朴槿恵(パク・クネ)大統領は‘ドレスデン演説’で、これまで旗を立てただけの本人の統一構想である‘統一大当たり論’を比較的詳しく明らかにした。 平和統一と南北間の持続的な交流・協力の拡大を強調したという点では肯定的に評価されるが、統一大当たり論が吸収統一を前提としているという巷間の憂慮を完全に拭うことはできなかった。 北の非核化に対するロードマップを出さなかった点も限界として指摘される。
■‘統一大当たり=吸収統一’憂慮 完全に拭えず
朴大統領はドイツ ドレスデンで "一回きりでない持続的な交流協力が必要だ" と強調した。 今回の演説で‘統一大当たり論’が北の急変事態を前提とした吸収統一論ではないという点はある程度は確認された。 彼女が出した‘3大提案’(人道支援拡大、経済協力強化、交流協力拡大)は全て長い時間と持続的な対話を前提とするものなどであるためだ。
しかし、朴大統領は‘吸収統一を排除する’という発言を明確にはしなかった。 これは2000年3月の金大中当時大統領のベルリン宣言とも対比される。 当時、金大統領はベルリン演説を前後して "吸収統一を追求しない" という立場を数回にわたり明らかにした。 体制競争で遅れをとった北との交流協力を拡大するためには必須の過程だった。
その上、朴大統領は26日アンゲラ・メルケル ドイツ総理との会談で "ベルリンの壁が崩れたように、我々の休戦ラインも必ず崩れる日が来る" としながら、吸収統一を念頭に置いたような発言もした。 ヤン・ムジン北韓大学院大学校教授は 「東ドイツが西ドイツに吸収されたドイツ統一の事例を、南北に対しなぞらえて話したことは、北に否定的なメッセージを与えかねないという点で気を付けるべきであった" と指摘した。
南北間交流・協力拡大提案は肯定的に評価されているが
吸収統一を念頭に置いたような発言は北に否定的メッセージを伝える憂慮
北核問題解決のためのロードマップも南側の役割に対するビジョン提示もなく
軍事的信頼構築などに対する言及もない
■ 北の非核化、ロードマップがない
朴大統領は北核問題をすべての南北間交流・協力の前提条件とはしなかった。 これは全てのものを北核問題と連係させた李明博政府よりは比較的に柔軟と評価される。 だが、北核問題解決のロードマップや南側の主導的役割に対するビジョン提示が無い点は残念だ。 朴大統領は "北が核問題の解決に対する真正性ある姿勢で6者会談に復帰し、核を放棄して北の住民の暮らしを改善することを望む" と言及するに留まった。
北は核問題を北-米関係の問題として設定しており、北-米関係が改善されなければ南北関係の改善にも消極的な立場を示してきた。 韓国が積極的な仲裁者として乗り出さなければならない理由も北-米関係の改善と南北関係の改善がコインの両面のようになっているためだ。 キム・チャンス コリア研究院研究室長は「北の6者会談復帰や朝鮮半島非核化のための南側の役割に関する提示をせずに北の核廃棄だけを要求するのは格別意味がない」と話した。
■ 政治・軍事的信頼構築が前提になるべき
相互誹謗や軍事的信頼構築に対する言及がなかった点も限界として指摘される。 南北が現在停戦状態にあって、天安(チョナン)艦事件、延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件など軍事的葛藤が絶えないことを考慮すれば、絶対に必要な発言であったということだ。 キム・クンシク慶南(キョンナム)大教授は「経済協力・交流・人道支援拡大など三つの構想は全て良くて必要なことだ。 しかし南北が西海(ソヘ)北方境界線(NLL)で武力示威を行っている状況であることを勘案すれば、経済・社会・文化的接近だけでは限界が明らかだ」と話した。 チェ・ヒョンジュン、キム・ウェヒョン記者 haojune@hani.co.kr