原文入力:2012/07/16 22:27(2312字)
←3ケ月前…北韓の金正恩朝鮮労働党第1秘書(右側)が去る4月15日、平壌(ピョンヤン)の金日成広場で二人の実力者であるリ・ヨンホ朝鮮人民軍総参謀長(左側),チェ・リョンヘ総政治局長と共に金日成主席の生誕100年を記念する軍事パレードを見ている。 平壌/APニューシス
リ・ヨンホ 電撃解任 なぜ? 国内専門家分析
‘すべての職務から解任’極端表現 不合理行動などの可能性を推定
金正恩親政体制強化基調の中‘父親の人’負担に
先軍政治 成果不十分 問責性を指摘
一部では "行き過ぎた拡大解釈はやめるべき"
"非常に異例なことだ。"
16日に発表された北韓リ・ヨンホ総参謀長の電撃解任に対して統一部のある官僚はこのように言い出した。 過去の北韓最高権力舞台で前例のない事態が起きたということだ。 特に金正恩朝鮮労働党第1秘書体制がスタートして3ケ月にしかならないという点で、北韓最高指導部の権力変動は通常でなく見える。 これが新しい体制の不安定性を示すことなのか、あるいは変化を予告することなのかはまだ判断し難い。
■ きわめて異例的な解任
政府は今回のリ総参謀長の解任をきわめて異例的な事件と見ている。 過去に北韓ではどんな人物が解任されても今回のようにその事実を直ちに明らかにするケースは殆どなかったためだ。 しかしリ参謀長は15日朝鮮労働党中央委員会政治局会議から‘身病関係’で解任され、<朝鮮中央通信>は一日も経たない16日朝6時頃この事実を報道した。
第二に、身病があると言ったリ参謀長に対する解任措置が直ちになされたという点だ。 かつてヨン・ヒョンムク総理やキム・リョンソン6・15共同宣言実践北側委員長が身病で休んだ時は、相当期間その職位を維持させた。 しかしわずか7日前に錦繻山(クムスサン)太陽宮殿金日成主席霊前に参拝した北韓権力のNO.3であるリ参謀長を猶予期間もなしに解任したことは今回の事態の厳重性を示していると解釈される。 統一部のある官僚は「解任事実が直ちに公開されたことは公開するだけの重大な理由があると見なければならない」と説明した。
これと共に日曜日に政治局会議が開かれた点、政治局会議で人事問題を扱った点もやはり過去に事例を探し難いということが政府の分析だ。 また、リ参謀長を「すべての職務から解任」するという極端な表現もやはり異例的だ。 統一部の官吏は「軍の最高実力者を一日ですべての職務から解任したことから見て、何か彼の不合理な行動や措置があったものと見られる」と話した。
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■ 理由は何か?
リ参謀長に対する解任はたった4行の文章だけで説明された。 その内容も政治局会議がいつ開かれたのか、誰が参加したのか、何を扱ったのか、リ参謀長がどんな職務から解任されたのかなど、たった4つの事実だけを含んでいる。 したがって政府官僚と専門家たちも、リ参謀長が解任された理由について根拠ある説明を出せずにいる。 ただし確実なことは権力序列3位のリ参謀長を解任できる主体は金第1秘書しかいないという点だ。
彼の解任理由は色々と推定されている。 筆頭は金第1秘書側近体制強化という解釈だ。 リ参謀長は北韓の軍部と保守派、金正日時代を代表する人物であるから金正恩体制の確立のためには結局、彼を除去せざるを得なかったとのことだ。 キム・ヨンヒョン東国(トングク)大教授は「北韓権力の核心は軍であり、金第1秘書としてはどうしても父親が任命したリ参謀長が負担になった可能性がある」として 「ただし時期があまりに早くて不安定に見える」と話した。
党と軍、チェ・リョンヘ総政治局長とリ参謀長の間に起きた強硬-穏健間の権力闘争の結果という推定もある。 強硬路線を象徴する軍と穏健路線を代表する党が対立した結果ということだ。 チャン・ヨンソク ソウル大統一平和研究院専任研究員は「リ参謀長とチェ局長が過去にはともにチャン・ソンテクの人として分類されたが、チェ局長が権力核心に登場し摩擦が起きうる」として「結果的に金第1秘書が党を中心に置いて軍を掌握しようとしたのではないかと推定される」と話した。
この他に、軍が遺言統治の核心内容である先軍政治に積極的に取り組まなかったという分析もある。 ヤン・ムジン北朝鮮大学院大学校教授は「先軍政治の内容として軍の訓練強化や軍の民生支援強化があって、保守的な軍側が民生支援を粗雑にした可能性がある」と話した。
■ 当分慎重な接近を
リ参謀長解任の背景や原因については当分慎重な態度で見守らなければならないという意見も多い。 ムン・ジョンイン延世(ヨンセ)大教授は「現時点での情報が少ないこともあり、ひとまず北韓が発表した通り身病のために退いたこととして受け入れなければならない」として「行き過ぎた拡大解釈や予断はかえって南北関係の解決に障害になりかねない」と話した。
政府の別の官吏も「すべての職務から解任すると言ったが、実際に軍の職務である参謀長から解任されたかもまだ最終的には確認されていない」として「党の軍指導説や内部権力闘争説など多様な分析があるが、まだどんな結論も下すには早い」と話した。
キム・キュウォン記者 che@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/542808.html 訳J.S