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[ニュース分析]北朝鮮を非核化に導くための韓米首脳の2つの腹案とは?

登録:2018-09-27 06:29 修正:2018-09-27 08:25
北朝鮮の非核化に伴う米国の相応措置に 
「終戦宣言」含まれた可能性も…朝米経済協力も
文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領が今月24日午後(現地時間)、米ニューヨークのロッテニューヨークパレスホテルで首脳会談の途中、握手している/聯合ニュース

 先週平壌(ピョンヤン)で開かれた南北首脳会談で、北朝鮮の非核化の意志を再確認して帰ってきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、今週はニューヨークでドナルド・トランプ米国大統領に会った。両首脳は北朝鮮の非核化を持続的に引き出せる「二つの方策」について協議した。北朝鮮の非核化、先制措置に対する米国の「相応措置」と、今後北朝鮮が享受できる経済発展など「明るい未来像の提示」だ。

■「首席交渉家」の文大統領、トランプ大統領とニューヨークで会談

 キム・ウィギョム大統領府報道官は24日(現地時間)午後、米ニューヨークで国連総会を機に行われた韓米首脳会談の結果関連のブリーフィングで、「文大統領がトランプ大統領に今月18~20日に平壌(ピョンヤン)で開かれた南北首脳会談の結果について説明し、トランプ大統領は会談の結果を歓迎した」と伝えた。文大統領はトランプ大統領に南北首脳会談の結果を説明し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の非核化の意志を再確認しており、トランプ大統領は「遠くない未来に」2回目の朝米首脳会談が開かれる可能性を開いた。

 韓米首脳は会談で、北朝鮮の非核化を追求する案について議論した。キム報道官の説明によると、両首脳の会談では、北朝鮮の非核化の意志を引き出すための方策として、北朝鮮の非核化に対する米国の相応措置▽完全な非核化を成し遂げた場合、北朝鮮の経済発展への支援などが話し合われたものと見られる。

■北朝鮮の非核化による米国の「相応措置」とは?…「入り口で終戦宣言」

 同日、キム報道官は「金委員長の完全な非核化への意志をさらに引き出すために、米国側の相応措置を含めた協力案について緊密な疎通と協力を持続していくことにした」と明らかにした。米国の「相応措置」が何なのかは具体的に示さなかったが、この相応措置に終戦宣言が含まれた可能性が高い。北朝鮮はこれまで、核実験および大陸間弾道ミサイル試験発射の停止▽豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄▽東倉里(トンチャンリ)ミサイルのエンジン実験場の解体など、非核化関連の先制措置を取ったことに対する相応措置として、米国に終戦宣言を要求してきた。

 大統領府関係者は「両首脳は終戦宣言と2回目の朝米首脳会談の日程と場所について踏み込んだ協議を行った」と明らかにした。金委員長が文大統領を通じてトランプ大統領に非核化の意志を伝え、トランプ大統領もまた文大統領を通じて金委員長に北朝鮮の非核化プロセスを開始する最初のボタンであり、相応措置として朝米首脳会談を開き、終戦を宣言できるという立場を伝えたことをうかがわせる内容だ。

 文大統領も今月20日、平壌で開かれた南北首脳会談後の国民向け報告で、韓米首脳会談でトランプ大統領と終戦宣言について協議すると明らかにした。当時、文大統領は「終戦宣言はもう戦争を終わらせて敵対関係を終息させるという政治的な宣言だ」としたうえで、「国連軍司令部の地位とか、在韓米軍の駐留の必要性などには全く影響がないものだ。…私たちは年内に終戦宣言することを目標にしており、トランプ大統領と首脳会談で、その部分について再び話し合うつもりだ」と述べた。

 ク・ガブ北韓大学院大学教授は25日、ハンギョレとの電話インタビューで「相応措置は本格的な非核化プロセスの始まりと共に、入口で終戦宣言という“制度的装置”を作るという意味だ」とし、「信頼構築の最初の段階だ。話がうまく進めば、朝米首脳会談を契機として終戦宣言をするも考えられる」と指摘した。さらに、「相応措置に終戦宣言のほかに他の品目を盛り込むことは難しいかもしれないが、対北朝鮮制裁の部分的かつ段階的解除まで進む可能性もあると思われる」と付け加えた。 大統領府関係者は「(北朝鮮が)米国に相応する措置を要求してきたが、それに対し、いかなる相応措置をとれるかについて、今日両首脳が協議したと理解していいか」という記者の質問に同関係者は「そのように理解していい」と答えた。

左から文在寅大統領、北朝鮮の金正恩国務委員長、米国のドナルド・トランプ大統領//ハンギョレ新聞社

■北朝鮮に示す「明るい未来」とは?…「経済発展」

 この日韓米両首脳が会談で話し合った北朝鮮の「明るい未来」とは具体的に何なのかについても関心が集まっている。キム報道官は同日のブリーフィングで、「特に両首脳は、北朝鮮制裁を継続していく一方、北朝鮮が非核化を実現した場合に得られる明るい未来を示すことで、北朝鮮の完全な非核化の意志を持続的に引き出す方策についても引き続き模索していくことにした」と明らかにした。これに対して大統領府関係者は「北朝鮮が非核化を進め、完全な非核化を達成した場合、新たに変わった米国と北朝鮮の関係の中で、経済発展をはじめ、様々な明るい未来を保障する、示す、それによって非核化を促進していく、そのような意味だ」と説明した。

 これは「北朝鮮が完全な非核化を実施した場合、朝米間経済協力または経済制裁の緩和などを通じて、北朝鮮が飛躍的な経済成長を実現できる」」という論理で、北朝鮮の非核化を促していくことを意味するものといえる。実際、同日の会談で、トランプ大統領は「北朝鮮には莫大な経済的な潜在力があると思う」としたうえで、「金正恩委員長と北朝鮮住民たちもこのような潜在力を確認することを望んでいると思う」と発言し、北朝鮮の非核化が経済発展につながることを示唆した。

 文大統領は20日、国民向け報告で「金正恩委員長は非核化への確固たる意志を重ねて確約した」としたうえで、「できるだけ早く完全な非核化を終わらせて、経済発展に集中したいという希望を明らかにした」と述べた。金委員長が南北首脳会談で完全な非核化を約束するとともに、経済発展に対する意志を表明しており、これを文大統領がトランプ大統領に伝えたことで、韓米が北朝鮮の非核化を促進するために、北朝鮮に経済発展と関連した明るい未来像を提示することに共感を形成したものとみられる。

 ク・ガブ教授は「終戦宣言をした後も、対北朝鮮制裁が現在のように維持できるかどうかは依然として疑問だ」とし、「北朝鮮もその状態に満足するかも疑問だ。終戦宣言と共に、米国が行っている北朝鮮制裁の一定の緩和、特に米国が直接できる独自制裁の撤回ぐらいは行うべきではないかと思う」と指摘した。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/863352.html韓国語原文入力:2018-09-25 14:54
訳H.J

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