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夜中にキーボード抱えて‘キムチ女’ …私はルーザー(敗者)か、チヂルナム(クズ男)か

登録:2014-04-01 16:19 修正:2014-04-02 00:40
あるネチズンが日刊ベスト貯蔵所(イルベ)に文を載せている

イルベで2年間に最も多く言及されたキーワードは‘女’
‘チヂルな’ルーザー文化を共有する剰余たちの性別は‘男’
過激な単語を使って快楽・カタルシスを感じる

 "江北(カンブク)の男子高の生徒たちは途方もない劣敗感を持っていて女性嫌悪が激しいが、イルベがどんな年齢層でありどんな階層なのか調べてみることは相変らず重要ではありませんか?" "イルベは単一化できないばかりか、いちいち戸別調査をすることもできないではないですか?" 去る28日午後、韓国文化社会学会が西江(ソガン)大で開いたコロキウムに30人余りの研究者と学生たちが集まった。 この日の主題は‘イルベと女性嫌悪’。 イルベは果たして怪物なのか、ルーザーなのか? 韓国の若い女性全体を俗物的な女という意の‘キムチ女’と呼称するのはイルベだけだろうか? 多くの質問が出された。

韓国文化社会学会が去る28日午後、西江大で開いた‘イルベと女性嫌悪’コロキウムでユン・ポラ(中央)氏が提案している。

 提案を務めたユン・ポラ(ソウル大女性学協同課程博士課程)氏はイルベ現象について "他者に対する嫌悪、正確には女性に対する嫌悪として作動する。 これはジェンダー関係の変動、ルーザー文化が含蓄した規範的男性の不安定性と関連がある」と話した。 2011年から2013年までの2年間、イルベ内の4万6000ヶ余りの掲示物を分析した結果を見れば、悪口を除いて最も多く言及されたキーワードは‘女’(4321件)で、2位を占めた‘盧武鉉(ノ・ムヒョン)’(2339件)の2倍に達する。 ユン氏は‘キムチ女/陰部女/ポスラチ(女性器+役人の合成語で、女性器を有することを権力と感じる無知な女性の意)’という記号を作り出したメカニズムが‘ガンギエイ’、‘チュァジョム/チュァパル’、‘ノ・ウンジ’を作り出したメカニズムと正確に照応すると指摘した。 イルベでは女性器に例えて嫌悪する‘ポヒョム’、女性を良く言う人を意味する‘ポフォロワー’、女性嫌悪談論を警戒する人を称する‘シプソンビ’などの造語が楽し気に使われる。 こういう過激だが快楽的要素のある単語を通じて一種のカタルシスを感じているということだ。

‘女’最多言及…‘盧武鉉’の2倍
‘女性=進歩・左派’等式を作り上げ
民主化されるほどに‘奪われる’という論理
新自由主義の恐怖から女性を敵対視
"女性は社会憤怒を浴びせる安全網
イルベ現象 分析枠を拡大する必要"

 民主化と女性を連結するに当たってもそのような論理が作られる。 "金大中政府は女性票が必要な左派と、権力が必要だった女性界の‘ウィンウィン戦略’で誕生した。 ‘女’はすなわち‘進歩’であり、‘失われた10年’間に自分たちから何かを略奪して行ったのは女性であり、国をこのようにしたのは左派政権なので、民主主義が発達するほどにますます何かを奪われる" という認識が完成されたということだ。

 チヂルな‘ルーザー文化’を共有した‘剰余’らの社会的性別が男性と確定した点には注目する必要がある。 日帝強制占領期間にモダン ガールに対する非難から、経済危機状況で一番最初に施行される大々的な女性を‘標的’とする整理解雇まで、個人の不安と恐怖が限界に達した時、私たちの社会が全面的に繰り広げた‘女性に対する他者化現象’と関連があるという指摘だ。

 ユン氏は「女性は社会的不安が作り出す怒りを浴びせる新自由主義的安全網」と診断した。アルファガール現象、女風談論の登場に対する反作用として女性を男性の競争者、更には男性を絞り取る存在として感じる。 新自由主義的な存在条件を持つ個人の不安と恐怖がジェンダー関係に投射されているという話だ。 ユン氏はモダンガール、犬糞女、味噌女、そしてキムチ女まで長きにわたって特定女性範疇が社会的内面化をたどりながら変化したと見る。 彼女は「イルベでなくとも我々はこれまで‘○○女’を作って見物し、処罰し、解雇し、殺してきたのではないか」と問い直した。 我々自身の嫌疑をイルベに投射して処罰することにより疑惑を免れようとしているのではないかということだ。

 討論者として立ったキム・スジン ソウル大女性研究所責任研究員は「この間イルベを怪物として取り扱い、単純に極右ネチズンの誕生と見る視角と、‘ナコムス(私はセコい)’の極右的鏡像としてイルベを分析し、政治・感性・娯楽の境界を行き来する一種の‘反知性主義文化’と診断する見解があった。 これからはそこに、ジェンダー政治というルーザー文化を含蓄するヘゲモニー的男性性の不安定化と民主化が連結された部分を添加して分析する必要がある」と診断した。 また「ファンタジーに基づいた女性嫌悪談論と享楽の言語は現実をいくら代入してみても矯正できなくて困惑するのみだ。 このようなファシズム的大衆政治の作動を完全に理論化できなかったので文化研究者は窮地に陥るほかはない」と現在の談論分析の限界を付け加えた。

文・写真イ・ユジン記者 frog@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/630620.html 韓国語原文入力:2014/04/01 10:37
訳J.S(2256字)

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