韓半島危機が高まり小康状態を見せている渦中に朴槿恵(パク・クネ)大統領とバラク・オバマ米国大統領の初めての首脳会談が終えられた。 特に注目と期待を集めた今回の韓-米首脳会談の成果と北韓の予想される反応、今後韓国のすべきことについて専門家6人の意見を緊急に尋ねた。
韓米首脳会談に対する評価
"既存合意に言及せず…朴槿恵(パク・クネ)式 新土俵作り"
"韓米同盟 強化…南北緊張解消策はなかった"
<ハンギョレ>の諮問に応じた専門家たちは概して大きな枠組みで韓-米同盟強化を確認し合意を成し遂げた点を今回の首脳会談の最大成果に挙げた。 チョン・セヒョン前統一部長官は「韓-米同盟強化次元で多くの成果があった」と評価し、ユ・ホヨル高麗(コリョ)大教授とコ・ユファン東国(トングク)大教授、キム・ヨンス国防大教授らも 「韓-米同盟の強化と信頼を確認し合意する席になった」として良い点数を与えた。
キム教授とユ教授は特に朴槿恵大統領の個人的な魅力とリーダーシップを成功的首脳会談の核心要因の一つに挙げた。 キム教授は「政府構成が遅れるなど会談準備に困難があったが、それでもうまくやり終えたことは朴大統領の個人的魅力、リーダーシップが大きく作用した」と評価した。
しかし南北関係や韓半島危機の解決法などと関連しては具体的内容がないという批判も出てきた。 キム・ヨンヒョン教授は 「北核問題をはじめとする全般的な韓半島問題に対して積極的な対話意志を示せなかった」と話したし、ヤン・ムジン教授も「緊張局面を解消する方案が出てこなかった。 圧迫に重きを置いた対北韓メッセージを送ったが、そうすれば韓半島情勢の管理が容易ではないだろう」と話した。 コ・ユファン教授は今回の首脳会談で‘朴槿恵式新土俵作り’を披露したと診断した。 コ教授は「大きな枠組みのビジョンは出てきたが、これを実現する方法、手続き、過程など細部的な内容がなかった」として「今回の首脳会談で6者会談や9・19宣言など既存合意事項には言及せずに、ただ信頼プロセス、東北アジア平和構想のような話だけしたことは‘朴槿恵式でやってみよう’という話のようだ」と話した。
また、懸案と関連して韓-米間に異見があった可能性も提起された。 ヤン教授は「朴大統領が信頼プロセスを米国に知らせたが、オバマ大統領が内容まで共感したか否かは分からない」と話した。 コ教授も「先月初めジョン・ケリー国務長官が訪韓して6者会談などに言及したが、今回の首脳会談で議論されなかったのは韓-米間の異見が反映された結果かもしれない」と話した。
パク・ビョンス先任記者 suh@hani.co.kr
北韓はどのように対応するだろうか
"韓-米空母訓練を行なう中旬までは変化ないだろう"
"中国 圧迫本格化すれば北が対話攻勢に切り替えることも"
専門家たちは概して今回の韓-米首脳会談の結果について北韓が反発するだろうと見通した。 朴槿恵大統領の韓半島信頼プロセスは対話と圧迫の両面戦略だが、現在は圧迫が中心であるためだ。
コ・ユファン東国(トングク)大教授は「対話の門を開けてあると言っているが、北韓が先に変わることを要求し、制裁と圧力に傍点をつけたので北韓としては受け入れ難い。 北韓は既存の対北韓政策と大差ないと見るだろう」と予想した。 チョン・セヒョン円光(ウォングァン)大総長(前統一部長官)も「北韓はおそらく待ってましたとばかりに非難を始めるだろう。 ニミッツ核推進航空母艦が来て、韓-米連合訓練を行なう5月中旬までは北韓が何かをしようと言い出すことは難しく見える」と話した。
