政府、開城(ケソン)工業団地事態 息継ぎが必要
電気まで切れば浄水場 稼動できず
北、強硬姿勢で乗り出す可能性
現地工場設備も急速に老朽化
韓-米 軍事訓練・首脳会談以後
解決の糸口が出てくる可能性
工業団地 正常化への意志を示し続けることが必要
"北側が感じている悩みの一つは水道水でしょう。 電気が切れれば浄水場が稼動を停止し、そうなれば開城市民の暮らしに直接的な影響を与えるからです。"
稼動9年ぶりに閉鎖の危機に立たされた開城(ケソン)工業団地事態の解決法を問う質問に対して戻ってきた答は意外にも‘水道水’だった。 29日、開城工業団地企業協会のある関係者は「私たちが開城工業団地を本当に生かす気持ちがあるかを北韓が判断する基準は、短期的には電気と水道水になるだろう」と話した。
現在、開城工業団地で使われている電気は韓国電力が南側で生産し現地に建設した10万kW容量の変電所まで送電している。 用水は開城北側のウォルゴッ貯水池の原水を韓国水資源公社が運営する浄水場(1日容量3万t)できれいな水に加工して供給している。 さらに、この水は開城工業団地だけでなく開城住民も1万4000tを使っている。 したがって北韓は停電・断水の有無を通じて韓国の意図を把握しようとする可能性が大きい。
大統領府外交安保首席秘書官を務めたソ・ジュソク韓国国防研究院責任研究委員は「今、最も重要なことは私たちが先に開城工業団地事態を追加的に悪化させる措置をしないことだ。 電気と水道水の供給が代表的な例」と話した。 開城工業団地入居企業のある代表も「わが政府が電気を切れば北韓は私たちが工団をあきらめたという信号と受けとめ、さらに強硬に出てくる恐れがある」と憂慮した。
韓国企業が現地に投資した設備はほとんどがミシンなど電気で作動する機械類なので、電力供給が途切れれば維持・保守ができず急速に老朽化される可能性がある。 このような点を考慮してか、統一部関係者は「現地にいた韓国電力と水資源公社などのわが方の管理人員が撤収しても、当分は施設稼動に大きな問題がないと理解している」と明らかにした。
来月7日に予定された韓-米首脳会談前までは息詰まる南北攻防を止めて息継ぎをする必要があるという指摘も出てきた。 チョン・セヒョン前統一部長官は「どのみち今回の事態は北韓が侵略戦争演習と呼ぶトクスリ(鷲)演習が終わらない限り解決の糸口はつかめない」として「北韓も30日の訓練終了と韓-米首脳会談結果などを見守っているので、事態解決の糸口はその後に出てくるだろう」と話した。 キム・ヨンヒョン東国(トングク)大北韓学科教授も「現在の局面は結局、北の第3次核実験の余波」として「北韓が韓-米首脳会談や現在進行中の米-中対話に神経を尖らせているだけに、首脳会談の時に北韓に対話に向けた大きな枠組みのメッセージを与える必要がある」と話した。
深刻な困難に陥った企業らの立場を考えて政府が問題解決にもう少し積極的な姿勢で乗り出さなければならないという注文もあった。 キム・ヨンチョル仁済(インジェ)大統一学部教授は「北韓が開城工業団地を閉鎖しはしないと言った以上、わが政府も開城工業団地を生かすという断固たる立場を再確認する必要がある」として「結局、問題は政府の意志」と話した。 チョ・ポンヒョン企業銀行経済研究所政策チーム長も「北韓も開城工業団地と関連して余地を置いているだけに、時間をかけて回復の道を探してみよう」と話した。
キム・ヨンチョル教授は「事態が長期化すれば、ほとんどの下請け企業である開城工業団地企業らの注文がみな途切れ、再稼働できたとしても注文を回復するのには時間がたくさんかかる。 解決は早いほど良い」と語った。 チョン前長官も 「可能なら韓-米首脳会談以前に北に向けて大きな枠組みの対話提案をしたら良いだろう」と話した。
キル・ユンヒョン記者 charisma@hani.co.kr