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[朝の陽射し] 崖っぷちに立ったMBC、危機の韓国言論/キム・イテク

登録:2014-01-22 19:54 修正:2014-01-22 21:24
キム・イテク論説委員

 最近裁判所が文化放送(以下MBC)ストライキ参加者44人に対する解雇・停職などの懲戒は "無効" と判決した後、会社側の反発が荒い。 異例の反論広告まで出しながら‘放送の公正性は労働組合が独占する権利ではない’と主張した。 恐らく判決文をまともに読んでみることも出来なかったようだ。 "公正放送義務は労使両側に要求" されるにもかかわらず、会社側が "公正性保障のための種々の手続き規定に違反して人事権を乱用" したということが判決の要旨だ。 したがってMBC労組の6ヶ月にわたる放送史上最長期のストライキは‘公正放送’争奪のための "正当な行為" であり、労組がストライキの理由として掲げた経営陣の公正放送妨害事例は全て "放送法と団体協約の公正放送義務に違反したこと" と判決文は釘を刺している。

 会社の動きは判決が面目を失うほどだ。 チョン・ヨンハ前労組委員長をはじめとする労組幹部7人の自宅は今仮差押さえ状態だ。 会社は労組を相手に195億ウォンの損害賠償を請求し、労組の通帳に入っていた組合費23億ウォンと共に幹部の個人財産にまで仮差押さえをかけた。 ストライキ期間に給料を受け取れなかったためにストライキ参加者700人余りの相当数は未だ借入金の償還に困っているという。 公正放送を弾圧した経営陣の大部分は依然としてうまくやっている反面、ストライキに主導的に参加した記者とディレクターはマイクを奪われ画面からも消えた。 代わりにストライキ中に採用した試用記者や経歴記者、地方から上がってきた記者たちが政治部や法曹チームなど敏感な事案を扱う部署を任された。 解雇無効判決を受けた記者とディレクターが戻っても画面で再び会うことは不可能に見える。

 このような状況で‘公正報道’がなされることはありえない。 判決文に出てくるように、李明博政府時期にはそれでも "<ニュースデスク>は民間人不法査察疑惑に関して他社より10日余り遅く報道して、… の‘4大河川水深6メートルの秘密’は保留されたが一歩遅れて放送されたが" 今はそのような番組が作られること自体がない構造だ。 公正放送をするという記者とディレクター、アナウンサーは、審議室や編成、であるいは事業部署に追いやられた。 国家情報院大統領選挙介入事件のように政権に不利なニュースは後回しにされて、‘従北ニュース’や大統領動静報道が前席を占めている。 視聴率が墜落するのは当然の結果だ。

 単にMBCだけの問題ではない。KBSもやはり‘テン朴ニュース’(時報が'テン'となりニュースが始まるといきなり'朴大統領は'で始まる、政府広報ニュースを謂う)になって久しい。

 問題はこのような構図が変わる兆しが容易に見られないということだ。 MBCの公正性がこのまま崩れれば、総合編成まで加勢した保守偏向の放送構造、言論地形がそのまま固まりかねない。 選挙すら公正な言論環境で行われることができないなら、ややもすれば日本のように保守長期政権の政治構図が固着しないとも言えない。 それでも誰にも劣ることのない利害当事者である民主党は、無気力症から抜け出す兆しが見えない。 MBCとKBS労組の同時長期ストライキの成果物と言われる国会放送公正性特別委さえ昨年末に決議文ひとつをポロンと出して解散してしまった。 野党までが迫り来る危機を知らずにいるのでは一層危険なことだ。

 全ての物を投げ捨てながら‘公正放送’を取り戻すために戦う放送労組に、政界はもちろん各界の激励と声援が求められる。 放送特別委諮問教授団が合意したという公営放送社長選任の特別多数制(3分の2以上賛成)等、支配構造改善案はもちろん、最小限の装置である報道局長直選または任命同意制は貫徹できるだけの関心と支援が必要だ。

 付け加えるならば、現在孤立分散的に進行されている地上波以外の‘公正放送’らをまとめ上げて、より影響力のあるメディアに育てることも合わせて推進されれば良い。 ソン・ソクヒだけを見つめてはいられないではないか。

キム・イテク論説委員 rikim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/620728.html 韓国語原文入力:2014/01/21 18:42
訳J.S(1848字)

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