北韓が韓・米の対話提案をひとまず拒否して出たことにより、早期に韓半島危機が収拾局面に転換される可能性は低くなったと見られる。 それでも北韓が直ちに追加挑発に出て、再び軍事的緊張を高めさせる兆候も見られない。 当分は薄氷の上を歩く低強度対立局面が持続する可能性が強まった。
北韓が16日ジョン・ケリー米国国務長官の対話要求を「欺瞞の極限状態」と一蹴し、翌日には 「現情勢の責任は南側にある」として開城(ケソン)工業団地企業家たちの北韓訪問を許さなかったのは、韓・米が要求する対話の前提条件である‘非核化措置’を受け入れるつもりはないということを明確にしたものと分析される。
北韓はすでに核を放棄することができない理由を明らかにした。 金正恩 朝鮮労働党第1秘書は先月31日、党中央委全員会議で核武装と関連して「国防費を増やさずとも少ない費用で国の防衛力をより一層強化しつつ、経済建設と人民生活に大きな力を回せるようになった」と話した。 南北間での在来式武器競争の勝負がすでに韓国の優位という結果が生まれた現実の中で、軍事均衡を維持するための手段は核兵器しかないという判断だ。 北韓の生存戦略としての核は、すでに外部の経済支援と対等交換できる駆け引きや交渉の対象ではなく、抑止力を確保する核心安保力量に格上げされたわけだ。
北韓のこのような態度には1994年ジュネーブ合意以後の非核化、北-米会談に対する評価が反映されたと見ることができる。 政府当局者は「北韓の立場で見れば、20年近く核問題を巡り6者会談までしたが、結局は北-米の敵対関係や北韓体制に対する威嚇が解消されなかった。従って内部で‘このような会談を何故するのか’という悲観論が出て来得る」と語った。
今後、北韓がどのように出てくるかを推し量ることは容易でない。 最近の韓半島緊張高揚は当初1月と3月の国連安全保障理事会(安保理)の二度にわたる対北韓制裁決議に対する北韓の反発から触発された。 また、北韓は先月始まった韓-米連合キーリゾルブとトクスリ(鷲)演習を追加挑発の滋養分としてきた。 そうであるため、この演習が全て終わる4月末以前までは現在の対立局面を解かない可能性が高い。
とはいえ、ミサイル発射のような新たな挑発で韓半島危機を再び煽る公算も高くは見えない。 北韓は最近の緊張造成を通じて米国の関心を引き、外部の威嚇に対する軍事的対応力量を誇示したし内部体制の結束も確かめた。 自ら目標にした成果はおさめたわけだ。 キム・ヨンヒョン東国(トングク)大教授は「両側が出口戦略を模索する時期が近づいたようだ。 北韓もボールは渡したと判断しているだけに、当分は高強度の挑発をするよりは、韓国や米国の動きを見守りながら次の手を考えようとするのではないか」と話した。
変曲点は来月7日に開かれる韓-米首脳会談になるという観測が多い。 現在、韓国や米国には韓半島情勢を対話局面に切り替える政治的推進力が消耗している状況だ。 しかし朴槿恵(パク・クネ)大統領とバラク・オバマ大統領が調整を通じて新たな対北韓政策を持ち出すならば、新しい気流を作り出すこともできる。 ヤン・ムジン北韓大学院大教授は「北韓が対話を明確に拒否すると宣言したわけでもなく、まだ朴大統領の実名を名指しで批判したこともない。 北韓も対話の余地を残しているわけだ。 5月の韓-米首脳会談が分岐点になるだろう」と展望した。
パク・ビョンス先任記者 suh@hani.co.kr