着を解消できる内容が含まれていないことを裏付ける。CNNは、親書に非核化対話を進展させる具体案や今後の対話提案は書かれていないと、消息筋を引用して報じた。
米国務省も同日、北朝鮮との対話意志と制裁維持を同時に強調した。モーガン・オルタガス報道官は「我々は北朝鮮と実務レベルの交渉に関与する準備ができており、その意志がある」とし、「そうした努力をしている間にも、経済制裁は維持される」と述べた。
スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表は同日、ニューヨークで15の国連安全保障理事会理事国との非公開会合で、朝米交渉の状況と今後の方向についての意見を交わした。ビーガン代表は、金委員長がトランプ大統領に親書を送ると共に、金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長を板門店(パンムンジョム)に派遣して李姫鎬(イ・ヒホ)金大中平和センター理事長に対する弔意文を渡した点に触れ、「肯定的シグナルと見ている」という趣旨の発言をしたという。