韓-米が合意した対北韓圧迫の意味を北韓がよく解釈して欲しいという指摘も出た。 ユ・ホヨル高麗(コリョ)大教授は「韓・米は北韓政権を隅に追い立てて圧殺しようとしているわけではない。 北韓の退路を開いておき、生きる道を提示しようとしたものだ。 圧迫という警告に対して北韓がよく解釈しなければならない」と話した。 対北韓圧迫は北韓を押し倒すためのものではなく、対話の門を開いて共同の活路を見出すためのものという説明だ。
北韓が短期的には反発しても、強攻基調をずっと維持することは難しいという意見もあった。 キム・ヨンヒョン東国(トングク)大教授は「先ずは北韓の強い非難が出てくるだろうが、その後に適切な時点で韓・米と対話の出口を探そうとするだろう」と見た。 キム教授は、北韓が対話の契機にできるのは北韓に捕えられている韓国系米国人ケネス ペ事件、中国の対北韓特使訪問、開城(ケソン)工業団地正常化などだと予想した。
北韓が時間をかけて現在の状況を把握しようとしているという観測もあった。 最近、韓国と米国の対北韓圧迫に中国が加勢するような動きを北韓が予想できなかったこともあるためだ。 ヤン・ムジン教授は「中国の対北韓圧迫が本格化すれば、むしろ北韓が先に対話攻勢に切り替わることもありうる。 韓・米が北韓に名分を与えなかったので時間をちょっと上げる必要がある」と話した。
キム・キュウォン記者 che@hani.co.kr
政府は今後何をすべきか
"韓-中 首脳会談後、北に長官級対話の提案を"
"北が先に変われと言ったので不安の中で待つのみ"
専門家たちは今回の韓-米首脳会談を通して朴槿恵政府が‘韓半島信頼プロセス’(以下、信頼プロセス)に対する米国の全面的な支持を引き出した以上、これを積極的に稼動させ北韓を対話の場に引き出さなければならないという意見を出した。
ヤン・ムジン北韓大学院大学校教授は「朴槿恵大統領の信頼プロセスは、対話と圧迫の均衡政策であるだけに今後両者が同時に稼動するようにしなければならない」として「北韓に対話の門が開いていると口だけで言うのではなく、対話の門をどのように開くかに関する本格的な検討が必要だ」と話した。 北韓が対話に乗り出す‘誘引’の提示なしに圧迫強度だけを高めれば、北韓の誤解を呼び問題解決をさらに難しくさせかねないということだ。 キム・ヨンス国防大学校教授も「米国も北韓も(北韓問題解決に)わが国ほど切迫していない。 わが国が積極的に動いてこそ米・中も動ける」として、政府の積極的で創造的対応を注文した。
対話再開のための最も現実的な方案としては、開城工業団地の早期正常化のための水面下接触提案が挙げられた。 ヤン教授は「現在の状況では現実的に特使派遣や公開対話は容易ではない。 開城工業団地のための水面下接触が必要に見える」と指摘した。 そのように対話の出口を開いた後に、韓-中首脳会談以後に公式的な対話に入り込むための機会を作ってみようということだ。 ユ・ホヨル高麗大教授は 「韓中首脳会談が終わり(わが国の対北韓政策に対する)中国の支持まで確保できれば朴槿恵政府が北韓問題により強い自信を持って集中できることになる。 その時になれば長官級対話など大枠の対話提案をする必要がある」と話した。
しかし韓・米が北韓に先に変わることを要求しただけに当分は南北関係の改善が容易ではないだろうという悲観的展望もあった。 チョン・セヒョン前統一部長官は「北韓に向かって先に変われと言ったので、待つほかはなくなった。 それも北韓が何かするやも知れないので、不安に震えながら待つことになる」と話した。 北が対話に出ることを判断する時まで当分は北韓の挑発とそれに対するわが国の対応が繰り返されるうっとうしい時間が続くだろうという予測だ。
キル・ユンヒョン記者 charisma@hani.co.kr