雇用労働部から製パン職人不法派遣判定を受けたパリバケットが、子会社を通じて製パン職人を雇用することで労働組合と合意した。昨年9月、雇用部が製パン職人5300人余りを直接雇用するよう是正指示してから113日ぶりだ。大きな社会的波紋を呼び起こしたパリバケット不法派遣論議が一段落したと評価される。
パリバケット労使は11日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)で「パリバケット製造職人労使共同宣言」を通じて、不法派遣論議をかもしてきた製パン職人5309人に対する「子会社雇用」に最終合意したと明らかにした。この日の労使交渉には、民主労総全国化学繊維食品産業労働組合(化繊労組)と韓国労総中部地域公共産業労働組合が共に参加した。
労使の合意内容を見れば、まずパリバケット本社は協力業者および加盟店主らと共に合資会社形態で設立し、製パン職人を雇用することにした「ハッピーパートナーズ」の株式持分を既存の33%から51%以上に増やすことにした。また、本社役員が代表理事を務めることにした。その代わり、協力業者はハッピーパートナーズに対する持分参加を取り消し、この業者の登記理事も務めないことにした。
製パン職人の給与は3年以内に、各種福利厚生制度は即刻本社正社員水準に合わせることにした。ハッピーパートナーズの社名も労組の要求により変わる予定だ。合意文には「韓国労総・民主労総・加盟店主協議会・パリバケットがハッピーパートナーズの社会的責任を全うするために努力する」という内容も入れられた。パリクロワッサンのクォン・インテ代表理事は「今回のことで加盟店の製造職人をはじめ加盟店主や協力会社の多くの関係者に心配をかけ、加盟本部として深い責任を感じる」として「困難の中でも大きな社会的合意を成し遂げただけに、今後は労使和合と共生を積極的に実践し、質の良い働き口を多く創り出せるよう努力する」と話した。
労使が劇的合意に至ることができた原動力は「対話」から出た。対話を通じて直接雇用を要求した労組が、市民社会団体などの仲裁で「子会社雇用」に旋回し、本社は協力業者・加盟店主とともに合資会社を設立し製パン職人を雇用するという方針に一歩退いたためだ。
もちろん、当初問題に火が点いた時から労使間対話がなされていたならば、問題が簡単に解決しただろうという指摘もある。雇用部は、不法派遣に関する勤労監督結果を発表する直前に、パリバケット社側にすでに結成されていた労組とともに対話して解決方法を探せと薦めたことがあるが、会社側はこれを拒否した。パリバケットは労組の対話要請に「私たちの職員ではない」という理由で拒否して、先月5日になって初めての出会いがなされた。労使間対話がなされない中で、パリバケットは労組が反対した合資会社への転職と直接雇用放棄同意書を製パン職人に書かせる圧迫に出たことにより、あつれきの谷が深まる一方、雇用部が同意書の「真偽」を確認するための調査を始めもした。
イ・ナムシン韓国非正規労働センター常任活動家は「支払能力がある大企業が不法派遣を通じて利益だけを手にし、責任を回避する態度に対して警鐘を鳴らした」として「市民社会の仲裁の中で労働組合が加盟店主と疎通して、本社と交渉して進展した形態の雇用方式を探し出したことに意味がある」と明らかにした。