今年4月に始まったサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の裁判が7日で2カ月を迎えた。この2カ月間、ソウル中央地裁刑事27部(裁判長キム・ジンドン)は9回にわたる被告人・参考人陳述調書の調査と21人の証人尋問を終えた。今月2日まで週3会の強行日程で、合わせて23回の裁判を進めた結果だ。特検と弁護人団がイ副会長による213億ウォン(約21億円)の乗馬支援と公正取引委員会のサムスン物産株式処分決定過程をめぐる厳しい攻防を繰り広げ、この過程でサムスンと政府の不適切な癒着関係が明らかになった。
イ副会長の1審拘束期間が8月27日で終わることから、1審判決は8月中に出るものと予想される。裁判所は「全体記録を検討して判決文を書く時間が必要であるため、7月末まではどうしても結審(最後の審理)しなければならない」とし、今後週4回の裁判も考慮していると明らかにした。
イ副会長に対する裁判が初めて岐路に立たされるのは、8日に予定されたムン・ヒョンピョ元保健福祉部長官の1審判決になるとみられる。ムン元長官は、国民年金公団の職員たちにサムスン物産と第一毛織の合併に対する賛成を議決するよう強要した疑い(職権乱用権利行使妨害)で起訴された。特検はサムスンの合併自体がイ副会長の不正な請託の一つだと主張しており、争点・証拠・証人が重なるムン元長官の1審結果は、イ副会長に対する裁判の行方を占う判断基準になると思われる。
過去2カ月間、裁判所はイ副会長がチョン・ユラ氏支援に向けてチェ・スンシル氏に渡したか、渡すと約束した213億ウォンの乗馬支援とサムスンの10の不正な依頼のうち、合併後の循環出資の解消に向けた公正取引委員会のサムスン物産株式処分の最小化決定などを主に審理してきた。
乗馬支援と関連しては5月31日、証人として出席したパク・ウォンオ元大韓乗馬協会専務の証言が目を引く。彼はチェ氏を代理し、サムスンと乗馬支援を協議した人物だ。パク元専務は2015年7月29日に会ったサムスン電子のパク・サンジン当時対外協力社長(当時大韓乗馬協会会長)が「先にチョン・ユラを含めた乗馬支援計画を立てるよう指示した。サムスンが(私が言う前に)すでにチェ氏の存在を承知で話をしていると思った」とし、(サムスン側の)弁護人と食い違う供述をした。
公正取引員会の決定と関連しては、公正取引委員会の職員が作成した「大統領府の外圧日誌」と関係者たちの証人尋問が注目を集めた。外圧日誌を書いた公正取引委員会のS書記官は5月24日の裁判で「(1000万株を処分するとの有権解釈で)委員長が決裁し、口頭通知にまでした事項を(500万株と)覆すのは今回が初めて」だと供述した。今月1日、チェ・サンモク元大統領府経済金融秘書官は2015年12月21日、アン・ジョンボム元政策調整首席が「法理解釈上、二つの案(900万株と500万株の処分案)がいずれも可能なら、500万株の方がいい」と話し、翌日、「どうしてこんなに決定が遅くなるのか。委員長に早く決めるよう伝えろ」と指示し、これを公正取引委員会の副委員長に伝えた事実を法廷で証言した。
裁判過程で公開されたサムスンの政府に対するロビーやサムスンと政府の不適切な関係も注目された。キム・ハクヒョン元公正取引委員会副委員長は2015年12月、サムスン物産の株式処分決定を控え、キム・ジョンジュン当時サムスン未来戦略室社長に「来週、全員会議で議論する」とのショートメールを送っており、全員会議が開かれた12月16~17日、数回電話で連絡を取り合った。2015年7月、チャン・チュンギ当時未来戦略室社長とイ・ホンス国家情報院基調室長の通話内容を録音したファイルが法廷で公開されたが、チャン社長は監査院事務総長候補について「評判が悪い」と話すなど、人事に介入するような発言をした。MERSへの対応をめぐり、監査院がサムスン・ソウル病院に対する監査を実施した際、監査院の動向を報告したサムスン証券のパク・ウィミョン元顧問が「元高位公務員で、サムスン系列会社の顧問としてきた人の役割は、出身省庁の人事動向と規制の強化動向などを把握し、チャン社長に報告すること」だと話した特検の供述内容も公開された。