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機務司令部、大統領府に「セウォル号犠牲者の水葬」建議した

登録:2018-07-12 05:55 修正:2018-07-12 08:12
2014年5~6月、作業部会が作成報告 
「引き揚げ反対世論作り」」要請し 
朴大統領に「涙の談話」も助言 
政権責任論の払しょくに走る
セウォル号家族協議会の遺族らが23日午後、セウォル号沈没海域の珍島東巨次島沖合を訪れて献花している=珍島/キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
機務司令部が2014年6月5日、朴槿恵大統領に報告した「セウォル号引き揚げの実効性と後続措置に関する提言」=イ・チョルヒ議員室提供//ハンギョレ新聞社

 国軍機務司令部(機務司)がセウォル号惨事後、引き揚げ反対世論を高め、犠牲者を「水葬」することを大統領府に提案した事実が文献で確認された。また、「涙を流し、犠牲者の名前を呼ぶ」などで朴槿恵(パク・クネ)大統領のイメージアップ案も助言したことが明らかになった。

 共に民主党のイ・チョルヒ議員が11日に公開した文書は、2014年5~6月、機務司要員約60人で構成されたセウォル号作業部会が遺族らを視察し、毎日作成したものだ。2014年6月4日に機務司が朴槿恵大統領に報告するため作成した「重要報告」には、引き揚げに反対する「ネチズン世論」が93%だとし、「国民的反対世論や様々な条件を考慮し、引き揚げの有効性には疑問(がある)」と書かれている。機務司は引き揚げ専門家のインタビューとマスコミへの寄稿を通じて「引き揚げの非現実性」を広報すべきだとして、「行方不明者家族たちと虚心坦懐な対話の場(を)作り、引き揚げすべきではないという共感(を)拡散」しなければならないと建議した。

機務司が2014年6月13日に作成した「セウォル号船体引き揚げの必要性の検討」文書=イ・チョルヒ議員室提供//ハンギョレ新聞社 2

 機務司は「(2014年)6月7日、BH(大統領府)に『米アリゾナ湖記念館のような海上追悼公園の造成』を提案したことと関連し、世界各国の水葬文化を確認」したと付け加えた。2014年6月初めから機務司が持続的に「引き揚げ不要論」を朴大統領に主張したことを裏付ける情況だ。機務司は文書で、米国や中国、インドなどの「水葬文化」を取り上げ、「各国の海上追悼公園関連内容を引き続き確認する」と書いた。9日後の日々報告文書では「行方不明者の捜索が終了した時点で、全員の遺体が見つかったかどうかにかかわらず、船体は引き揚げない案を家族たちと協議する必要がある」とし、引き揚げ反対世論を拡散させ、事故原因の分析のために引き揚げを求める声を“遮断”することを建議した。セウォル号の引き揚げが、事故の原因分析を通じた政権の責任論につながることを懸念したわけだ。

014年5月14日、機務司が作成した朴槿恵大統領のイメージアップのための提言=イ・チョルヒ議員室提供//ハンギョレ新聞社

 セウォル号惨事から1カ月後の2014年5月14日に作成した「措置要望事項」で、機務司は「VIP(大統領)の謝罪と慰労にもかかわらず、政府支持率が下落」したとし、「感性に訴える真摯な姿勢」を朴大統領に提案した。機務司は「天安艦犠牲将兵追悼演説をしながら犠牲者の名前を一人ひとり呼び上げた」李明博(イ・ミョンバク)元大統領などを例に挙げ、「国民向け談話の際、感性的な姿勢を示す」必要があると書いた。実際、朴大統領は、それから5日後の同年5月19日に発表した国民向け談話で、涙を流しながらセウォル号の犠牲者らの名前を呼び上げている。機務司は、朴大統領がセウォル号遺族に手紙を書くよう提言しており、家族の中で唯一生き残った5歳のKさんに特に関心を示すよう建議した。「生存者の中で唯一孤児になったKさんに生涯奨学金の支援などをすれば、女性大統領としての母性愛のイメージアップ(を)期待」できるというのが、機務司の提案だった。

 イ・チョルヒ議員は「機務司令部が国家的災難を支援するとし、セキュリティ・防諜の最前線で活躍すべき精鋭要員を60人も引き抜き作業部会を作り、大統領のイメージ改善策を講じるようにしたのは危険な脱線」だと指摘した。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/852935.html韓国語原文入力:2018-07-11 23:02
訳H.J

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