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朴正煕政権の緊急措置被害者、憲法裁でも救済されず

登録:2018-08-31 06:08 修正:2018-08-31 09:51
「高度の政治的行為と解釈した 
最高裁の判決に問題ない」憲法訴願請求を却下 
国家賠償の責任認めず
今月30日午後、ソウル麻浦区ソウル西部地裁前の壁に全国公務員労働組合裁判所本部ソウル西部支部の名義でヤン・スンテ元最高裁長官と関連者の拘束を求める横断幕がかかっている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権の緊急措置に「免罪符」を与えた2015年最高裁の判決で、国家損害賠償請求権を剥奪された緊急措置の事件の被害者たちが、憲法裁判所でも救済されなかった。キム・イス、アン・チャンホ裁判官は、「維新憲法に根拠した大統領の高度の政治的行為」という最高裁の判決が憲法裁の「緊急措置は違憲」という決定に反するとして、「裁判の取り消し」意見を出したが、「最高裁の判決には問題がない」という多数の裁判官の壁を越えることができなかった。

 憲法裁判所は30日、「緊急措置の発令に対する国家賠償責任を認めない最高裁判所の判決の取り消し」を求めて、緊急措置被害者らが起こした憲法訴願審判請求を、裁判官7対2の意見で却下した。憲法裁は「裁判所の裁判は憲法裁判所が違憲と決定した法令を適用して国民の基本権を侵害した場合のみ例外的に憲法訴願(裁判の取り消し)の対象となる」とし、「当該最高裁判決は、『緊急措置が合憲であるためでなく、(憲法裁の決定のように)緊急措置は違憲ではあるが、国家賠償責任は成立しない』ということ」だと明らかにした。

 これに先立ち、2015年3月、最高裁判所3部(主審クォン・スンイル最高裁判事)は「維新憲法に根拠した大統領の緊急措置権行使は高度の政治性を帯びた国家行為であるため、政治的責任を負うだけで、国民一人一人に対する関係で民事上の違法行為を構成すると見ることはできない」と判決を下した。朴正煕当時大統領の緊急措置の発動は「高度の政治的行為」であるため、被害者たちが国に損害賠償を請求できないという意味だ。「緊急措置9号は当時、維新憲法に照らしてみても違憲」とした2013年の最高裁判決をわずか2年でに自ら崩したもので、大きな問題になった。同日、憲法裁判官7人の判断はこうした最高裁判決が「緊急措置は違憲」という2013年の憲法裁の決定に反する“解釈”ではないということだ。

 一方、キム・イス、アン・チャンホ裁判官は、当該最高裁判決が緊急措置(1・9号)が違憲だという憲法裁の決定に反するため、裁判そのものを取り消すべきという意見を出した。両裁判官はまず、「例外的に憲法訴願の対象となる裁判所の裁判は『憲法裁が違憲と決定した法令を適用した裁判』だけでなく、『違憲決定に至るようになった核心的な理由の論理を否定する裁判』も含まれる」と明らかにした。さらに、「緊急措置はその違憲性が明白かつ重大であり、当初から発令要件を備えておらず、国民の自由と権利を抑圧するための意図によって発動された」とし、2013年の憲法裁の違憲決定の趣旨を強調した。両裁判官は「このような理由で、最高裁判決は憲法裁の緊急措置の違憲決定に反するため、憲法訴願(裁判の取り消し)の審判の対象となる判決だ。基本権である国家賠償請求権を侵害しており、取り消されなければならない」という意見を示した。

 一方、憲法裁は裁判所の判決を憲法裁で取り消すことを禁止した憲法裁判所法の条項自体が憲法に反するという緊急措置被害者らの主張については、裁判官9人全員一致で棄却決定した。

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/860048.html韓国語原文入力:2018-08-30 23:04
訳H.J

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