金泳三政府時期に廃止された教育部編修(編集・修正)局が何と18年ぶりに‘教育課程政策局’(仮称)という名前で復活すると見られる。 編修局の復活は、朴槿恵(パク・クネ)政府になって各界で進めてきた‘歴史後戻し’の決定版というのが専門家たちの解釈だ。
10日、教育部と専門家たちの話を総合すれば、今回教育部が教育課程政策課を拡大して新設することになる教育課程政策局は、かつての編修局のように‘教科書の憲法’と呼ばれる教育課程と教科書の検定・修正など教科書開発全般に深く関与するのではと憂慮される。 特に政権の好みに合う画一的な歴史教科書を生産する前哨基地機能を果たすと見られ、自由化という世界的流れに逆行する全体主義的発想という批判が出ている。
1980年2月、文教部編修局で始まった国家編修組織は、金泳三政府時である1996年の教育部編修局を最後に廃止された。 政府の画一的な統制が民間の効率的で創意的な教育活動を制限しかねないという理由のためだった。 韓国歴史教育学会長であるヤン・ジョンヒョン釜山大教授(歴史教育)は「当時の編修局は国家と政治権力の観点で教科書の史観を調整する役割をしたと記憶する」と話した。
金泳三政府は‘教育改革推進課題’を通じて‘国定教科書を最小化し、検認定教科書を拡大する’という基調を前面に出した。 その過程で、編修室は歴史的使命をつくして消えた。 キム・ハンジョン韓国教員大教授(歴史教育)は「1980年代末から教育業務は中央から市・道単位へ、中央集中から自由化に変わっていた。 この過程で教科書国定体制が検認定体制に変わり、編修室業務も自然に消えることになった」と話した。
教科書体制は国定→検定→認定→自由発行制などへますます政府の統制が弱まる方向に発展している。 これに伴い、米国・英国・フランス・ドイツ・オーストラリアなど先進国は全て政府が統制する方式でなく民間が自由に教科書を書けるようにする‘自由発行制’を選んでいる。 これとは異なり、我が国は検認定へ移る段階から再び国定水準の統制を受ける方向へ逆行することになったわけだ。
専門家たちは特に過去に教科書編纂作業に深く関与した政府が、支配階層の論理を正当化することに努めたという点に注目している。 代表的な例として、朴正熙政権は全学校で国史を必修課目に指定する国史教育強化措置を取り、1974年には検定教科書を国定にした。 当時、教科書は維新体制を正当化する論理を盛り込んだ。
政府が教科書を統制するようになる場合、親日・独裁美化論難を起こした教学社版教科書の観点と似た方向に教科書が変わることになる恐れがあるというのが専門家たちの指摘だ。 教学社版教科書の一線学校での採択失敗が、政府が今回の措置を出した背景であるためだ。
ソ・ナムス教育部長官は9日、編修組織新設方針を明らかにしながら「教学社版教科書採択率がこれほど低くなるとは考えられなかった」と話した。 保守勢力は李明博政府の時から歴史学界の通説とは異なる教学社版教科書の誕生をそそのかし、検認定体制の拡大を主張してきたが、教学社版教科書の惨敗後、国定教科書体制への回帰を主張し始めた。
キム・ユクフン歴史教育研究所長は「過去のように編修組織が作られる場合、歴史教育の枠組みから個別事実に至るまで、政府の意が強く投影される可能性が強い」と話した。
ウム・ソンウォン、パク・スジ記者 esw@hani.co.kr