「軍・官憲による強制動員は未確認」
国家ではなく業者個人の逸脱に転嫁
韓国政府は12・28合意遵守要求のみ
日本政府が国連の舞台で「日本軍や官憲が慰安婦を強制動員したという資料は確認されなかった」と再び明らかにした。 日本が12・28合意で慰安婦問題に対する相互批判を自制することにした後、国際社会で日本の立場を自国に有利な方向で積極的に説明している。
日本外務省の杉山晋輔・外務審議官は16日(現地時間)、スイスのジュネーブで開かれた第63回国連女性差別撤廃委員会の会議で「政府が発見した資料では軍や官憲による強制連行は確認されなかった」という既存の立場を再確認した。 また杉山審議官は日本の官憲が強制連行をしたというのは、日本人である吉田清治のねつ造証言によるものであることを強調し「(この証言が)朝日新聞によって事実であるかのように大きく報道され、日韓の世論のみならず国際社会にも大きな影響を及ぼした」と主張した。 杉山審議官は日本外務省の序列3位に当たる高位級の官僚だ。
しかし、杉山審議官の発言は12・28合意自体を否定したわけではない。 1993年の河野談話の核心である慰安婦動員過程の強制性自体を否定したのではなく、日本軍や官憲が直接人を拉致のように引っ張って行く強制連行をしたという証拠はないことを強調した内容であるためだ。
日本政府は今後も「公文書は発見されていない」という点を前面に出して、「強制連行された」という生存被害者の証言を否定し「慰安婦=性的奴隷=国家犯罪」という国際社会の常識を少しずつ覆すことに外交力を集中して行くものと見られる。 これを通じて狙うのは、慰安婦問題は日本軍が主体になった「国家犯罪」ではなく、一部業者の逸脱を政府が管理・監督できなかったという次元の問題に縮小することだ。 すなわち、慰安婦問題の本質を業者による人権侵害に限定するということが12・28合意以後の日本政府の新たな宣伝戦略になっているのだ。
しかし杉山審議官の発言に対して、委員会内では疑問を提起する委員の発言が続いた。 中国出身の70代の委員は「受け入れられない。 誰も70年前の出来事を否定したり、変えたりすることはできない」と強く抗議した。 別の委員からも、日本はなぜ1993年に河野談話で認めたことを否定するのかという疑問の声が上がったと産経新聞が伝えた。
韓国外交部のチョ・ジュンヒョク報道官は17日「(韓国)政府は、日本政府は昨年末に妥結した慰安婦問題合意の精神と趣旨を傷つけかねない言動を慎み、被害者の名誉と尊厳を回復し傷を治癒するという立場を行動で示すことを再度求める」と明らかにした。 韓国外交部当局者は「国連女性差別撤廃委員会は政府間機関ではなく専門家パネルが個人の資格で選出され活動する機関」としながら「今度は委員会が日本政府を相手に1対1で審査を進めるので、韓国政府の代表が審査に参加したり公式に発言する資格はない」と話した。