朴大統領就任直後に「国政課題」として公約
国防長官がわずか2か月後に 「再延期」を提案
国家安保室長も背後調停者の役割
ハン・ミング現国防長官は移管合意の実務過程に参加
<2015年までに戦時作戦統制権(戦作権)を韓国軍が遂行できる体制になるので、戦作権移管の再延期はないだろう。>
<重要なのはその意志だ。韓国の戦作権移管の意志は確実だ。 2020年代中盤に条件が満たされれば転換は可能だと見る。>
最初の引用は、2010年7月にキム・テヨン国防長官(当時)が、その半月ほど前に李明博(イ・ミョンバク)大統領とバラク・オバマ 米国大統領の首脳会談で当初2012年4月だった戦作権移管時期を2015年12月に延期することで合意した後、『KBS(韓国放送)』の「日曜診断」に出演した時にした話だ。2番目の引用は、ハン・ミング国防長官が先月23日、韓米安保協議会議(SCM)で戦作権移管再延期に合意した翌日、米国ワシントンで開いた記者懇談会でした話だ。 二つとも政府の戦作権移管の意志を疑う世論をなだめるための発言だ。 しかし、キム元長官の話は、韓米の戦作権移管再延期合意で嘘となった。続くハン長官の話の信頼度が下がる所以だ。
戦作権移管再延期の過程を振り返ると、“二言”する格好になった人々が少なくない。 最初に挙げられるのは朴槿恵(パク・クネ)大統領だ。朴大統領は2年前の大統領選挙で「2015年戦作権移管をつまずくことなく推進する」と公約した。 この表現は2013年2月の業務引継ぎ委員会報告書と4月の国政課題報告書にも登場する。 しかし二か月後、当時のキム・クァンジン国防長官はシンガポールのアジア安保会議(シャングリラ対話)でチャック・ヘーゲル米国防長官に戦作権移管再延期を提案する。これと関連してキム・クァンジン現大統領府国家安保室長は先月28日、国会で「大統領に報告し、大統領が指針を与えた」と話した。
8年前の韓米戦作権移管合意に関与した人々の中にも、今回は反対に戦作権転換再延期過程で核心的役割を果たした人々がいる。 キム室長は昨年国防長官時期に米国に戦作権転換の再延期を要請した張本人だ。 しかしキム室長は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の2007年6月には合同参謀議長の資格で韓米軍事委員会(MC)でバーウェル・ベル在韓米軍司令官と共に戦作権移管推進日程などを含む ‘戦略的転換計画’ に署名するなど、戦作権移管の合意で核心的役割を果たした。
朴槿恵政権で最初の国家安保室長だったキム・ジャンス前室長は、今回の戦作権移管再延期の背後調停者の役割をした。しかしキム室長も盧武鉉政権の2007年2月には韓米国防長官会談でロバート・ゲイツ国防長官と戦作権移管時期を2012年4月17日とすることに合意した当事者だ。
先月の韓米安保協議会議で戦作権移管再延期約定に署名したハン・ミング国防長官も、戦作権移管合意当時には国防部政策企画官として実務過程に参加し、キム・キュヒョン国家安保室次長は当時国防部国際協力官として対米軍事外交担当者だった。 また、今回交渉実務を総括したリュ・チェスン国防部政策室長は当時合同参謀戦略企画処長として戦作権移管実務を後押しした。
注目すべきは、戦作権移管再延期過程で、移管のための課題や条件が増えて難しくなったという点だ。 韓米は今回、移管の条件として△韓国軍の核心軍事能力△韓国の北朝鮮核・ミサイル対応能力△朝鮮半島および領域内安保環境の3点を掲げた。 しかし北朝鮮の核・ミサイル対備は李明博政権の2010年戦作権移管1次延期の際にはなかった内容だ。
国防部が2011年10月にキム・ジャンス ハンナラ党議員(当時)に提出した資料には、移管のための軍事力は韓国の ‘核心軍事能力’ (連合防衛を主導するために確保しなければならない能力、例えば全軍指揮体系)と米国の ‘補完能力’ (韓国軍が能力を備える時まで一時的に米国が提供する能力、例えば情報資産)、米国の ‘持続能力’ (韓国軍が備えることができず、将来にわたって米国が提供する能力、例えば核の傘)の三つに分類される。 北朝鮮の核・ミサイルへの対応は、韓国ではなく米国がいわゆる持続能力として提供するという構図だったわけだ。 陸軍3軍司令官出身のペク・グンキ新政治民主連合議員も先月27日、国防部国政監査で「北の核・ミサイルは米軍が、在来戦は韓国が主導するというのが連合防衛体制の枠組みだが、今回は核・ミサイルも韓国が対応するようにしたのは何のためか」と問い質した。
これに対して国防部当局者は「北朝鮮の核・ミサイル威嚇が強化されている状況で、韓国も初期対応能力を備えなければならないという意味」と説明した。 しかし敷居を高めただけに戦作権移管がさらに難しくなることは避けられなくなった。