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[ニュース pickup]潜水艦増強計画‘潜水’した理由は?


原文入力:2009-07-17午前07:12:31
クォン・ウンジュン記者

政府,国防改革 2020 計画 修正
北 特殊戦対応 もっと急ぐと言って
港湾ごとにスパイを捉えるカメラ設置
未来安保・戦争抑制力のための
海・空軍先端装備導入は先送り
“戦時作戦統制権 還収後 戦力空白憂慮”

2004年7月,米国をはじめとし韓国・日本・オーストラリア等が参加した環太平洋(リムパック)訓練で、韓国軍の排水量1200t級ディーゼル潜水艦,張保皐艦(ジャンポゴ艦)は‘幽霊’と呼ばれた。張保皐艦は青軍と黄軍に分かれて行った仮想戦闘で、米国の最新航空母艦であるジョン・C・ステニス と米国のイージス艦、そして日本の駆逐艦に魚雷を命中させながらもただの一度も探知されなかった。ジョン・C・ステニス は10万t級の核推進航空母艦であり当時参加した米国海軍戦力の核心だった。1992年大韓民国が初めて導入した正規戦用潜水艦の張保皐艦はこの訓練で潜水艦の威力を遺憾なく示した。

潜水艦は現代戦で最も隠密で最も経済的な武器に挙げられる。人工衛星の撮影能力が地上に置かれたゴルフボール大の被写体まで把握するといっても、まだ海中は10mの深さも覗いて見ることができない。軍事衛星の監視を避けうる唯一の武器が潜水艦だ。見られることがなく撃沈させるのが容易でない、この隠密な武器は図体は小さくても途方もないパンチ力を持っている。口径533㎜の魚雷一発で1万t級巡洋艦を直ちに沈没させる。だから潜水艦は‘現代戦の小人’と呼ばれる。

こういう属性のために潜水艦はすべての国が常に導入優先順位に置く武器だ。韓国軍は1992年ドイツぁら209級(1200t)張保皐艦を初めて取得した以後、持続的に潜水艦戦力強化に努めて来た。2000年には214級(1800t)潜水艦をライセンス生産し、参加政府時期に作った国防改革2020計画では3500t級潜水艦を2018年から自力生産することを目標に入れた。海軍傘下の潜水艦戦隊も2013年に潜水艦司令部に昇格させることにした。

しかし韓国軍が推進してきたこういう潜水艦戦力強化計画がイ・ミョンバク政府スタート以後に動揺している。3500t級潜水艦の導入計画が延期されたのだ。政府が戦時作戦権還収などを延期する方針をたてており、盧武鉉政府の国防改革2020計画を大幅修正する状況を考慮すれば、より一層遅れる可能性もある。潜水艦司令部スタートも延期された。国防部は代わりに北韓との特殊戦対応のために港湾監視体系に予算を回すことにした。このため軍内部から‘潜水艦の代わりにスパイを捕らえる鉄条網’かという不満の声も出てきている。

安保を重視する右派の声を代弁するというイ・ミョンバク政府で潜水艦戦力増強プロジェクトが立ち止まったことは予想外だ。潜水艦戦略はなぜ突然水泡に帰する状況になったのか?

排水量100tイルカ級から始まった韓国潜水艦

韓国軍がこの間、潜水艦に注いだ功労は涙ぐましいものだった。北韓はすでに1970年代に中国からロミオ級(1400t級)潜水艦を導入していたが、当時韓国軍は潜水艦を持ってくる予算すらなかった。1983年になって韓国はドイツが2次世界大戦時に開発した202級(100t級)潜水艦を改良した排水量130tイルカ級潜水艦を持つようになる。しかし、この潜水艦は排水量が少なく正規戦には使うことができず機雷除去のような特殊戦用にのみ運用された。

韓国軍は1987年に本格的な潜水艦導入計画‘張保皐1(KSS-1)計画’をたてた。1987年ドイツのハデベ(HDW)造船所と209級潜水艦建造契約を締結し、1992年には韓国軍最初の本格潜水艦といえる張保皐艦を獲得した。ドイツの設計と部品を土台に大宇重工業で209級潜水艦8隻を製作し計9隻を実戦に配置した。

この209級を運用しノウハウを習得していった韓国軍は2000年、一段階上の214級を導入する張保皐2(KSS-2)計画を樹立した。その結果、2006年初めての214級モデルの孫元一艦(ソンウォニル艦)がお目見えした。214級は今年までに2隻が追加生産され2018年までに計9隻が量産される予定だ。

その後、韓国軍がたてた目標が中型3500t級潜水艦を保有する張保皐3(KSS-3)計画だ。2018年までに3500t級を独自技術で設計し3隻を製作する計画だ。参加政府はこのために予算2兆6千億ウォンを配分した。

なぜ3500tか?

