済州出入国・外国人庁が25日、激しい議論を呼んでいるイエメン難民申請者に対する審査に入った。
この日、キム・ドギュン済州出入国・外国人庁長は記者団と会い「済州庁の難民審査官3人が、1日2~3人を審査することができる。客観的かつ公正で厳正な審査を通じて難民認定の可否を決定する。イエメン難民審査対象者は486人であり、全体審査期間は6~8カ月程度かかると見ている」と話した。済州でイエメン難民申請者は計549人だが、486人以外の人は出島制限の前に他の地域に移動したと見られ、当該地域で審査を受けることになる。
難民申請者が審査を受けると通常1カ月以内に決定が出て、個別に通知される。審査結果は難民不認定と認定、人道的滞在者に分類され、不認定や人道的滞在者と決定された場合には異議申請と訴訟ができる。昨年はイエメン人42人が難民認定を申請したが、認定された人はおらず、一部が人道的滞在者と認定された。
済州島から大韓民国の陸地に出る「出島」に対する制限も審査結果によって決定される。難民や人道的滞在者と認められれば、出島の制限が解除される可能性が大きい。これと関連してイエメン難民申請者3人は今月1日、済州出入国・外国人庁長を相手に済州地方裁判所に滞在許可地域制限処分取り消し訴訟を起こした。イエメン難民申請者全体に対する出島制限措置が合法的な手続きを経ておらず、基準も曖昧で違法性があるという主張だ。
実際、4月30日から施行された出島制限措置は、イエメン人たちを当惑させ落胆させている。あるイエメン人は「イエメンでも内戦のために移動が自由でなかったが、いま済州島でも同じ状況だ。出島制限措置でイエメン人らはショックを受けた」とし、そばにいた別のイエメン人は「済州島は小さな刑務所のようだ」と言い、ため息をついた。
難民認定審査が始まったこの日、済州出入国・外国人庁周辺で会ったイエメン人らは、済州での生活のありがたさと難しさについて、さまざまな話を打ち明けた。済州のある喫茶店で週末に働き難民申請をしたレジーラ(34・女)は、好意的な韓国人が多いと言って笑った。彼女は「韓国人女性が泊る所を提供するなど、多くの済州島民が私たちを助けてくれている。感謝している」と話した。そして「イエメンの状況が良くなれば、すべてのイエメン人と故郷に戻りたい。そこには私の家族がいて私たちの生活の場がある」と話した。
4月30日、済州にやってきたイエメン人のムハマド(34)は養殖場で働いて4日後に辞めた。イエメンに妻と息子5人を置いてきている彼は「いつの瞬間も子どもたちに会いたい」と話した。ハサン(38)とクラム(30)は、漁船に乗ったが8日後に突然解雇された。ハサンは「船の仕事が初めてなので船酔いしたりめまいも感じたが、頑張って働いたのに、一人がミスをするとみんな出て行けと言われた」と打ち明けた。
10代は仕事をすることも、学校に通うこともできないためふさぎ込んでいる。ヨゼフ(17)は「未成年者なので仕事をすることができない」と落胆した。エジプトやマレーシアを経て済州にきた彼は、この日も済州出入国・外国人庁に出向いたが、仕事を探すことはできなかった。難民認定申請者という身分のために学校や職業訓練所に入ることもできない状況だ。10代のイエメン人たちは、難民審査の結果が出るまで済州社会で疎外されているしかないように見えた。