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THAAD設定は8時間で北朝鮮から中国に転換可能

登録:2015-06-03 06:45 修正:2015-06-03 07:19
 米国防総省文書で確認「ソフトウェアを交替するだけ」
 北朝鮮地域限定の配備擁護論は説得力失う
米軍が昨年、米国のミサイル防衛システム(MD)の核心であるTHAADを試験発射している=米国防省ミサイル防衛庁 //ハンギョレ新聞社

 米国の地上配備型迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)のレーダーは柔軟性が非常に優れ、8時間以内で探知距離が短いモードから遠距離探知用モードに転換できることが確認された。

 これは探知距離が短い方式のTHAADレーダーを朝鮮半島に配備すれば、探知は北朝鮮地域までに制限され、中国には特に影響がないとしてきたTHAAD配備擁護論者の主張が説得力がないことを示す。

 この内容はハンギョレが2日、米国防総省ホームページに掲載された「ミサイル防衛庁2012年予算推計(Budget Estimates)」と題した文書を確認した結果分かった。8時間以内にモード転換が可能だという事実が米国防総省文書で確認されたのは、今回が初めてだ。米政府は今まで、THAAD朝鮮半島配備の可能性を強く示唆しながら、兵器の具体的な情報については口を閉ざし混乱を煽ってきた。

 THAADレーダー(AN/TPY-2レーダー)は、前線陣地配備モード(FBM)と終末モード(TM)の2種類に分かれる。2011年2月に作成されたこの文書は「前線陣地配備モードはミサイル発射初期段階で探知・追跡機能を提供して標的識別と対応時間の不確実性を減らし、終末モードではTHAAD部隊の射撃統制のための標的捕捉・追跡・識別機能を提供する」と明らかにした。文書は「このレーダーは移動が可能で、脅威の地理的変化に対応する柔軟性を持つ」と強調した。

 さらに文書では「11基のAN/TPY-2レーダーが追加で必要」と指摘し、「各レーダーはTHAAD部隊(終末モード)または前線陣地配備モードに設定が可能で、二つのモードは8時間以内に転換できる」と明らかにした。これと関連して米陸軍技術教範は「二つのモードは同じハードウェアを使うが、統制ソフトウェアと運用ロジック、通信パッケージは異なる」と明示した。つまり、通信ソフトウェアなどを交替するのに8時間が必要なものと推定される。

 これは米国が終末モード用THAADレーダーを朝鮮半島に配備すれば、中国との対立が深まる事態が発生する場合、いつでも前線陣地配備モードに切り替え、中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを探知できることを指す。このため朝鮮半島にTHAADが配備されれば、中国がこれを戦略的脅威と認識するほかなく、韓国が米中間で外交、安保、経済上の困難を経験する危険が高くなる。

AN/TPY-2レーダー //ハンギョレ新聞社

 一角では終末モードの探知可能距離は600~900キロ、前線陣地配備モードは1800~2000キロほどだと主張しているが、米陸軍教範は前線陣地配備モードは1000キロ以上とだけ言及した。米国のミサイル防衛専門家であるマサチューセッツ工大(MIT)のシオドア・ポストル教授とコーネル大のジョージ・ルイス平和・葛藤研究所主任研究員が最近ハンギョレに公開した分析資料で、THAADレーダーが朝鮮半島に配備されれば、中国から米国に向け発射される大陸間弾道ミサイルを3000キロ以上の距離まで探知・追跡することができると明らかにしている。

 専門家たちは二つのモードの転換所要時間が、実際にははるかに短縮されることが可能だと見通した。ルイス主任研究員は「軍事技術の発展速度は速いので転換に所要する時間はさらに短縮されるだろう」と語った。ポストル教授も「このレーダーの製作会社レイシオンが昨年、処理速度を5倍早めるための研究開発予算の配分を受けたことからも、性能のアップグレードはいつでも可能だ」と語り、「通信モジュールが問題なら、現代科学技術は2種類の作業をすべて処理する通信モジュールを開発することにより転換速度を高めることができる」と指摘した。

シオドア・ポストル教授(左)とジョージ・ルイス主任研究員 //ハンギョレ新聞社

ワシントン/パク・ヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-03 01:22

https://www.hani.co.kr/arti/international/america/694047.html?_fr=mt2 訳Y.B

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