平昌(ピョンチャン)冬季五輪を機に糸口が見つかった朝鮮半島の対話局面が、4月の南北首脳会談と5月の朝米首脳会談へとつながり、急速に進んでいる。米国の関心事である「非核化」と北朝鮮の関心事である「体制安全保障」問題をめぐり、いかなる取引が行われるかと、互いが満足できる解決策をいかに見つけるかに注目が集まっている。
現在、朝米間の対話が進んでいる方式は、過去とは確実に異なる様相を浴びている。1994年の朝米枠組み合意や2000年の6カ国協議は、実務レベルの交渉を通じて合意のレベルを着実に高めていく「ボトム-アップ」方式だった一方、今の局面は朝米間の国政最高責任者の間で先に意思決定が行われてから、実務協議を進めなければならない「トップダウン」方式だ。
これから朝米が5月の首脳会談を前後に、相互の関心事を取り上げる方式や過程も型破りなものになると予想されている。大統領府関係者は12日、「朝米間の交渉で非核化と朝米国交正常化を同時に進めるか、それとも先に非核化を進めた後、順次に(朝米国交正常化を)進めていくか」に関する記者団の質問に対し、「過去の『言葉対言葉』、『行動対行動』方式で一つずつやり取りするのではなく、他の方式もあり得る。(過去とは)完全に異なるゲームだ。新たな領域へと進んだ。まだ誰もしたことがないゲームなので、朝米間に対話が進展しなければわからない」と慎重な態度を示した。言葉対言葉、行動対行動方式とは、過去6カ国協議の際に適用された方式で、朝米間で非核化と体制安全保障の措置をめぐり、「あなたが先にやれば私もやる」のではなく、両国が“同時に”処置を移行するやり方だ。しかし、朝米が一気に首脳会談に跳躍した現在の状況は、想像を超える新しい方式を予告しているということだ。
しかし、5月の朝米首脳会談まで、互いを満足させる非核化と体制安全策を出すことは現実的にほとんど不可能だ。北朝鮮の核と関連し、プルトニウムプログラムにしても、寧辺(ヨンビョン)核団地施設の5メガワット原子炉と再処理施設などを凍結から廃棄まで、査察や監視、検証するためには、かなり複雑な朝米間の交渉過程と期間が必要である。ウラン濃縮プログラムは寧辺核団地にある濃縮施設査察だけで済む問題ではない。ウラン施設はプルトニウム施設とは異なり、隠匿性に優れており、他にも秘密の濃縮施設があるかどうかも検証しなければならない。北朝鮮の体制安全保障問題も激しい論争を呼ぶものと見られる。休戦協定が和平協定に代わった場合、北朝鮮が休戦協定当事者である国連軍司令部の地位に問題を提起し、国連軍司令部の解体と在韓米軍の撤退を主張する可能性もある。金正日(キム・ジョンイル)総書記は2000年6月、南北首脳会談を控えて訪朝したイム・ドンウォン当時国家情報院長に、在韓米軍の「地位と役割」を変更し、「朝鮮半島の平和を維持する軍隊として駐留すること」を容認できると述べたが、北朝鮮はその後、在韓米軍の撤退を再び主張した。
キム・ヨンチョル仁済大学教授は「朝米が互いに要求するレベルが実務レベルでは解決できないほど高い。段階的なアプローチよりは一気に跳躍し、先に懸案を解決した後、今後実務的にアプローチする方式になるだろう」と話した。彼は「例えば、朝米間の関係正常化を先にして北朝鮮核問題を解決することもあり得る。米国はミャンマーとも先に国交正常化をした後、制裁を緩和し始めた」と話した。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究所責任研究委員は「5月の首脳会談で“一気に”核の放棄と朝米国交正常化などを一括して約束し、それから非核化や平和体制、朝米国交正常化などを3~4年の期限を置いて進める可能性もある」と話した。