大統領の認識、現実とはかけ離れているとの指摘には反論もできず
「大韓民国の若者が誰もいなくなるほど、一度進めてみてください。皆どこに行ったのかと、『みんな中東に行った』と(言えるように)」
朴槿恵(パク・クネ)大統領が19日、第7回貿易投資振興会で行ったこの発言に、当事者である若者たちが怒りを露わにしている。朴大統領の発言は、イ・ギグォン雇用労働部長官が若年高級人材の国外進出を奨励策の一つとして「海外の働き口(を紹介する)ポータルの開設、スマートフォンアプリの開発計画」を報告したことを受け、これに応えるための朴大統領特有の「寒い冗談」だった。朴大統領の言葉に会場では笑いが起こるなど、雰囲気は良かったという。若年層の雇用創出を強調するためのものであったというのが、大統領府周辺の解釈だが、インターネットを通じて現れた若者たちの反応は冷ややかだ。 16年ぶりの最高値を記録している青年失業に苦しむ青年の不安・不満・不信が、それだけ深いことが窺える。
ネットユーザーたちは20日、「韓国国内における若年失業対策について、先に反省しろ」という指摘と、「中東ブームに対する認識が、70年代で止まっている」という批判があふれた。あるネットユーザーは「韓国の若者が皆中東に行ったという冗談で笑って騒いでいる間、韓国の若者たちは今日も時給5580ウォン(約600円)でバイトをする。少子化で韓国の若者たちが誰もいなくなるだろう」(have ****、ネイバー)と批判した。別のネットユーザーは、「アフリカ歴訪から帰って来たら、アフリカに行けというだろうか?雇用を増やすための対策を立てるべきなのに、若者たちに中東に行けなんて正気か」(paul ****、ダウム)と指摘した。あるツイッター利用者(@luna ****)は「原油価格が史上初の下げ幅なのに、中東の建設ブーム云々するのがナンセンス」だとし「70年代には原油価格の急騰にオイルドルが溢れて無数の建設発注があったが、今は正反対」だと指摘した。
「原油価格最低...中東の建設ブームナンセンス」
「青年失業対策しっかり立てて」
このような状況は、今月初めの中東歴訪後、「第2の中東ブーム」セールスに鼓舞された朴大統領の「意欲過剰」と、不安な未来の前に縮こまったしまった青年たちの情緒が衝突したことで起きた。また、朴大統領の発言は、15歳から29歳までの青年失業率が1999年7月以降最大値(11.1%)という統計庁の発表(18日)の翌日出たものだ。
朴大統領は、中東4カ国歴訪を終えた直後の最近2週間、マーク・リッパート駐韓米大使慰問などを除いて、ほとんどの公開行事で中東歴訪の成果を強調してきた。12日の国家朝食祈祷会では、「熱砂の地で新たな希望を見つけた。今起きている『第2の中東ブーム』が『第2の漢江の奇跡』につながると確信している」と述べた。 19日の貿易投資振興会でも、1970年代のオイルショック(石油価格の引き上げ)を中東ブームで乗り越えた事例を言及し、「経済の再跳躍を切実に祈る気持ちで念願しているが、それに対する天の応答が今現実で起きている(中東ブーム)メッセージ」だと述べた。
「『大韓民国の青年がみんな中東に行った』と言えるように、進めて見てください」は、今回の発言をめぐる議論について、大統領府は「若者の雇用を増やすべきだということを強調するための表現なのに、揚げ足を取られた」と悔しい表情だ。しかし、「若者の中東進出」という朴大統領の認識が現実と違うという指摘に対しては、明確に反論できずにいる。最近原油価格の下落が、1970年代の状況と異なるうえ、中東市場で過熱競争と低価格受注で企業の損失も往々にして起こっている状況だ。サウジアラビアなどが、自国民の雇用のために国外企業にサウジアラビア自国民を優先的に採用しない場合は、課徴金を課する政策を行っていることも、若者たちの中東進出が口でいうほど容易ではないことを示している。
韓国語原文入力: 2015.03.20 19:44