「集団脱北」事件のあった北朝鮮レストランの支配人H氏と12人の女性従業員は、今月上旬次々と国家情報院の北朝鮮離脱住民保護センター(旧合同尋問センター)から出てきた。4月初めの韓国入国から5カ月間、統一部の北朝鮮離脱住民定着支援事務所(ハナ院)には送られず、保護センターで定着のための教育を受けたという。
保護センターで関係機関の合同尋問を受けた期間は長くても40日ほどだったと見られる。支配人のH氏は「(持っている)情報が従業員より多い私が40日くらい調査を受けた」と話した。合同尋問調査の後、彼らはテーマパークやデパートなどで定着教育を受けるなど「ハナ院定着教育」を受けた。H氏は「最初にロッテワールドに行った」と話した。
彼らは保護センターから出て、ソウルなどで暮らしているものと推定される。H氏は「北朝鮮の家に比べればソウルは地価が高いので、この程度(の家)でも相当かかると思う」と話した。女性従業員は2~3人ずつが一つの家に定着したという。ただし、比較的自由に行き来できるH氏に比べて、女性たちは外出せずに家にいる可能性が高い。H氏は「(女性従業員が保護センターから)出てきてからあまり日が立っていないため、皆が不安を感じている。保護センターで(民弁を従北だと非難したので)民弁に会えば両親たちは死ぬと思って、外に出ることを強く恐れている。公開されることを怖がっている」と説明した。一方、匿名を要求したある消息筋は「女性従業員たちは放送などマスコミに出る準備をしていると聞いている」と主張した。
これまで数回連絡したが「答える理由がない」と言っていたH氏が、ハンギョレに先月末自ら電話をかけてきたのは、女性従業員たちと連絡ができない不満と心配のためだと推定される。彼は「子供たち(女性従業員)は(私を)信じてついてきた。両親より支配人についてきたということが不思議だと思わないか」として、繰り返し女性従業員に対する自身の「掌握力」を強調しつつも、「韓国ではもう支配人ではないと思う」とし不満を漏らしもした。「(従業員たちに)会えないようにするなら(北朝鮮に)帰ると言う」と話したのも、連絡がつかないのは国家情報院の影響かもしれないと考えるためと思われた。
キム・ジンチョル記者
韓国語原文入力:2016-09-03 05:01