政府が高校3年生の現場実習生イ・ミノ君の死亡事故をきっかけに、早期就業形態の現場実習を来年から廃止するなど、職業系高校の現場実習制度を全面的に見直すことにした。
キム・サンゴン社会副首相兼教育部長官は1日、政府ソウル庁舎で開かれた第4回社会関係長官会議で「高校現場実習生死亡事故に関する対応策」を出し、「生徒を労働力の提供手段として活用する早期就業形態の現場実習を来年から廃止し、学習中心の現場実習を全面的に適用する」と明らかにした。
教育部の制度改善案によると、現場実習生が“安価な労働者”として取り扱われるしかなかったこれまでの“労働中心”の現場実習制度は、就職に必要な実務科目を学ぶ“学習中心”の就職準備課程に変わる。現在6カ月までの現場実習期間は、最長3カ月に減らすことにした。生徒の専攻と関係のない業務は原則的にさせることができなくなる。
また、教育部は企業の高卒新入社員採用の時期を冬休みの開始直後に誘導し、3年生2学期に行われる現場実習と就業がより密接に連携するよう誘導する方針だ。今までは現場実習を終えても大部分が卒業後に正式採用が行われてきた。さらに、実際の業務現場で「生徒であり労働者」として扱われた現場実習生の身分を「業務を学ぶ生徒」と明確に定めることにした。これによって、現場実習生は今のように会社と勤労契約を締結して最低賃金形態の報酬を受け取る代わりに、これからは企業や学校から「現場実習支援費」を受け取るようにした。
現場実習企業も厳しく選別される。教育部は、雇用労働部、中小ベンチャー企業部などとともに優秀な現場実習企業の候補群を探し、学校に推薦することにした。現場実習生に教えられる程度の規模と人力をそなえていることに加え、現場実習後に生徒に雇用を保障する就職約定または就業連携が可能な企業が主な対象だ。現場実習優秀企業には兵役特例業者の選定や金融機関の融資金利での優遇などインセンティブを与える方案を検討することにした。また、教育部はすべての現場実習事業場を点検し、安全や人権侵害の恐れがあると判断されれば、実習生を学校に戻す措置も取ることにした。
「学習中心の現場実習制度」の全面導入時期は当初2020年に計画されたが、イ・ミノ君事件をきっかけに来年に繰り上げた。教育部関係者は「卒業もしていない生徒を事実上安価な労働者として使い、危険な業務まで任せたために現場実習関連の各種の安全事故が起きた」とし、「実習会社が『実習生』の権利を守るよう関連法と制度も見直していく計画」と話した。