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イ・ヨンフン "維新、憲法の名で独裁の道を開いた"

原文入力:2012/09/22 09:56(1857字)

←イ・ヨンフン前大法院長(訳注:最高裁長官に相当)

高麗(コリョ)大講演で批判… "緊急措置違憲判決は司法府の原罪を洗ったもの"
"健全な批判を排斥して国民を一つに統合するというのは危険な考え"

 イ・ヨンフン(70)前大法院長(現 高麗大客員教授)が維新憲法について 「憲法の名で一党独裁の道を開いたもの」と評価した。 2010年12月大法院全員合議体が‘緊急措置1号’に対して全員一致で違憲判決を下したことに対しては「司法府の原罪を洗うということだった」と話した。 イ前大法院長は2005年9月から昨年9月まで14代大法院長を務めた。

 イ前大法院長は21日高麗大学校法学館新館でロースクール生を対象にした‘憲法と法治主義’講演で 「5・16クーデター勢力が作った第3共和国憲法は3選条項だけを除けば優れて先進的であったが、(維新憲法により) 10年間で紙切れになった」として「このような悪い憲法に基づいて緊急措置が発令され10・26時まで緊急措置が統治手段として作用した」と話した。 彼は「暴圧的な政治権力の前では憲法も法治主義も効果がないことを(私は)この目で見てきた」と付け加えた。

 彼は「講義のために維新憲法を再び覗いて見てびっくりした」として、国家主権条項を詳細に批判した。 彼は 「‘大韓民国の主権は国民にあって、すべての権力は国民に由来する’という1条2項を維新憲法は‘大韓民国の主権は国民にあって、国民はその代表者や国民投票によって主権を行使する’と直した」として「どうすればそのような発想ができるのかとても驚くべきことだった」と話した。

 イ前大法院長は「憲法という名前を持って一党独裁が可能な道を開いた人が当時の有名な憲法学者」とし「法治主義をかたり憲法を極めて重視するのに憲法に基づいて6年にわたる党独裁が始まった。 それが維新時代ということを知らなければならない」と話した。 彼は「維新憲法制定に参加した方々は後に常勝疾走して要職を全て経た。 それが大韓民国の現実だ。 出世と財物に目がくらめば人が獣の水準で振る舞うことになる」と強く批判した。

 彼は 「緊急措置4号は民青学連事件に関することだが量刑規定が恐るべきものだった」として「維新憲法でも法律によらずしては処罰できないと言ったが、緊急措置4号は民青学連関連者を(法律によらずに)死刑、無期、または、5年以上の懲役に処するようにした」と指摘した。 彼はまた「(緊急措置1号から4号事件までは)軍法会議で裁判をして緊急措置7号からは一般裁判所で裁くよう定めた。 裁判所が抵抗しないので馴致されたと見たようだ」と話した。 彼は「緊急措置裁判について一貫して被告人が緊急措置は違憲だと主張したのに、裁判所は緊急措置が適法なものと判断した。 私たちの司法史の大きな汚点」とし「国民に顔を上げることはできなかった。 (緊急措置違憲)判決は原罪を洗う裁判だった」と話した。

 イ前大法院長は維新憲法制定当時の雰囲気について個人的な経験を添えて詳しく紹介した。 彼は「投票しに行ったが今風の言葉で言えば防犯カメラ(CCTV)で見ているから気を付けろという噂が広がった」として「監視されているからどうだと思って上を見ながら‘否’に投票したが91.5%で通過した。 庶民であるということがとても情けなく思えた」と回顧した。

 学生たちには法律家として批判的な視角を持ってほしいと注文した。 彼は「健全な批判勢力を排斥して国民を一つに統合するということはとても危険な考え」としながら「法がまともに作動するためには法律家が健全な社会批判勢力としての役割をしなければならない」と話した。

 ‘悪法も法だとして遵守しなければならないのではないか’というある学生の質問に、イ前大法院長は「外国は悪法に抵抗できる権利を認めているが、わが国は認めていない」として「抵抗権を認めなければいくらでも(権力者が)国民を奈落に追い詰めることができるということを分からなければならない。 (悪法に)抵抗する目覚めている国民がいてこそ真の民主国家」と話した。

キム・ウォンチョル記者 wonchul@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/552862.html 訳J.S