現在3000t級潜水艦を運用している国家は、オーストラリアと日本程度だ。中国も2500t級以上のディーゼル潜水艦を運用しているが中国潜水艦の主力は4500t級以上の原子力潜水艦(原潜)だ。したがって韓国の張保皐3に比較されうる現役潜水艦はオーストラリアのコリンズ級(3000t級)と日本のオヤシオ級(2700t)だ。日本やオーストラリアは共に沿岸海軍ではなく米国の同意の下に東北アジアと南太平洋で米国と共に戦略的軍事作戦を遂行できる大洋海軍を念頭に置いている。日本はオヤシオ級に代わる2900t級次世代潜水艦を計画中だ。

これらの国はなぜ3000t級潜水艦を運用しているのだろうか? 軍事専門家たちは3000t級は原潜のすぐ前段階の潜水艦であり、3000t級潜水艦を運用すればすぐにも原潜運用のノウハウを獲得することができるという。1800t級が燃料電池を利用して半月程度の潜航が可能な反面、3000t級は燃料電池をさらに多く積むことができ30日以上の潜航が可能だ。無制限潜航も可能だが、乗務員の健康のために1ヶ月程度潜航する原子力潜水艦と近い潜航能力だ。また3000t級ならば垂直発射管(VSL)の装着が可能で、長距離地上打撃能力を確保できることになる。次世代潜水艦にはイージス艦のように艦隊地ミサイル玄武2(射距離300km)の装着が可能だ。既存韓国潜水艦は533㎜魚雷の発射だけが可能だった。すなわち張保皐3プロジェクトが推進する3000t級潜水艦を備えれば敵国に対する先制打撃力と戦争抑制力を併せ持つことになる。

次世代潜水艦は原子力潜水艦だったか?

こういう3500t級潜水艦の軍事的意味のために2006年防衛事業庁がSSXプロジェクトを明らかにした時、潜水艦の推進方式が原潜でないかという推測が出てきもした。非核化宣言をした韓国で原潜の話が出てきた理由は何か。海軍出身の潜水艦専門家たちは「真の潜水艦は原潜しかない」と話す。

ディーゼル潜水艦はディーゼルエンジンで駆動されるのではなく、ディーゼルエンジンで充電させた蓄電池で駆動される。しかしこの蓄電池は最高速力の20ノットで潜航すれば一日ですっかりなくなる。これを再び充電させようとすれば敵の目を避けて空気吸入口を水面に上げディーゼルエンジンを回すシュノーケル方式で充電をしなければならない。だが、最近の対潜航空機は潜水艦から上がってくるアンテナまでを認識する精密レーダーを持っていて、この方法は敵に露出しやすい。これを避けるために空気が不要な燃料電池(AIP)システムが開発されたが水素を安定的に保存する方法など改善余地が多い。

反面、原潜は原子力でタービンを回し駆動するので別に充電する必要がない。またディーゼル潜水艦の場合、20ノット速度で潜航すれば蓄電池が一日ですっかりなくなるが、原蚕は潜航期間継続して30ノットの速度で航行することができる。1982年英国とアルゼンチンのフォークランド戦争が起きた時、一番最初にフォークランド群島に到着し戦場状況を知らせたのは英国の攻撃型原潜スパルタンだった。スパルタンは10日間でフォークランド海域に到着した。反面、ほぼ同様に出発したディーゼル潜水艦オニックスは5週間かかり、すでに戦争は末期であった。原潜はまた安全地帯にすばやく移動でき攻撃後、敵の駆逐艦や対潜航空機が来る前の1時間以内に逃避が可能だ。潜水艦の打撃力と隠密性のためには原潜が最善という意味だ。

しかし原潜導入は核燃料購入が現実的に不可能で、原潜論議が果たして本当に進行されたのだろうかという観測が多かった。韓-米原子力協定で核燃料の独自確保が基本的に遮断されており、韓国が高濃縮ウラニウムを原料として駆動される原潜を持つことはできないということだ。当時、安保責任者であったある政治家は「原潜導入計画は話にもならず検討されたこともない」と話した。


次世代潜水艦の代わりにスパイを捕らえるカメラをくれと?

このように議論されてきた次世代中型潜水艦計画はイ・ミョンバク政府以後2年延期された。国防部が代わりに海軍に提示したものは敵潜水艦に備えた港湾監視体系の強化であった。国防部が国会国防委に提出した資料によれば港湾監視体系とは、主要港湾に赤外線カメラ,音響センサーなどを設置し港湾に浸透してくる潜水艦と水中浸透者の攻撃を防御するシステムをいう。

国防部は去る5月参加政府の国防改革2020が重複投資が多く、予算浪費要素があるとして総額621兆ウォンで策定した原案の代わりに22兆ウォンを減らしら599兆ウォンで編成すると発表した。この縮小対象に次世代潜水艦が含まれたのだ。

国防部の潜水艦導入計画変更は国家未来安保に対する考慮というよりは、北韓の後方浸透のような特殊戦対応がさらに至急だという判断のためと分析される。いわゆる先端城壁との考えでこの間意欲的に推進された潜水艦計画が、突然この計画に変わり専門家たちの間で論議が盛んだ。ある軍事専門家は「対北だけでなく中国・日本などとの安保紛争抑制力次元で考慮された次世代中型潜水艦が、北韓スパイ用船舶を捉えるための赤外線カメラなどに変わるのはコメディー」と政府の計画変更に残念がる。

国会国防委所属アン・キュバック民主党議員は「陸軍は北韓の在来武器に対応するという名分で戦力支障がなく予算が編成されたが、戦作権還収以後に最も空白が憂慮される海空軍の戦力向上を順延させるのは未来を考えない国防改革としか見られない」と批判した。アン議員は「特に北韓の潜水艦数がわが国より6~7倍も多く中国と日本が大洋海軍を夢見て潜水艦戦力を強化している現実で、潜水艦戦力増強が延期になるのは安保面で大きい支障が予想される」と話した。

軍当局はこれに対して「3500t級潜水艦の導入は2年順延されただけで導入自体が取り消しになったのではない」と明らかにした。

クォン・ウンジュン記者details@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/newspickup_section/366233.html 訳J.S