コレール(韓国鉄道公社)が全国鉄道労働組合(鉄道労組)のスト期間中に採用した代替人員の人件費までストで発生した損失とみなし、労組に賠償を請求することにした。人員採用は経営陣の固有権限だとして、労組の人事介入を放漫経営の事例に挙げていた政府と公企業が、人事決定の責任と費用まで労組に転嫁する非常識なやり方だという批判が出ている。これまで“不法スト”の際に一時投入された代替人員運用費用については労組の責任と裁判所が認定する傾向にあったが、今回のような正式採用は前例がなく、今後損害賠償訴訟のもう一つの争点になる見通しだ。
コレール関係者は2日<ハンギョレ>との通話で「鉄道スト中に採用して正常に教育を受けている代替人員208人に対する採用費用と人件費などを労組に損害賠償請求する計画」と明らかにした。会社は先月31日、ストで152億ウォンの営業損失をこうむったとして、労組と労組員を相手にソウル西部地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。コレール関係者は「152億ウォンには代替人員の費用は含まれていない。これに対する精算が完了すれば、公訴状を変更して追加請求する」と述べた。
鉄道労組側は直ちに反発した。損害賠償が認められれば、結果的に労組が事実上、組合費で会社の代替人員208人を採用した後、教育しているという論理になるからだ。 政府はこれまで公企業の人事・経営は固有権限だとし、これに対する労組の介入が可能な賃金団体協約条項などを改善するよう「公共機関の正常化対策」を通じて指示してきた。コレールは過去の鉄道ストのたびに軍・民間会社、韓国交通大学などから協力を受けて代替人員を投入してきたが、外部人員を正式公募して採用までしたのは今回のストが初めてだ。当初、代替人員の採用計画自体がストを撤回させるための労組脅しの意図だという指摘が多かった。
会社は“水増し”損害賠償請求も繰り返してきた。2003年のスト当時75億ウォンだった損害賠償請求金額のうち32億ウォン、2006年には150億ウォンのうち70億ウォンだけが裁判所で認められた。2009年のストの時も会社は97億ウォンを請求したが、立証できない損失やスト参加の組合員の賃金などを除いて48億5500万ウォンに請求金額を下げた状態で、裁判が進行中である。
鉄道労組のチェ・ウンチョルスポークスマン「ひたすらスト中の労組を瓦解させ運行率を高めるための使い捨て人事は、求職者たちのためにもしてはならないことだと言ってきた。今になってその費用まで労組に支払わせるというのは、到底納得できないやり方だ」と話した。
民主労総公共運輸労組法律院長クォン・ドゥソプ弁護士は「ストが1~2年続くわけではない。従来のように外部人員を一時投入する方式ではない正式採用は、経営上の必要に応じた処置というよりは主に労組を圧迫するための目的なので、当該費用を労組に課すというのは争う余地が大きい」と述べた。
ストの合法性如何も重ねて争点になる見通しだ。労働組合および労働関係調整法は、合法的な争議中には中断業務遂行のための新規採用や争議を理由とした損害賠償請求をすることを禁じている。
イム・インテク記者 imit@hani.co.kr