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タイタニックのように…超豪華クルーズ 座礁‘ミステリー’

原文入力:2012/01/15 20:00(1885字)
イ・ヒョンソプ記者

晩餐中に船が傾くや阿修羅場 "映画の沈没場面そのままだった"
3人が亡くなり60人失踪状態

←イタリア クルーズ船 座礁地点

 優雅な音楽が流れる食堂で、乗客は輝くナイフでアペタイザーとして出てきた焼いたキノコと帆立貝を切っていたところだった。 13日(現地時間)の金曜日だったその日の午後、イタリア、ローマ近隣のチビタベッキア港を出港した高級クルーズ船コスタ・コンコルディアの乗客3216人は精一杯休暇ムードに染まって晩餐を楽しんでいた。

 まさにその時、突然船内が暗黒天地に変わり、まもなく船が右側に大きく傾いた。 晩餐会場はあっという間に人とテーブル、椅子、皿が飛び回る阿修羅場に変わった。 人々は悲鳴をあげ出入口側に集まり救命ボートに乗ろうと互いに押し退けるなどの騒ぎが起きた。 一部乗客は200m余り離れジリオ島へ向かって泳ぐため黒い夜の海に飛び込んだ。

 コスタ・コンコルディアの生存者が伝えた事故当時の惨状だ。 乗客は「映画<タイタニック>で見た姿そのままだった」として悪夢のような当時を回想した。 乗客と1013人の乗務員の大部分は救命ボートに乗り、大きな怪我もせずに脱出したが、2人のフランス人乗客と1人のペルー人乗務員は遺体で発見され、まだ最大60人余りの生死が確認されていない。 潜水士数十人が船の沈んだ部分に閉じ込められていると見られる人々を救出するため死闘を行っている。 韓国人新婚旅行客一組が事故24時間が過ぎてから無事救助されもした。

■事故経緯‘ミステリー’
長さ291m、客室1500余りを備えたこの船は5ヶのレストラン、4ヶのプール、13ヶのバーに映画館、カジノ、ナイトクラブまである最高級クルーズ船だ。 イタリアで建造され、2006年7月に初航海を始めた。 イタリアを発ちフランス・マルセイユ、スペイン・バルセロナ回って帰ってくるこの船の建造価格は4億5000万ユーロ(6800億ウォン)に達する。

 イタリア警察に逮捕され過失致死の疑いで調査を受けている船長フランチェスコ スケティノ(52)と一等航海士 チロ アムブロシオはこの日の午後8時頃、ジリオ島付近を過ぎ、船が暗礁に衝突したと述べた。 座礁した船体の左下部分には長さ50m余に達する大きな亀裂が見え、この陳述を裏付けている。 彼らはこの暗礁が海図に出ていないと主張しており、この船の運営会社であるコスタ・クルーズ側も暗礁にあたった当時、船が正常航路を維持していたとし船長の主張に加勢した。 だが、ジリオ島住民たちは「船が島にあまりに近づいた」として、船長が航路を間違えて捉えた可能性を証言しており主張が交錯している。

 この船は1年に52回も同じ航路で航海をしながら、船長もまたこの会社で11年も働いたベテランだ。 常識的に起き得ないことが起きたわけだ。 一部では船の電子装置に異常が起きたのではないかという主張も出ている。 イタリア警察当局は船のブラックボックスを入手して事故原因を分析している。

■理解し難い事後措置
もう一つの疑問点は船が暗礁に衝突した後、なぜ直ちに救助要請をしなかったのかということだ。船が暗礁にぶつかった後、船が傾き始めるまでには45分程度の時間があった。 イタリア<ANSA>通信は海洋警察エミリオ デルサントが 「事故に遭うとすぐに船は直ちに乗客を救助するために最大限海岸近くに船を運転したものとみられる」としつつも「だが、彼らは直ちに救助要請をせず、避難作業が始まった後に船と連絡がついた」と話したと伝えた。 またスケティノ船長とアムブロシオ航海士など責任者が乗客が全員待避する前に船を離脱していたことが確認され非難を浴びている。

 船員が適切な非常時対処訓練を受けていたかに対しても疑問点が挙げられている。 <AP>通信などは 「船員が(暗礁にあたった後)初めはインターホンで‘電気的異常’が発生したとし乗客を安心させ、そのために待避が遅れた」という一部乗客の主張を伝えた。 また、船員が脱出口や脱出方法に対する案内を正しくできず、脱出に困難があったと不平を言う乗客も多い。

イ・ヒョンソプ記者 sublee@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/514815.html 訳J.S