秋夕(中秋節)当日の8日、安山合同焼香所を訪れたセウォル号犠牲者の遺族たち
“家族合同祭壇”の前で互いに「泣かないでがんばろう」と肩を抱き合う
こんな秋夕を迎えるとは146日前には想像もできなかった。セウォル号事故犠牲者パク・ソンホ君の父親パク・ユンオ氏(50)一家は、この名節の日ついに集まることはなかった。妻は青瓦台近くの清雲洞(チョンウンドン)で、娘は光化門(クァンファムン)でセウォル号特別法の制定を叫んでいた。パク氏は子供と、まだ帰ってこられない失踪者10人のためにセウォル号合同焼香所を訪れた。
「あんなことがなければ普通の平凡な秋夕だったはずです。 このように家族がバラバラに秋夕をむかえるとは、思いもしませんでした」
8日、セウォル号事故犠牲者の“家族合同祭壇”がある京畿道安山(アンサン)のセウォル号犠牲者合同焼香所の祭壇には、菓子が置かれていた。 子供たちが好きだった菓子だという。 キム・ビンナラ君のためにはサイダーが、キム・スビンさんのためにはカップケーキが置かれていた。 ポテトチップ、チョコ菓子、ハンバーガー、春雨炒めなど、子供たちが普段から大好きだった食べ物を供えて家族たちは手を合わせて祈った。
あちこちから嗚咽も聞こえた。互いに「泣かないでがんばろう」と言って肩を抱き合う家族の姿も見えたが、子供の遺影を見るとほとんどすべての遺族たちがとめどなく涙を流していた。
セウォル号で犠牲になったキム・ヘファ君の父親、キム・ヒョンギ氏(50)も菓子を手に焼香所を訪れた。キム氏の姿にもやはり故郷を訪れる平凡な秋夕は来なかった。 キム氏は「私たちだけでなく多くの家族たちが故郷に行けずにいる。 状況は何も変わっていないのに、子供たちのことを思えば家族と会って笑って名節を楽しむことすら申し訳なく感じる」と話した。
セウォル号特別法に関する協議は秋夕以後に延期された。 家族が要求している起訴権・捜査権を持つ独立的な捜査機構の要求は、政治的論議に飛び火して方向を見いだせずにいる。 キム・ビョングォン セウォル号家族対策委員会委員長は、合同祭壇の前で「私たち犠牲者の血で大韓民国が安全な国になることを願うだけだ。どうか名節が終わったら遺族たちが願う特別法を制定してほしい」と訴えた。
遺族が犠牲者たちを追悼できる時間は長くはなかった。祭壇に供えて出てきた遺族たちは、生徒たちが安置された安山ハヌル公園にピザとチキン、バナナ牛乳を置いて追慕した後、再びすぐに光化門や、清雲洞に向かった。キム・ビンナラ君の母親、キム・ジョンファさん(46)は「これから光化門に戻ってセウォル号特別法を支持する市民たちと合う予定だ。 子供と一緒にいられる時間も十分にとれず、再び政府と国会に向かって法律の制定を要求しなければならない現実がとても悲しい」と話した。